表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第6章 娘たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/113

10



 敬一郎は、執事長のギルバートを通し数人の職人たちに容器を作る依頼をかけた。

 使う素材はポーション容器と同様の物を指定し、その容器を入れる専用籠も依頼した。

 それから20日後、敬一郎の前には多種類の容器が並んでいた。


 「旦那様、依頼の品が届いております。」


 ポーション容器は多角形に作られている光を乱反射させることで、中の液体を保持できるらしい。

 ポーションのような物を入れる容器であると注文したために半数以上が多角形の品になっていた。まばゆいほどに光を乱反射させていた。

 

 「随分と美しいな…。」

 「さようにございますね。」

 「これでは、容器代に相当かかりそうだ。いくらだ?」

 「はっ…今、お手にされている品で大銀貨1枚でございます。」

 「うむ…なかなかだな。」

 「この品ですから致し方ないかと…」

 「ふむ…これはこれで良いが、楓花さんが持って来たような薄く壊れない素材にできないかも確認してほしい。」

 「かしこまりました。」

 

 さらに20日後、敬一郎の前にはシンプルな形状の容器が並んでいた。

 楓花さんが使っているより厚みはあるが、遜色のない出来だった。

 敬一郎は、楓花にLIMOを送った。


 「容器が出来上がりました。詳細を話したいのでお時間をとってはもらえませんか?」

 「ありがとうございます。次の土曜日にお伺いします。朝でもいいですか?」

 「もちろんです。お待ちしています。」


 大和時間のゴールデンウイークを終えて2週間が経過していた。

 敬一郎もまた通常の業務をこなしながら、土曜日を待った。



 

 楓花は、平日5日は大和で働き家に帰ると畑の手入れをする。

 金曜の業務終了から日曜日の夕方までイルルジオーネで実質6日を過ごし、日曜日の夕方を自宅で迎え明日に備えるようになっていた。

 土曜の早朝にあたる時間、楓花は敬一郎とヒシフォートの真珠宮で会う約束をしていた。


 楓花は、いつも通りに金曜日に仕事を終えると虹湖で過ごした。

 誰もいないというのは、とてもよかった。

 自宅でもひとりではあるけど、それとはまた違う感じだ。

 木々の枝の擦れる音を聞きながら釣りをして、本を読むのはとても穏やかな時間だった。


 翌昼過ぎに、ドレッシーなブラウスとスカートを身に着け、簡単に化粧を整えてから敬一郎のいる真珠宮を訪ねた。

 

 執事長であるギルバートさんの出迎えを受けて、応接室へと通された。

 談話室とは異なり、一人掛けの椅子が3つずつ並んでいた。

 間には、かなり大きなテーブルもある。

 なるほど、正式な場なのだろう。


 「楓花さん、お待たせしました。」

 

 敬一郎は、ラフなシャツ姿で現れた。

 あれ?正式な場でもない?


 「お隣に座ってもよろしいでしょうか?」

 「ええ、もちろん。」

 

 敬一郎は椅子に座ると、手を挙げた。

 メイドたちが容器の乗ったトレイを運んでくる。

 3色の色も形も異なる美しいカットが施された容器9種類の乗ったトレイとシンプルな容器が4種乗ったトレイだ。


 「これは…」

 「こちらのカットを施した物は、貴族たち相手のいわば市販品にしようと思います。」

 「なるほど…容器代が高そうね。こちらのシンプルなものは?」

 「こちらは、冒険者ギルドに卸すための容器です。使用期限は短くなると思います。楓花さんさえよろしければ、当家で薬の使える者を育て、各地域に治療院を構えさせたいと思います。」

 「まぁ、治療院ですか。」

 「はい。薬を売るよりは、使う場を提供することで、ある程度広く浅く人々を守ることができると思うのです。もちろん、薬の供給量に応じて数を考える必要はありますが…」

 「いいと思います。使い方が心配でしたからね。消毒薬を目に入れたら大変ですもの。」

 「そうですよね。よかった。」

 

 敬一郎は、4種類の容器を手にした。

 楓花の持ち込んだ容器ともうひとつチューブ容器だ。後ろが開いており、軟膏を入れて圧着させるとチューブが出来上がる。


 「こういったチューブはどうかと思いまして…。」

 「チューブもいいですけど…もし可能でしたら、ストローのような物を作れませんか?」

 「ストロー?」

 「はい。圧着でよいのであれば、先端を切り落として中身を使い切るほうが安心かなと思います。」

 「ほぉ…」

 「癒し水と軟膏に限りますが、少量でよい場合もありますよね。何度も開け閉めするよりは、使い切っていくほうが、開封して何日目なんて気にせずに済むと思うの。もちろん、大量に使う時には容器がいいと思うけど…。軟膏は四角いパックとか形状を変えるのもいいと思います。」

 「なるほど…それもいいですね。」

 「それと、どのくらい使って、どういった事例に治療に有効だったか。良くなかったかも記録してほしいです。それらをまとめれば、有効な使い道がはっきりとすると思うので…。」

 「わかりました。では、それらも徹底させましょう。」

 「あと…私が詰めるのも大変そうなので、できるようなら作業をする人もお願いしたいです。」

 「では、販売用の容器はこちらでいいですか?それから治療院用に使い切り容器と消毒薬はどういったものがいいですか?」

 「消毒薬はこちらでいいです。このスプレーの方が細かく噴霧できますから、代替品はないと思います。液体容器に付け替える際に吸い上げ口に手に触れたり置いたりしないようにしてもらえればいいと思います。」

 「では、こちらで。」

 「それなりの量を使う時には、この容器入りもいいと思います。」

 「では、取り急ぎはこの容器を使い、個包装は出来上がり次第導入しましょう。」

 「はい。」

 「楓花さんが良ければ、容器詰めなどはこちらで人員を集めます。」

 「そうですか?では、お願いしようかな?衛生面については、私からお話ししてもいいですか?」

 「ぜひお願いします。」

 「では、それでお願いします。」


 敬一郎は、まだ終わらない様子を見せたので、次の言葉を待った。


 「楓花さんが助けたクーヘン商会ですが、謝礼としてドレスと貴金属類とお金が届いています。」

 「そんな…いいのに…。」

 「彼らの命の値段です。受け取ってください。貴方がいなければ、全員獣の腹の中だ。そして人の味を覚えた獣たちが、他の町を襲うところだった。」

 「あ…そうですね…。わかりました。ありがたく頂戴します。それとお手紙を書けばよろしいですか?」

 「はい、彼らからの手紙を預かっています。そちらの返信はこちらで確認させてください。」

 「わかりました。お願いします。」


 楓花が書いた返信をギルバートが添削し、装飾語などを入れ、表現を湾曲したものへと変えていく。そして、それを楓花が清書した。


 「これでよろしいでしょうか?」

 「ええ、素晴らしい。では、お預かりします。」


 敬一郎は手紙を受け取ると、ギルバートへ預けた。

 交渉事も終えたので、話題を変えさせてもらう。

 

 「リリーさんとサヤに会えますか?」

 「もちろんです。今日は遅いですし泊っていきませんか?」

 「よろしいの?」

 「はい、子供はこちらへ入れることが出来ませんので、屋敷の方で暮らしています。そちらに部屋を用意させましょう。」

 

 楓花は、子供たちに会えるのが嬉しくて笑顔を見せた。

 真珠宮を出た楓花は、先導する馬について車を走らせた。

 助手席には、敬一郎が乗っている。

 今夜は敬一郎も屋敷で過ごす予定だ。



読んでくださりありがとうございます。

リアクションと合わせて星印を★★★★★~★☆☆☆☆にしていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ