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幽霊(?)と俺の同棲生活  作者: 鳴海ヒロト
第1章 はじめまして
5/13

第5話 紹介

俺は夏休みを思いっきり楽しんだのも束の間、すぐに9月になってしまった。秋に入り、学園祭の季節になってきたが、学園祭なんてまだまだ3ヶ月も後の事だ。俺はと言えば、常に麗華を連れなければいけないため色々と荷が重い。それに校舎内で霊と話すのは流石にまずいだろう…。そのため、俺はスマホのスモールアプリのメモ帳のようなものを使い、隣から喋りかけてくる麗華になんとか応答していた。勿論、休み時間のみだ。授業中は授業中でノートの端に書いて応答したりと1度も気が抜けない。休み時間まで気が抜けないとなると、肉体的にも精神的にも疲労が溜まっていくだけだ。そんな事を考えつつ廊下を歩いていると

「ちょっと、悠真くんだよね?」

「そうだけど、それに関しては断ってますよね?」

「でも、君は剣道経験者なんだよね?」

「だからなんだよ」

「お願いだ!このとおり剣道部に入ってくれ!」

「仕方ないなぁ…。ちょっとは考えておくよ。ちょっとはね」

俺はそう言ってそそくさとその場から離れた。離れたのは良いんだが、その後の記憶がない。気づけば俺は保健室のベッドで横になっていた。なぜ俺は保健室に居るのか不思議になった。すると

「急に倒れたんだよ」

そう言う声が聞こえた。そういや俺の傍にはいつも麗華がいるんだったな…。

「え…?」

「だから、倒れたんだって」

「じゃあ今まで俺は寝てたのか…!?」

「ぐっすりとね(笑)ずいぶん疲れてたみたいだし、仕方ないよ。それに、部活の勧誘も毎日されてたら疲れてくると思うよ?」

「あれだけで分かったんだ…。あはは…」

麗華は俺と剣道部主将のやり取りを見てそれだけで俺が部活の勧誘を毎日受け、それを毎回断っている事が分かったらしい。しかし、起きた時にはすでに3時を過ぎていた…。それでも1番良かったのは、保健室には俺以外の人がいなかったからだ。と、そこで俺は1つ疑問に思ったことを聞いた。というより、そこは聞かない方がおかしいのだが…。

「ところで、誰が俺を保健室まで連れてきてくれたんだ?」

「誰だか知らないよ(笑)なんで私に聞くの?この高校の人達誰も知らないのに(笑)」

「あ、そっか(笑)そうだったな(笑)」

俺と麗華はそこで一緒に笑った。お互い付き合っていても、麗華は目を覚まさないみたいだ。それに、目を覚ましたならこの麗華はいなくなっているだろう。そんな事を考えていると、

「あ、そうだ」

麗華は何を思いついたのか、手のひらをぽんと叩いた。

「あとで悠真くんと行きたい所があるから、一緒に来て欲しいんだ〜」

「あ、良いよ。別に課題なんてすぐに終わるし」

「やった〜!」

でも、この後の事が余計だった。

「課題すぐに終わるって言ってるけど、大体夜明け頃に終わるよね(笑)」

「お前なぁ…!」

俺は一瞬殴ろうとしたが、すぐに考えを改めた。俺は女子を泣かせたくはない。泣かせる側になるのも、女子が泣いている所を見るのも俺は嫌だった。これはあの時のせいでもある。俺は麗華にある事を話した。

「麗華、お前に少し聞いてほしい話があるんだ」

「別に良いけど、何かな?」

「俺が前に、中学の時に襲われたって言っただろ?」

「うん。聞いたよ」

「あの話、実はまだあるんだ」

「そうなの…?」

俺は黙って頷いた。

「俺がその子を助けたあと、その子は涙ながらに俺に、ありがとうありがとう、って言ってくれてた。俺がその子の事が好きだったのは確実だったんだ。でも、それを思いっきり砕かれるような出来事が起きたんだ…」

俺はそこで一区切りした。このまま話すと、涙が出てきそうだからだ。麗華は

「大丈夫…?」

としか言えなさそうだった。正直、こんな話をして悪いと思った。でも、俺はこの辛い事を1人で抱え込むには荷が重すぎたんだ。

「うん。大丈夫だよ」

俺はそれだけ答え、続けた。

「俺は思い切って次の日その子に告白しようと思ってたんだ。でも、その子は来なかった。その代わり、その子のお父さんが来て、話をしたいと言って応接室に連れていかれたんだ。あ、勿論先生にだからね?で、そのお父さんから、その子がなんで今日学校を休んでいるのか、詳しく聞いたんだ。実は、その子休んでいるんじゃなくて、自分から首を吊って死んだんだって。その日彼女は襲われた事をお父さんに言って、そのお父さんは警察に通報して、落ち着かせようとしてたみたいなんだ。でも、目を離した隙に…。俺はその子の遺書を読ませてもらったんだ。そしたら、全部俺に対しての事でさ…。もう涙が止まらなかったんだ…」

その後は何を話したか覚えていない。ただ、麗華はしっかりと話を聞いて、ときどき深く頷いてくれた。俺はその話をしている最中に、感極まったんだろうな。麗華はそれを悟ってか、実体化してくれた。そして俺は麗華の胸の中で思いっきり泣いた。あの日、あれだけ泣いたのに、まだこの話をすると(正確には思い出すと)涙が止まらない。多分、それほど自殺したというのがショックだったんだ。

「それから、俺はあんまり女子と関わらないようにし始めてね…」

「そうだったんだ…。だから女子は好意とはまた別の、何とも言えない表情で見てたんだ〜。納得できたよ」

「え?俺ってそんな目で見られてたの?初めて知った…てか、仕方ないわな。俺から距離置いてるんだし」

「でも、私はそういう所好きだよ?でも、その事はもう少し皆に話した方が良いと思うよ」

「なるべく善処するよ…」

まさか、こんな風に思われてたとは思いもしなかった。俺も別に女子が嫌いってわけじゃなかったし、それなりに話してくる女子もいる。冷たいなーもう、みたいな事だった。俺の通ってる大学にも、数人の同級生と、よく悩み事を相談する中学時代の先輩もいた。勿論、その友達と先輩は中学、俺に何があったのか知っている。その内何人かは嘘だと思い俺に喧嘩を売ってきて俺には敵わないというように喧嘩を嫌っている。だが、それでも俺との喧嘩に限っての話だ。俺は麗華と話しながらそんな事を思い浮かべていると

「失礼しま〜す、って悠以外誰もいるわけねぇよな。」

という声が聞こえた。俺の幼馴染みの雁屋貴博かりやたかひろだ。幼稚園の時から同じで、よくここまで俺と一緒になっているなと思う。馬鹿だが、友達が誰もいない高校に行くよりかは勉強してお前と同じ高校に行ったほうがまだ楽しいことあるだろ、と言って最後の1年は思いっきりコイツに勉強を教えた。それに、今こそ憎まれ口は多いものの、根は優しく友達思いで口が堅い。俺が霊が見えると言うと、馬鹿にするわけでもなく、凄いな、お前みたいな事を言ってきたのを覚えている。すると

「そういや、悠って最近ちょっと変わったよな」

「え?どこがだよ(笑)」

「いや〜お前、彼女できただろ」

いや、なんで分かるの?俺はそんな顔してないし、雰囲気も常にそう…だったはず。俺はちょっと意地悪に(彼女ができたのは本当だが)言ってみた。

「あ、やっぱ分かっちゃう?そうなんだよ。俺にもやっと彼女できたんだよ〜」

「なっ!?本当かよ!?今度俺に紹介してくれよ!」

「今度って言うより、今も俺の隣にいるんだけど…?」

「それってもしや…?」

俺はそう言って麗華の方を見た。麗華は何言ってくれちゃってんの…的な顔をしていたが、頭を振り、仕方なさそうにしていた。

「あ、紹介するよ。俺の彼女の小田切麗華だ」

「悠真くんと付き合ってる小田切麗華です♪貴博くん、これからよろしくね♪」

と、何も無い所から急に麗華が現れた事に貴博はびびっていたが、すぐに把握すると

「なんだなんだ?とうとう幽霊にまで手を出したのか?」

「違うよ。これは話せば長くなるんだけど…」

そう言って俺はなぜ麗華と付き合ってるのか、なぜ麗華は霊になってしまったのか、それを教えた。

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