大魔導士との交渉
(つ、強い・・・。そういえば雪花に口ゲンカで勝ったことなかったな)
「ふっ・・・はっはっはっはっはっはっはっはっ!セッカよ!まったく正論じゃな!おぬしの言う通りじゃ!」
4人の視線がファムファテルに集まる。
「じゃがなセッカ!そんなことは百も承知じゃ!その業を背負う覚悟無くして700年以上も生きてられるものか!」
「ひ、開き直らないでください!これは、自らの居場所は自分たちで守ねばならないという、亜人種たちの誇りの問題です!」
「ほう、誇りと申すか」
「もし、この願いが聞き届けられない場合・・・亜人種たちは、魔族のサルカンド侵攻に協力する用意があります・・・」
「雪花!正気か!」
「まぁ・・・本気とは思えんな。今の段階で侵攻してくるか分からん魔族と交渉をするための手立てなど何もあるまい」
「くっ・・・・」
「ふふん、しかしまぁ元から用意してなかったブラフのカードを切ってくる度胸は認めてやろう」
「居場所を守るための誇りがあるというのならば、まずそれに見合う力があるのかを見せてみよ!話はそれからじゃ!セッカ、サイファー、共に亜人種の里へ行くぞ!」
「あ、あのー俺たちはどうすれば?」
ユウキとエイムが小さく手を上げる。
「おぬしらはここマルボークで与えられた役割に励め!ぬかるでないぞ!」
「は、はい!」
「わかりました」
ファムファテルの思惑としては、ユウキに元の世界にいた旧知の人間に会わせるだけの面会の場であったが、それはセッカの策で亜人種たちの意思を伝えるための交渉の場に利用される形になった。ユウキたちは思いがけず機密情報を知ることになってしまった。当然、二人にはきつく口止めを言い聞かせた。
ファムファテルとセッカ、サイファーの一行は明日、亜人種の里に発つ事になった。サイファーとセッカはマルボークの外の、城内からの物見の目の届かい場所で野営をしており今夜もそこに帰る事になったのだが
「ちょっとまだユウキとエイムさんの3人で話したいことがあるんです。もう少しこの家を貸してて頂けませんか?」
「よかろう。ここはユウキたちに貸し与える家じゃ。鍵はユウキに渡していくとよい」
「ありがとうございます。じゃあ、サイファーさんまたあとで」
ファムファテルとサイファーは家を出て行った。
「さてさて」
セッカは含みのある笑みを浮かべると
「お二人の関係についてお聞かせいただきましょうかーーーーー」
ただの普通の女子になった。
「なっ!お前が意味ありげなこと言って立ち去るから、あの後大変だったんだぞ!」
「そうなの?まあ、あの時はワタシもこの世界について知らない事が多かったし、ね」
エイムが何か思い出して赤くなった。セッカがそれを見逃すはずもなく
「やっぱり!ふふん、やるねえ悠希くん」
「む・・・」
ユウキはエイムが傷付くのが分かってるので否定出来ない。
「あの時はごめんねーエイムさん。悠希くん連れて行こうとして」
「いえ・・・もう大丈夫ですから」
「ところでさー、この世界はワタシらの世界でいう15世紀くらい?」
「初期的な構造の銃があるからなー多分そんな感じ」
「じゃあさ、あれもあるのかな?近世を近世だるものにするのに必要な発明品」
「羅針盤?」
「そう」
「知らね。こっちにきて海を見たこと無いし」
「ワタシも」
するとエイムが言う。
「私はありますよ。フィラハっていう町で育ったんですけど、外海につながる港がありました」
「おお」
「ねえエイムさん。外海をずっとずっと先に進むと何があるって聞いたことはある?」
「滝ですね」
(天動説だ)(天動説だ)
翌日、ファムファテルとセッカ、サイファーは街道を大きく外れた丘の上にいた。
「これはなんじゃ?」
「グライダー・・・風を捕まえて空を飛ぶための道具です。魔法でちょっと補助してあげると、魔導士さまの杖と同様に飛べますよ」
「ほほう、面白い。では、参るか!」
3人の亜人種の里への旅が始まった。
なろう初投稿です。興味を頂ければ、ブックマークしていただけると幸いです。




