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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第6章 娘たち

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 楓花たちは車に乗り、車を発進させた。

 

 「楓花さん、干し肉はやりすぎです。」

 「そうですか?あっケイさんもどうぞ、青い線の袋が熱風乾燥させたもので、黄色い線の袋は凍結乾燥させたものです。」

 「凍結?フリーズドライですか?」

 「そうですね。結構美味しくできたと思うの。ケイさんこのままあちらに帰りますか?それとも、お城に帰りますか?」

 「一度城へ帰ります。彼女たちのことも細かく手配しなくては…。」

 「わかりました。それではこのまま戻りますね。」


 あっという間にヒシフォートへ到着した。

 またゆっくりと町を通りすぎお城へと車を乗り付けた。


 「今日のお礼は改めてさせてください。ありがとうございました。」

 「いえ、では送っていただきありがとうございます。」


 敬一郎を下した楓花は、魔の森へと向かった。


 いつものところは、獣除けを焚いていたらしいので、少し離れた場所に車を停めた。

 寄ってきたオーク2頭をさっくりと倒し、肉にする。

それを翌朝ヒルストンへ売りに行ってから、アートンのギルドへ寄って薬を売った。それからやっと大和へと戻った。

 

 「はぁ疲れた。結局月曜の昼過ぎね…手配は早いほうがいいよね…。」

 

 来週は露草の採取をするので、時間的な余裕はあまりない。

 敬一郎はもう戻っているだろうか?

 LIMOを送ると、通話が来た。


 「楓花さん、お疲れ様でした。」

 「この度はご迷惑をおかけしました。」

 「それは構いません。あちらの生活には慣れましたか?」

 「いえ、まだまだですね。今回は凡ミス過ぎました。本当に申し訳ないです。」

 「大丈夫です。それとサヤとリリーは落ち着いて生活しているようです。」

 「本当に?それならよかったです。今度行くときには、あの子たちに服や靴をもっていかないと。」

 「そういうものは用意したので大丈夫ですよ。」

 「何から何までありがとうございます。立て替えていただいたお代お支払いしに伺いますね。」

 「いえ、あれは気にしないでください。安物ですからね。」

 「いえ、そうは参りません。」

 「では…お金ではなく、先日の薬でいただいてもよろしいですか?」

 「薬?あれでいいのですか?」

 「あれが欲しいです。」

 「わかりました。来週、お城へ行くときに持っていきますね。」

 

 楓花は「なんだ、それでいいのか」と安心した。


 敬一郎のあれが欲しいというのは気遣いではなく本心だった。

 渡された初級ポーションや他3点の効き目は異常だった。

 通常の中級ポーション並みの効果があったのだ。


 

 

 グリフォンたちを巣に戻した騎士たちは、整列をして騎士団総長であり領主でもあるケイ・イチロー・ヒシ閣下の言葉を待った。

 グリフォンで飛んで帰った自分たちとそう変わらない時間に帰ってきたのだ。

 

 魔の森はその名の通りに魔物の巣窟だ。

 オークやブラックベアーという通常の森にはいない魔物が大量にいる。

 あれらと対峙出来るのは、アートンにいる天龍など龍を名乗る事がギルドから許されている実力のある冒険者たちだけだ。


 

 閣下に魔の森へ行くと言われた時には、何の冗談かと思った。

 誘拐された子供たちがいるというので、躯の回収をするのかと思って飛んで向かった。

 そこには、やせ細ってはいるが血色のよい子供が3人もいて、皆揃いの服を着ていた。生成りとは異なる斑のない色は、おそらく安っぽく見えるようにわざわざそれっぽく染めたのだろう。生地はとても上等な物だった。

 近くで見たフローラとアントワーヌは、かなり驚いていた。

 あの少女たちからの聞き取りでは、かなりひどい状態だったらしい。

 それをあのフーカ様が治療したというのだ。

 彼女たちがいうには、サヤという少女が一番ひどく手足共に折られていたらしい。それもフーカ様が治療し服を与えたという。

 与えられた服というのは、織目の細かく一目で上等な生地で出来ていると思った。

 しかも、少女たちがこっそりと見せてくれた下着には繊細なレースがあしらわれており、それを子供用にと両サイドを縫ってくれたと言っていた。

 貴族として大切に育てられた自分たちでさえ履いた事のない、美しいショーツにただただ驚いてしまった。

 

 

 「整列!」

 

 掛け声に、我に返ったアントワーヌは姿勢を正した。

 閣下がやってきた。

 出かけた時と同じ服にマント姿だった。 

 紺色にヒシ家の紋が入っているこの布は特別製だ。これと同じ物をあのフーカ様も着ていた。


 「諸君、急な出動ご苦労だった。今夜はゆっくりと休んでもらいたい。私からワインを差し入れよう。」

 

 わっと騎士たちが歓声を上げた。

 

 「怪我をした者はいるか?治療薬があるから試したいので前に出てほしい。」


 試したいから前に?ちょっと怖い発言だった。

 試したいということは、効果はわからないという事なのだろう。

 治療薬というのも珍しい言葉で、一同戸惑っていた。


 怖いと思っていたが、数人の騎士が前へ出た。

 魔の森は木々が密集していて、ガードも大きかった事から着地出来る場所が少なく枝を引っかけた者たちもいた。魔の森の枝に引っかけたなんて、膿んでしまいそうで恐ろしいから、彼らはこちらに来てすぐに傷を水で洗い流していた。


 「染みると思うが、耐えてくれ。」

 

 そう言って、閣下自ら薬を吹きかけた。

 吹きかけるような容器があるのかと驚いていると、みるみるうちに傷が塞がっていった。


 「ほぅ…」

 「ええええええ!!!」

 

 感心している閣下と驚きすぎて固まっている怪我人と、驚く周囲という対比的な表情だった。

  「ふむ…こうたくさんの傷がある者はいないか?」

 「お前行け、擦りむいただろ?」

 「え…怖いって…」

 「そこの者、こちらへ」

 「はっ!」

 

 騎士が前へ出ていくと、自分の手に薬を取り塗ることになった。

 塗ってすぐに傷が塞がっていく。

 これも効き目がすごい。


 「閣下、この薬は一体…」

 「ああ、これは楓花さんが作ってくれたものだ。君たちの働きに渡されたものだから、今使った物はこのまま使うとよい。」

 「よろしいので?ありがとうございます。」

 「これをあのお方が…」

 

 騎士たちは、小さな薬の容器を前に昼間に会ったばかりの楓花を思い出していた。

 

 「こちらの消毒薬は膿が出た傷の膿を抑える効果があり、こちらの塗り薬は膿んでいる傷には効かないが治りを早めるらしい。ひどいあかぎれなども治る。」

 「それは素晴らしいです。」

 

 騎士たちにとって、傷を負う事は騎士生命に関わる。

 これがあれば…怪我が原因での脱落者が出なくなるかもしれない。

 リハルドは騎士団長として、楓花の薬の効果は知っていたが、その効果のある薬を主君から下賜された事が誇らしく、騎士団のためにもありがたいと敬一郎に感謝した。

 




読んでくださりありがとうございます。

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