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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第6章 娘たち

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 天龍が狩っている獣は見慣れない大きさで、私たちの腰の辺りまでの背丈があった。ウサギらしいけれど、角うさぎとは違う品種らしく、お腹に丸い甲羅のような物がついていた。


 「ルーシーさん、あの大きなウサギお腹に甲羅のようなものがありますね。」

 「ああ、あれは凸甲羅と言って薬になるのよ。」

 「あれが凸甲羅なの!?欲しいです!」

 「うん、そう言うと思った。ちゃんと回収しているから安心して。」

 「わぁ…楽しみですねぇ…お肉は食べられますか?」

 「もちろん。角うさぎよりも脂がのっていておいしいのよ。特に今の季節は最高に美味しくなっているわ。」

 「まぁ!それは楽しみですね。あれはなんていう生き物なの?」

 「木の実ウサギよ。」

 「木の実ウサギですか…」

 「森の恵みが大好きなのよね。今の時期は本当に肥えていて、食べるのが楽しみだわ。」


 いつも角ウサギの肉を入れているバケツは、空にしてある。それを木の実ウサギ用に使ってもらうことにした。

 採取に飽きた楓花は車へ戻り、後ろのドアを開けてバーベキュー台を下した。

 それを見て、リリーさんとサナもやってくる。

 そもそもサナは飽きていて、採取中も楓花の背中へとよじ登ったりしていたくらいだった。

 

 「ごはん?」

 「そうよ。お昼に軽く食べましょう。」

 「それなら、あれたべたい!」

 

 ケントたちが、バケツを持って帰ってきた。

 サナはそれを指していた。

 

 「あれ?」

 「うん」

 「いいけど…」

 

 チャレンジャーというか、遠目で捌いているのを見ていただろうに、怖くないのだろうか?

 

 「楓花さん、肝がすごくうまそうだ!」

 

 ケントさんが笑顔で言ってくるということは、食べたいのだろう。

 うん、今日のお昼はウサギのレバーとお肉ね。

 どうやって食べようか。

 

 炭火焼にしようかな?

 薪が沢山あるのはわかっているけれど、炭で焼くとまた違って美味しくなる。

 バーベキュー台に網を乗せ、火を熾した。


 鮮度がいいお肉とレバーなら、素材の味を楽しんだほうがいいだろう。

 お野菜は何がいいかな?

 日本は6月下旬で温かくなり始めている。

 夏野菜のピーマンやナスが、美味しそうな色合いになっていたので買ってある。

 生椎茸も持ってきていた。

 

 でも、ナスなら脂を吸った方が美味しいし、ウサギ肉もパッと見た感じは、鶏もも肉に似ていた。皮はないけれどさしがはいっているので、脂は強そうだ。

 鉄板かフライパンの方がいいだろうか?う~ん…悩む…。

 

 フライパンを出そう。

 ナスはフライパンで、ウサギ肉と焼くことにしよう。


 そう思って、肝を見て驚いた。

 白っぽい…脂肪肝?

 触った感じも柔らかい。

 フォアグラ状態なのだ。

 う~ん…網ではなかったなと後悔した。

仕方がないので軍手を付けて網を外し、鉄板を乗せた。

フライパンも片付けた。

 

 ウサギ肉を食べやすい大きさに切り、塩コショウをする。肝は1㎝ほどの厚みに切り塩コショウをして小麦粉をまぶした。

 薄くサラダ油を塗って、熱くなったところで木の実ウサギの肉を焼いた。ワインを振りかけて焼いていると脂が染み出てくる。

 そこに小麦粉をまぶした肝を焼く。

 脂を吸ってきつね色に焼けたところでひっくり返した。

 輪切りにしたナスと椎茸を焼くと脂を吸っていく。

 うん…脂を吸って美味しそうだけれど、脂を取りすぎのような気がする。

 ここでは動いているし、その分のカロリーは消費出来るはず…。

 楓花は、心の中で食べるための言い訳をしていた。


 「フーカさん、変わろうか?」

 「ありがとう。」


 鉄板に脂が回ったので、もう誰でも焼けるだろう。

 交代を申し出てくれたアーサーさんに生肉用のトングを渡し、最初に焼いた物をみんなのお皿へ分けた。


 「おいしー!!」

 

 サナの声に、他の子どもたちも食べ始めた。

 大人たちもそれを見て、食べ始める。

 野菜は脂を吸っていて、美味しさが倍増していた。

 木の実ウサギの肉は、鶏もも肉のような食感で脂と肉汁がじゅわっとして美味しい。

 肝はフォアグラそのものだけれど、味が濃くて美味しい。

 これは、癖になる味。少し時間停止させて持っていたい。

 

 

 「フーカさん、この食べ方うますぎる。」

 「そうね。私も美味しくて驚いているわ。」

 

 ケントさんが、耳元に顔を近づけた。

 

 「フーカさん、肉の保存ってどのくらい出来る?」

 「結構な量は置いておけるわ。期間も長く…」

 「この脂ののった味は、今時期だけだ。冬になるとだんだんと筋肉質になって、春からまた太っていくけれど、ここまでではない。」

 「なるほど…それは悩ましいですね。」

 

 「半分ほど売って、残りは置いておきましょうか。私も食べたいですし、食べつくすかもしれないけれど、何回かは渡せると思うわ。」

 「よし!それでいこう。俺たちは、保存出来ないからな。」

 

 お肉も肝も美味しすぎて、みんなでお腹いっぱい食べてしまった。

 みんな食べ過ぎて動けない。

 ちょっと食べすぎてしまった。


 「食べすぎましたね。」

 「ええ、ちょっと苦しいわ。」

 「車で少し休みましょうか。」

 「そうだな。」

 「そうしよう。」


 「では、2時間くらい休みましょう。」


 楓花はサナとリリーを連れて、キャビンへと戻った。


 「おひるねはいっしょ!」

 「え?」

 「いっしょにねよーよ」

 「ん~いいですけど、目が覚めてもここから出てはだめよ。約束出来る?」

 「あい、やくそく~」

 「リリーさんは?」

 「はい、フーカさんが起きるまでここにいます。」


 約束をして、服を脱いでパジャマ用のTシャツに着替えた。

 ベッドに川の字になって仮眠を取った。

 川の字で寝るのは、いつ以来だろう。

 


 重い…。

 楓花の目が覚めた時、サナの頭がお腹に乗っていた。

 あらら、この間までお行儀よく寝ていたと思ったけれど…リラックス出来るようになったのかな?


 起き上がってリリーさんがいないことに気が付いた。 

 サナをお腹からそっと下ろして、ベッドを降りてみるとリリーさんは、ソファーに座っていた。


 「リリーさん、もう起きたのね。」

 「はい、サナに蹴られて、目が覚めちゃった。」

 「あらら、私もいつの間にか枕になっていて…重くて目が覚めたわ。」

 「クスクス…」

 

 二人で笑い合う。

 

 「フーカさん…私、目が覚めてもお腹いっぱい。」

 「あら、リリーさん。私もよ。」

 

 二人でクスクスと笑い合う。

 サナが起きないように、声の大きさに気を付けながらおしゃべりをした。

 

 「お屋敷では、どんな事をしているの?」

 「午前中はお掃除をします。お部屋のお掃除はしていなくて、廊下とか広間とか…。」

 「そうなのね。」

 「午後からは、メイド長がいろいろな事を教えてくれます。数の数え方とか、姿勢とか…。」

 「姿勢ね。たしかに姿勢は大事よね。姿勢よく動き方も優雅に見えた方がいいもの。」

 「あとは…」


 お屋敷の掃除がメインだけれど、2人は真珠宮ではなく、屋敷でメイドの見習いとして過ごしているらしい。

 いろいろと聞きだした。

 子供を働かせるのは如何なものかと思ったけれど、リリーの話を聞いているとほぼ行儀見習いだ。

 掃除もやり方を教わり実行しているものの、それは自分が小学校で教わったレベルのものだった。特別な物はなく、窓を磨くなど大掃除を毎日やっているようなものだった。

 寧ろ役割を与えられていることで、午後の作法や基礎学問も仕事のためと、頑張っているようだ。

内容を聞く限り、仕事に生かす内容というよりも、生きていくために必要な教育の範囲だろう。

 よかった。搾取的な労働ではなさそうだ。



読んでくださりありがとうございます。

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