戦のあとで
上空で護衛部隊と魔族軍の戦いを観察していたイカロス族の少女テンは、大勢が決したと見ると移民団の元へ戻り見たことを報告した。
「待ち伏せしてるところに誘い込んであっという間に完全包囲してた!まるで魔法みたい!」
「なるほど、それで魔物は全滅したと」
「うん、そうだよ!」
「そうか、ありがとう」
報告を聞いたナッシュはその旨をエルフ側の長に知らせる。その場にはセッカもいた。
「悠希の策がハマったかぁ」
「転移者の知恵が我らを救いましたな」
「あいつ、歴史オタクだからなぁ。戦記物の本も大分読み込んでたし」
「第一の功はユウキさんになるのでしょうか?」
「どうかなー。実際に戦ってるのは騎士団の人たちだし」
巨人族を含めた魔族軍を全滅させた後、護衛部隊は移民団の元に戻ってきた。
「わしの出番は無かったな。そこにいただけで仕事する暇はなかったわ」
ファムファテルはエルフ族の長エンファに対面すると謙遜するようなことを言う。
「とんでもないです。銃の威力がとんでもないことになってましたよあの魔法」
ユウキがフォローする。
そこにセッカが寄ってきて
「やったじゃん悠希、作戦が決まったみたいね。釣り・・・野武士だっけ?」
「釣り野伏せね」
「そっちか!あ、エイムさんもお疲れさまでした!」
「ありがとう」
「エイムさんも大活躍だったみたいで!」
「そうそう。敵将みたいなのを討ち取ったのはエイムなんだ」
「もう、ユウキを守らなきゃって夢中で・・・」
その言葉を聞いて、ユウキが照れてしまう。それを見たセッカは
「なになに?なんか訳ありげ?」
ユウキはエイムは少し見つめ合って、苦笑いすると
「いや、まだちょっと内緒」
と言葉を濁す。
「なんだぁ?気になるなあ」
ところは変わって異界の魔属領。
イストヒリーでの魔族と人間の戦いは魔族の密偵も偵察していた。
それはヘルパトミナの配下ではなく、火魔将アータルの配下の者だった。戦いの詳細はテンが移民団に知らせたものよりもはるかに詳細に伝えられ、アータルはヘルパトミナが討たれたことを重く受け止めた。
「ヘルめ、性急に動くにしても相談してくれれば他にやりようもあったものを・・・」
その表情には苦々しさに満ちていた。
「過ぎたこと考えても仕方ない。軍はまだ大規模に動かす時期ではないし動かせようもないが、大きすぎる情報は共有せねばなるまい。残りの2魔将と”転移者”も含めて」
亜人種の移民団はマルボークへの旅を順調に続けた、そして、まもなくその旅を終えようとしていた。
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