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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第8章 ギルド

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 「それでは、お先に失礼します。」

 「橘さん、お疲れ様、また明日よろしく。」

 「ありがとうございます。では失礼します。」


 橘楓花は、いつも定時で帰る。

 正社員よりも30分ほど定時が早い。

 

 職場を出るとそのまま家へ帰った。

 自宅までは、車で30分だ。通勤に使っている赤い軽ワゴン車は、結婚してすぐに購入した物だ。

 家へ到着すると、車を一番端に停める。朝、車に置いておいた大きなボールを手にそのまま、車を降りて庭へ行く。

 畑になっていて、5月に植えたミニトマトやきゅうり、ナスなどがものすごい勢いで育っていた。

 1人には多すぎる量の実を楓花は慣れた手つきで収穫していく。

 

 ベビーリーフの種は、そのまま大きく育っており、ベビーではなく立派なレタスになっていた。

 リーフレタスやロメインレタスなど、食べごろサイズに育ったものを収穫していく。芯を残しているので、だんだん上へと伸びていた。

 カボチャはそのまま地面に転がして育てているが、ズッキーニはネットに結び付け持ち上げて育てていた。その方が色むらなく育つ。

 ピーマンは大量にできているので、それらも収穫していく。

 ボールが収穫物でいっぱいになったら、車に戻って通勤バックを取り出し、家へと入る。

 玄関で靴下を脱ぎ、裸足で歩いてキッチンへ向かうと、ボールを置いた。それからそのままバスルームへ向かい浴槽にお湯を貯めつつ、その間に身体を洗う。

 ジッパー袋に入れたスマホを持って浴槽につかり、ネットニュースを読む。

 お風呂から出て、髪を乾かしてからキッチンに立つ。

 職場に持っていったお弁当箱を洗った。

 玉葱をフードプロセッサーにかけてみじん切りにし、ボールへ取り出す。そこにオーク肉を入れてミンチにした。

 ボールの中に玉葱とオーク肉を入れ、塩コショウをしてワインを入れる。卵とパン粉も入れて良くこねる。しっかりと捏ねたら、収穫したばかりのピーマンをよく洗ってから半分に切っていく。

 今日収穫した7つのピーマンを半分にすると、茶こしに小麦粉を入れてピーマンの内側に振り、種は取らずに今捏ねた肉種を詰めた。種は食べても問題ないし、肉詰めなら取らなくても美味しく食べられる。

肉の表面にパン粉をつけて、容器に入れてから冷蔵庫に入れた。

 次に残った肉種を丸めて楕円形にし、中心を押してミニハンバーグを作っていく。表面をフライパンで焼いていき、表面が固まったら、冷ましてからラップで包んだ。それを袋に入れると冷凍庫に入れた。

 今週と来週のお弁当4回分のおかずになる。残りを大き目に焼いてそれもラップで包んで冷凍庫に入れた。


 生肉に使った道具を肉用のスポンジで洗い、一度リセットする。

 手をよく洗ってから、レタス類を洗った。

 一度に食べきれないので、キッチンペーパーで包む。4枚ほどを残して冷蔵庫へ入れる。

 きゅうりをよく洗い、斜めに切り分けてから袋に入れて、塩をたっぷりとまぶしてから、空気を抜いた。それを汁が出てもいいように、器に入れて冷蔵庫に入れた。

 それから、ナスをよく洗ってからそのままロースターで焼く。その間にミニトマトのヘタを取ってよく洗った。

 

 ナスが、焦げ気味に焼けた。氷水につけながら、皮を剥いた。それを食べやすく切りしょうゆをかけて鰹節をトッピングした。

 ミニトマトのうちよく熟していた5粒を夕食用に小鉢に入れた。

 フライパンを取り出し、オークの脂身を1欠片焼いて脂を出してから、冷蔵庫に入れたピーマンの肉詰めの半分を肉の側から焼き始めた。

 じゅわーっといい音がしている。

 フライパンに蓋をして、冷凍庫からごはんを取り出して電子レンジに掛けた。

 フライ返しで肉詰めをひっくり返していく。

 また蓋をして、2分ほど待つ。


 その間に、きゅうりを袋から取り出し、残りは空気を抜いて冷蔵庫へ戻した。

 ダイニングテーブルにランチョンマットを敷き、小皿を並べていく。

 大皿にレタスをちぎったものを乗せて、焼きあがったピーマンの肉詰めを乗せた。

 ごはんをお茶碗に移し、箸置きと箸をセットする。

 汁物までは作らなかったので、お茶を淹れた。


 「いただきます。」

 

 畑があると収穫物があるから、食卓が華やかになるね…。

 ピーマンの肉詰めとレタスの乗った大皿と小鉢にミニトマト、きゅうりの漬物、焼きナスがある。それにごはんとお茶。1人のご飯としては十分な品数だろう。

 明日の朝、もう一度ピーマンの肉詰めを焼いてお弁当にほぼ同じ物を詰めるけれど、食べるのは自分だから構わない。朝ごはんに納豆を食べれば、続いた感じもないし平気だ。


 

 「今日も美味しそうですね。」

 「今の家、小さな畑があるから野菜を買わなくて済むので…」

 「そういえば、引っ越したって言っていましたね。」

 「はい、岡野宮です。」

 「いいですね。最近、開発が進んできたから住みやすそう。」

 「そうですね。スーパーも近いので助かっています。」

 

 昼休憩は、正社員に交じってお弁当を食べていた。

 お弁当を覗かれるのもいつもの事だった。

 楓花は、見られてもあまり気にしない、遠慮することもない。

 

 「楓花さん、お菓子どうぞ。母の手づくりです。」

 「木原さん、お母さんプロでしょう。お店の品ですか?」

 「そうですけど、失敗作らしいです。形が悪いの。」

 「ありがとうございます。どこが失敗かわからないですよ。うれしい。」


 木原さんは若いけれど、しっかりとした研究者だった。形が悪いというけれど、細長い棒状でこういうものだと言われればそう思える物だ。

 表面を覆っているパラフィン紙を外し、口に入れると芳醇なチーズの風味はプロセスチーズやクリームチーズだけではなく、ブリーチーズとブルーチーズが少し入っているようだ。癖が強いけれど、ほのかな柑橘の香りがそれらを良いものへと引き上げていた。


 「え…なにこれ濃厚…チーズと…レモンじゃないですね。ほんのりゆず?」

 「そうです!楓花さんよく気が付きましたね。私なんて、レモンって言って怒られました。」


 気安い会話をして、職場のポットのお湯でコーヒーを淹れる。

 コーヒーをお供に、お菓子を味わった。


 「最近、いい事ありましたか?」

 「いい事ですか?あったかも…」

 「何々?どんな事?」

 「可愛いい子と会ったの、知り合いのお家にいて、遊びに行くと駆け寄ってきてくれるの。」

 「あ~、そっちでしたか。楓花さんとろけていますね。」 

 「はい、だってかわいいのよ。」

 「ほら、だから違うって言ったじゃない。」


 目の前の同僚2人が、突きあっていた。

 

 「なに?」

 「だって、てっきりいい人が出来たかと思って…。」

 「残念ですけど、そういう人はいませんよ。そんな気にもならないし、今更面倒でもあるし…」

 「そうですか?」

 「そうですよ。男の人って男女平等って言いながら、全然平等じゃないもの。家の事は出来ないとか言って、まともにしてくれないし…」

 「それはあるかも、うちの旦那なんて…」


 そこからは、旦那の愚痴大会になり、男性陣はそそくさと休憩室から逃げて行ったようだ。

 楓花は、夫が亡くなって悲しい。だが、それとは別に不満はたくさんあった。多分夫にもあったと思うけれど、それはそれ、これはこれだ。亡くなったからといって不満が消えてなくなるわけじゃない。




読んでくださりありがとうございます。

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