美形執事とエルフの長
ファムファテルたちは応接室に通された。
「大魔導士さま、エルフ族の長とお会いになるのは何年ぶりになるんですか?」
「そうじゃな、50年ぶりくらいかの」
「え、それじゃその時の姿は」
「ピッチピチのギャルじゃな。その前は妙齢の淑女じゃ」
「会うたびに若返ってるとか、どんな感覚なんでしょうねえ」
「なに、中身は変わらん。会えば一目で分かるわ」
その時、ドアが開く。
「はっ・・・!」
セッカは思わず声を上げそうになり両手で口元を押さえた。
そこにいたのは”乙女ゲーム”から飛び出していたかのような美形エルフだった。
切れ長の目に小さな丸渕の眼鏡がよく似合い、さらっさらの長髪はきらびやかなブロンド、執事服を華麗に着こなしていた。
(すごい・・・こんなきれいな人本当に存在したんだ)
セッカは目が離せなかった。
「お待たせしております。長はただいま準備をしておりますので今しばらくお待ちくださいませ」
ティーセットを持参した美形エルフは3人に紅茶を振る舞う。
「寝ておったのか?」
「はい」
「おぬしは初めて見る顔じゃの。いくつじゃ?」
「30になります」
「前にここに来たあとに生まれた子か」
「あっあの!お名前を教えていただけませんか?」
「・・・ナッシュです」
「ナッシュさん・・・!ワタシはセッカです!」
ナッシュはセッカにニコリとして向き直り
「そうそう、サイファーさん、外の世界はいかがでした?」
「素晴らしかった・・・!果てしなく続く平原に、無限の可能性を見た」
「そんなに・・・。羨ましいですね。僕も見てみたい」
そこでまたドアが開く。少し腰の曲がった老エルフが入ってきた。
「お待たせしましたな。おや、可愛らしい魔導士がおいでじゃ」
「わしじゃ。ファムファテルじゃ。見違うでない」
「では、僕はこれにて」
ナッシュは長の分の紅茶をカップに注ぐと退室した。セッカはちょっと面白くない顔だ。
「久しいな。エンファ。息災であったか?」
「ここのところ、腰痛がひどいですな」
「泣く子も黙るエンファも年には勝てんか」
「なに、まだ若いのには負けはしませんが、ただ」
「ただ?」
「わしらが生きるのに、結界の中は狭い世界じゃて」
「またそれか。言ってくれるな。そなたらの為じゃ」
「保護されているというのは、言い換えれば飼われているとも言えるんじゃ。そこに誇りはあるんじゃろうか?」
「・・・言い返えせんな」
「分かってはおるんじゃ。じゃが、そこのお嬢ちゃんがわしらの気持ちをぶちまけてくれたと聞いてな」
「それでわしに差し向けた、と」
「その通りじゃ。わしらではファムに面と向かって言えんことを、お嬢ちゃんなら言ってくれる。とな」
ファムファテルはセッカの方を向き、ニカリと笑い
「見事大任を果たしたな。天晴じゃ!セッカよ」
「いやあ、そうなんですかねぇ」
「じゃが、わしの意思は変わらんぞ」
「・・・そう言うとは思っとった。ならどうして里に来たんじゃ?」
「狭間の迷宮の方は放置出来んじゃろ。様子を見てから対応を考える必要はあると見た」
「なるほど」
「エルフとオークの強者を2人ずつ貸してくれ。セッカ、おぬしも来い。迷宮へ行く」
え、迷宮編突入ですか。想定してなかった(おい!)
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