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旦那様が、倒したホワイトジャイアントを収納していく。
今は解体している場合ではないとの判断だろう。
このペースで攻撃を受けては、なかなか大変な状態になりそうだ。
そうか、なるほど…だからあの数になるのか。
到底2日で狩るような数ではなさそうだが、確かに引き寄せられていると疑いたくなるほどに獲物が寄ってくるようだ。
「ケント、いつもこうなのか?」
「そうだな。さすがにホワイトジャイアントがこれほど来るのはなかったが、ブラックベアーとオークが、このペースで来るのは普通だ。」
ブラックベアーは、十分に危険な獣上位であり、オークはそれから下がるとはいえやはりかなり危険な部類だ。それらが1日に何頭も来るというのは…恐ろしいことだ。
「ルーシー殿も素晴らしいな。何度もアイスジャベリンを打ち出している。」
「いえ、ここに居るならどなたでも、いつも以上の力を使えると思います。」
庶民と言っても、高位の冒険者になればそれなりに作法も身につくようだ。
相手を立てる物言いができるとは、フーカ様のそばにいるに相応しい。
ギルバートはそう思ったのだが、ルーシーは素直に言ったにすぎない。
天龍と騎士団が話をしている間に、楓花が車の裏へ回ったので敬一郎もついていく。
ギルバートは、それを横目に見ながら少し2人きりにして差し上げようと思った。
裏へ回った楓花は、そんな気遣いには気が付かず、仕留めたツリーホーンの解体に取り掛かった。
いつも通りにシャベルに穴を掘らせて、バケツに札を貼っていく。
いつもと違うのは、内臓用のバケツを用意したことだ。
グリフォンがあれだけいるので、エサにできると思ったのだ。
とはいえ、解体中は見たくないので離れて皆の元へ戻るので、離れた時間は数分だった。
楓花は、そろそろお昼だと考え始めていた。
だけど、この人数に食べさせるだけのパンなどない。
クラッカーで許してもらって、あとは今手に入れたツリーホーンを食べようかな。
鹿肉は、子供の頃から食べ慣れている。
叔父が狩猟で仕留めた鹿肉を届けてくれていた。
病気は怖いけれど、表面だけあぶって薄く切った叩きは大好きな食べ物だ。
肉の寄生虫やウイルス・細菌を学んでからは、野生の生肉を食べることはしていない。
よく焼いてから、ショウガと葱をたっぷり入れたお醤油にしょうかな。ごま油も少しいれようか。
いや、待って…お醤油味は苦手かもしれない。
ニンニクとオリーブオイルと塩コショウのソースも用意しよう。
鹿肉自体に酒と塩を振り薄く味をつける。
肉はいつもの焼き肉用の切り方だった。
ギルバートは、旦那様の元で控えていた。
騎士たちが戻ってきてリハルドへ報告を上げている様子を見つつ、アーサーたちが何やら始めたのを見た。
台を出すと、足を伸ばしてから枝を集めてきた。
そこに焚火の火を持ってきた。
しばらくすると、網を乗せ動き回っている。
そのうち、車の側面のドアが開きボールが次から次へと渡されていた。
ポットが出てきて、それらが長机へと並べられていく。
長机の上には、ポットが4つ。4つと皿に盛られた野菜が4つ、白く四角い物が入った籠。小さなスプーンの入った容器と置かれていた。
焼き台の後ろに置かれた長机には、籠に山積みに入った野菜があり、それらが焼き台へ並べられていく。
食事か?
フーカ様が車から降りてきた。
髪を後ろにまとめていて、髪型を変えられたようだ。
車の中にメイドでもいるのだろうか?
「ギルバート、リハルド、今…楓花さんがランチの準備をしてくれている。」
「ランチでございますか、旦那様と同じ習慣でございますね。」
「そうだな。」
ランチという習慣は、ヒシ家の皆さまの持つ習慣だ。
朝食を朝7時から8時と早くに召し上がり、12時から13時にランチを召し上がる。15時から16時にティータイムを取り、19時から20時頃に夕食を召し上がる。
一般的な貴族家では、10時から12時頃に朝食、16時にティータイム、20時頃に夕食を召し上がる。
朝の時間が異なるため、使用人たちの動き方も異なっていた。
アーサーが、焼き台に野菜を並べ始めた。
野菜という物は、ヒシ家ではよく食べられているものの、一般的な貴族家では好まれない。ふむ…野菜を好まれるのもヒシ家と同じだ。
フーカ様こそ、旦那様にふさわしいお方に違いない。
最初に焼けた物をケントが一通り食べて見せる。
フーカ様は、味付けについてお尋ねのようだ。それからフーカ様が召し上がり、アーサーに何かの指示をしていた。
焼きあがった野菜と肉をフーカ様自ら盛り付け、旦那様へとお出しになった。
旦那様は、随分と嬉しそうに召し上がり始めた。
食べやすい大きさになっているようで、フォークだけで召し上がっている。
それから、フーカ様も皿を持ちテーブルに着かれた。
ルーシー殿がやってきて、説明をしてくれる。
「ギルバート様、皆さんの分のご用意が出来ましたのでこちらへどうぞ。」
「ありがとう、では遠慮なくいただいましょう。」
「リハルド、騎士団も頂きましょう。」
「はっ。」
「サラダ…生野菜はこちらにあります。この白いソースをかけてください。飲み物は、こちらのポットごと持っていって大丈夫です。こちらの2つのソースはお肉用です。黒い方は、ジンジャー味です。もうひとつはニンニク味です。これらはフーカ様がお作りになりました。焼き物を受け取ってからお持ちください。」
「ルーシー殿、こちらの籠の四角い物はなんでしょうか?」
「こちらは、クラッカーというパンの代わりに食べる物だそうです。おひとり3枚くらいです。」
「ほぉ…わかりました。」
1人3枚くらいということは、70枚ほどはあるということだろう。
かなりの量になる。
ギルバートは、大皿に見慣れない野菜と、肉の薄切りを焼いた物を5枚ほど受け取った。
すると、フーカ様が手招いてくださる。
「ギルバートさん、お掛けになって召し上がってくださいね。」
「ありがとうございます。」
ありがたいが、旦那様の許可が必要だ。
ちらりと旦那様へ視線を向けると小さく頷かれた。
どうやら、食べる事に集中なさりたいようだ。
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