18
白い獣が倒れこんだが、ガードに阻まれずるずると落ちていく。
うつ伏せに倒れた白い獣からアーサーさんの剣が抜かれると、ケントさんの大剣がその首を斬った。
「うわあああ!!!」
ダンさんが、歓喜の声を上げると、ハナさんやテンさんも声を上げた。
楓花たちは、しばらく呆然としていたけれど、サナが身じろいだので正気に返る。
リリーさんも、ようやく動けるようになったようだ。
「怖かった…」
「うん、怖かったね。それにしても…ケントさんたち強いわ。」
「はい、強かった。すごくカッコいい。」
ルーシーさんが、やってきた。
「楓花さん、ガードをあと2mくらい広げられますか?」
「はい、大丈夫ですよ。」
楓花は、運転席に戻りガードを3m広げた。
それから、倉庫からバケツを取り出し空いているバケツを取り出し、名札と共に運んでいく。その後ろをサナがついて回っていた。
近づくとその巨体がよくわかる。
ケントさんやアーサーさんの倍以上の体長があった。しかも横にもかなり大きい。
「この獣の肉は食べられますか?」
「もちろんだ。めちゃくちゃうまい。」
「それは楽しみです。なんという名前ですか?」
「これはホワイトジャイアントだ。」
「ホワイトジャイアント…わかりました。札を作ります。」
「それなら、肉、舌と心臓と肝と脳を同じ札に、毛皮、それと牙と爪…くらいか?」
「そうだな。」
「では、こちらを使ってください。」
「ちょっと待って!骨もお願い。背骨と肋骨…肋骨は武器を作れるわ。」
「わかったわ。骨は全部一緒でいいかしら?」
「もちろん」
楓花は、解体ナイフを首元へ刺すと「血を抜き出して」と指示した。
それから骨用の追加の札を作った。
解体現場を見たくはないし、これは捨てる物もかなりありそうだ。楓花はシャベルに近くに穴を掘るように指示し、札を入れた。
血も止まっているようなので、解体ナイフとシャベルを回収して3人に「よろしく」と言って離れた。
それから、子供たちを連れて車の反対側へと移動し露草摘みを再開した。
「ホワイトジャイアントなんて…よく3人で倒せたよね。」
「3人って言ったってガードがあるからな。背中の守りはいらない。」
「それはそうね。アイスジャベリンの呪文を詠唱する間、周囲を警戒する必要がないから、詠唱も早くできたわ。」
「そいつはよかった。」
「それにしても、でけーな…」
「ああ」
ケントたちもすぐには、解体をせず少し見ていた。
体長5m以上はある。そして転がっていても俺たちの背よりも大きい。
当然、横幅も相当にある。2本足と言っても足はかなり太く短めだ。足の先に指はなく固くなっていて馬の蹄に似ている。
「こいつの肉相当あるぞ…。」
「そうだな。」
「バケツに入るか?」
「わからん。だが入るだけ入れてもいいだろう。」
「それはそうだな。」
「そうね。とにかくやってみましょう。」
「ああ、それにしても…」
ケントの視線は掘られた大きな穴に向けられていた。
「なんでスコップが動いて穴を掘れるかな。」
「それを言ったら、あの血抜きナイフだ。あれがあるなら吊るさなくていい。」
「もう、駄目よ。こんな便利な物はないの。ここまでやってくれただけで、かなり楽にできる。早く片付けてしまいましょう。」
「そうだな。」
3人は1時間以上をかけて解体していった。
「肉、入ったな…」
「ああ、入ったな…」
「このバケツ、どんな容量なのよ…相当あったわよ。」
解体を終えたので、楓花に声をかけガードを狭めてもらう。
「そろそろお昼ですね。その前に、ケントさんたち手を洗いましょうか。」
楓花は、車に戻るとキッチンの蛇口にホースを取り付けて窓から外へ出した。
「では、お水出しますよ~」
ケント達は、その水で手を洗い顔も洗った。
血抜きをしてくれたおかげで汚れは少なかったが、それでもそれなりに汚れていた。
「ありがとう。もういい。」
その声で水を止めた。
さてと…そろそろ夕食よね。
今いるのは山の傾斜がきつい。落ち着かないので、昼間の場所まで下がってから食事にしようかな?
「すいません、そろそろ暗くなると思うので、昼間の場所に戻りませんか?」
「ん?」
「斜めでちょっと落ち着かないので…。」
「それもそうだな。では片づけて行こうか。」
出した道具を片付けているうちに空が赤く染まり始めた。
夜の山は危険だ。
楓花たちは、早々に片づけて元の野原へと戻った。
野原には泉がある。
その水を汲んで、ケントたち3人はウィンドブレーカーを洗った。
ここだとそこまで寒くないので着なくてもいい。
「さてと、何を食べましょうかね。やっぱりホワイトジャイアントかな?」
楓花が倉庫の前で悩んでいる間に、ケントたちが焼き台の用意をしてくれていた。
美味しいお肉なら、そのまま塩焼きがいいだろう。
楓花は、袋をひっくり返したものでバケツから肉の塊を取り出した。
筋肉質だけど、寒いからか脂も程よく入っているようだ。
キャビンに戻り、ナイフに肉を厚めに切り分けてもらう。
あとは…何がいいかな?
冷蔵庫の中には、前の持ち主が入れてくれた野菜が大量に入っていた。
キャベツと玉ねぎを切り、じゃがいもを厚めに切った。
「では、昨日に続き焼肉ですね。今日は…ホワイトジャイアントです。」
「おぉ…」
暗いので、焚火も焚いていた。肉を焼くところはランタンを置いて明かりをとった。
2つの長机の両サイドにランタンを置いていた。
今日もまた、どんどん焼いて食べていく。
じゃがいもを用意して、あとは小さなおむすびを作っていた。
一緒に焼いて焼きおむすびにして食べる。
翌日、山を登って昨日の場所に到着した。
ガード範囲を10mに広げて採取を始める。
しばらくすると、周囲が暗くなった。
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