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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第6章 娘たち

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 楓花は、木曜日になると大荷物をキャンピングカーのキャビンに詰め込んだ。

 金曜日の仕事を終えたら、すぐに向こうへ移動する。

最大で向こうで過ごせるのは5日、大和時間で日曜の昼には日本に戻らないとならない。

 ララは連れ出せないだろうけれど、リリーとサナも連れて行こう。

 楓花は、3人へのプレゼントとして子供服店で、かわいらしい服を購入していた。

 

 イルルジオーネは、秋の終わりごろになる。中級ポーションの材料である露草の採取が、出来るらしい。

 

 楓花は、事前に敬一郎へ予定を伝えていた。

 渡ってすぐにヒシフォートのお城へと向かう。

 

 ヒシフォートの街の入り口からお城手前の門までは、スムーズに通してくれる。

 ここまで素通りに近くて大丈夫なのかと思ってしまう。


 お城の掘りを渡り、城門に入る。

 さすがにお城の門では、窓を開けて顔の確認はあった。


 「大魔導士フーカ様、ようこそいらっしゃいませ。中へお進みください。」

 「ありがとうございます。」

 



 「楓花の車が、門の中へ入った」と城の奥にある真珠宮へと連絡が届いた。

 敬一郎は、楓花を出迎えるために外へ出た。

 執事のギルバートもついてくるのは、楓花の顔を見たいのだろう。

 リリーとサナは、楓花さんが以前着せていたTシャツを着ていた。

 屋敷にいる間は、お仕着せを着るしかなかったが、出かけるので自由にさせた。


 「よろしいですか、フーカ様は大魔導士様です。礼儀正しく接するように。」


 ギルバートが、言い聞かせているがおそらく無駄だろう。

 楓花さんが、それを好むとは思えない。

 

 「こんにちは、ケイさんまでお出迎えに出てくれたの?」

 「当然ですよ。それに容器も出来ましたからね。お渡しします。」

 「ありがとうございます。それでは積み込みますね。リリーさんとサナは元気ですか?」

 「ええ、もちろん。ほら、二人とも…」

 「フーカさんだうれしい…」

 「リリーさん、こんにちは。」

 「こんにちは」

 「フーカぁ」


 サナは、楓花の前で泣き出した。

 楓花は、そんなサナを抱き上げる。

 なんだか、ついこの間もみた光景だ。


 「どうしたの?」

 「きてくれたぁ」

 「そうよ。お約束したでしょう?」

 「うん…ぐすぐす…」

 「はいはい、泣き止もうね。これから4日は一緒に過ごすのよ。」

 「ほんとう?」

 「そうよ。ケイさんにはお伝えしているわ。」


 サナが、楓花の腕に抱かれながら敬一郎を見た。

 敬一郎は、サナに近づき頭を撫でた。


 「本当だ。楓花さんと出かけておいで、リリーも一緒に行ってきなさい。」

 「いいのですか?」

 「もちろんだ。ところで楓花さん、どこに行くのですか?」

 「露草の採取に行くの」

 

 集まった使用人たちがざわつく。

 露草の採取が出来るのは山の中腹だ。

 山自体が、こんな幼い子を連れて行くようなところではない。

 楓花さん一人ではなく、天龍が一緒にいるから行けるところなのだろう。

 

 「無理はしないようにご注意ください。」

 「はい…気を付けますね。」

 「リリー、サナ危険な場所だ。楓花さんの言うことを聞いて、絶対に離れないように。」

 「はい!」

 「あい!」

 



 サナの返事が「うん」ではなくなっているけれど、「はい」と言えず「あい」になっている。かわいいなぁと楓花は、とろけてしまう。

 

 「さぁ、2人とも車に乗ってね。」

 「はい」

 「あい」

 「ソファーにしっかりと座るのよ。」

 「はい」

 「あい」

 

 楓花は、一度キャビンへ乗り込んだ。サナをソファーへ下ろす。

 ペットボトルの麦茶を取り出した。

 キャップを開けて、2人に1本ずつ渡す。

 

 「ここを回すと開いて飲めるわ。移動中揺れるかもしれないから、飲むときに開けて直接飲んですぐに閉めるのよ。」

 「はい」

 「あい」

 

 楓花は、棚から籠を取り出して外へ出た。




 「ケイさん、こちらお約束のお薬3種とポーションが入っています。それとこちらは、干し肉ですのでお召し上がりください。」

 「これは、助かります。」

 

 敬一郎は、微笑を浮かべてそれらを受け取った。

 使用人たちは、いつになく柔らかい表情の主を見て、やはりお似合いだと確信を持つ。


 


 楓花は、敬一郎と集まっている人たちに頭を下げると車を走らせた。

 ナビにセットし、王都との間にあるロラーナという街へ走っていく。

 車を走らせて4時間で200㎞ほど走った。これはなかなかに遠い。


 ステルスのまま道路から外れて、休憩を取ることにした。

 キャビンへと移動すると、リリーさんとサナは居眠りをしていた。

 

 「ん?着いたの?」

 「まだよ。疲れたから少し休もうと思って…。」

 「一緒に寝る…」

 「それならベッドで寝ましょうか。」

 「うん…」

 

 リリーさんは目をこすりながら、ベッドへと移動した。

 楓花は、寝入っているサナを抱き上げてベッドへと運んだ。


 この世界の時間で10時だ。本当はお昼を食べてからの方がいいけれど、眠気が限界だった。楓花たち3人はダブルベッドで川の字で眠った。


 

 楓花が目を覚ましたのは3時間後だった。結構疲れていたようだ。

 とても中途半端な時間だ。

 急いで起き上がると、炊けたご飯にわかめご飯の素を混ぜてラップで包んで握った。インスタントのお味噌汁も用意する。

 

 「リリーさん、サナお昼ごはんを食べましょう。」 

 「うん…」

 「たべる!」

 

 リリーはまだ眠そうで、サナは元気だ。

 お茶を飲んで、お味噌汁を飲む。うん、美味しい…落ち着く味だ。

 

 「味が濃かったらお湯を足してね。」

 「うん、少し欲しい。」

 「このくらいでどう?混ぜて飲んでみて…」 

 「うん、おいしい。」

 

 おむすびも食べているから、口には合っているようだ。

 パンではないけれど、食べられてよかった。


 「リリーさん、眠る時間がないくらい働いているの?」

 「ううん、お手伝いは午前中だけで午後からはお勉強とか…」

 「そっか。それならお勉強をたくさんしているの?眠すぎじゃない?」

 「これは…その…昨日、明日会えると思ったらうれしくて…眠れなかったの…」

 「そうなの?それならよかったわ。」

 「閣下もギルバート様も優しくしてくれて…いいのかなって思っているくらい…」

 「そう、それはよかった。」

 「今日はどうするの?」

 「今日はね、ララさんに会いに行きましょう。それからアートンに行って、アートンで天龍のみなさんと会うわ。」

 「てんりゅう?」

 「そうよ。とても良い方たちなの。」

 「そう…。ララに会えるのはうれしい。」

 「ララさんに会いに行くから、新しい服に着替えましょうか。」

 「新しい服?」

 「そうよ。かわいい服を買ってきたから、おめかししましょう。」


 リリーには、青地に黄色と黒のチェック柄のワンピースと青い靴下を渡した。

 サナには、紺色のワンピースを着せ、白い靴下を履かせた。

 楓花は、白いパンツにリリーのワンピースと似た生地のブラウスを着ていた。その上から紺色のカーディガンを羽織る。

 秋も深まっているらしく少し寒い。

 楓花は、マントを着ると運転席に戻った。



読んでくださりありがとうございます。

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