亜人種の里
新型銃のテスト会を終えた面々は、宮殿の小会議室で打ち合わせに入る。
鉄砲鍛冶の棟梁アークはエイムが的を壊しまくったのを不思議がっていた。何故か平謝りのエイムに
「お嬢が悪いんじゃないさ。旧式でもあんなにはならねえ。はじめは他と同じように貫通してたし、それが不思議でな」
「銃は発射に魔法を使っています。そこが関係しているのかも」
そこでテスト会を観督していた騎士団長レオンが
「専門家の意見が欲しいな。大魔導士さまはまだ帰らんのか」
「まだ連絡はありませんね」
レオン付きの側近が答えた。
「オートマチックの感触はどうでしたか?」
「うむ、実に素晴らしい機構だ。リロードに魔法を使わなくなるから射撃に集中出来るのが特にいい」
「照準も良好だな。これは旧式の生産を続けてきた経験の賜物だろうが、このまま正式配備して問題ないだろう」
「よし、量産に取り掛かろう。兵に行き渡せるのに一番手っ取り早いのはどれだ?」
「単発式の方が構造が単純で早いですな」
「城壁からの攻撃を考えても、それが優先です」
「よし!任せたぞ棟梁!励んでくれ!」
「あいさ!任せときな!」
時系列は3週間前に戻る。
亜人種の里へ続く結界の前にファムファテル、セッカ、サイファーの一行は到着していた。
「この結界、出る時は制限なしの特殊仕様でな。その分入るときの手続きがややこしいのじゃ」
「大魔導士さまに会えなかったら戻れなかったんですね」
「ぬしは魔法の心得は?」
「講習も検査も受けてないので分かんないです」
「魔力さえあれば、術式を覚えるだけで結界は超えることができるぞ。ほい行けた」
3人は結界をすり抜けて、ファムファテルが杖を掲げて再びロックがかける。
「それじゃ、結界の仕組みが分かる者なら容易く突破できるんじゃないですか?」
「結界の構造を目で見て、それから逆算して術式を展開すれば可能ではあるじゃろうが、手間を考えたら時間が膨大にかかるじゃろうな」
(うーん、桁数のやたら多いパスワードみたいな感じかな?)
と、セッカは想像した。
「あるいは、より強力な魔力で叩き壊す。ぬしの言う通り、わしより上位の存在なら可能なのは否定できん。そうそう負けるつもりはないがの」
里に住む亜人種は、エルフ、ドワーフ、ノーム、オーク、イカロスの5種で、それぞれが個別に集落を作っていた。集落とはいえそれぞれが1000人程度の構成で、ちょっとした町の規模だ。
ファムファテルの一行は、亜人種の里全体の代表にもなっているエルフ族の長に会うためにエルフの集落に向かった。亜人種は総じて長命だがエルフはその中でも特に長命で族長は500歳を超えている。ファムファテルとも旧知の仲だった。
「そういえばワタシ、エルフ族の長と会ったことなかったわ」
「ほほう、それで亜人種の代表みたいな顔してわしに議論吹っ掛けに来ておったのか」
「いやあ、迷宮の門の話聞いた時にあの時みたいな勢いで一席ぶっちゃって、それを聞いた長が『大魔導士どのに会ってこい』ってことになったらしくって」
「はっはっはーっ、おぬしはほんに面白いやつじゃの」
一行は族長の屋敷の前まで来た。
「さて、ここじゃな」
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