三話
殆ど確信に近い仮説を立てた私は、いま生徒会室前にいる。
この中に木崎優子がいる。私を追い詰めた主犯は皆に守られ高みから私を嘲笑っていたのだと思うと、ふつふつとした怒りなど生易しい、腸が煮え返る。
私は、生徒会室の扉をノックをすることもなく、持てる力いっぱいに私の怒りを表すように開け放った。
突然の大きな音に驚いたのだろう、目を見開いた彼らと女。彼らが驚いたのは一瞬ですぐにこちらを睨み、文句を言ってくるが今はそんなのに気にしないし、耳にも入ってこない。私はただ今目の前の女のことでいっぱいなのだから。
「ねぇ、今まで“ゲーム”の筋書き通り?、だったらさぞかし楽しかったでしょうね」
きっと彼女以外この言葉の本当の意味はわからないだろう。
その証拠に、彼らは的外れなことを喚き散らしている。だけど彼女だけは微かに目を見開いた。まるでなぜその事を知っているのかと言う様に。
「みんな私のために怒ってくれてありがとう。でも、私前から思っていたの、このままじゃダメだって。ずっとみんなの影に隠れてちゃだめだって。一歩踏み出さなきゃって思ってけど、怖くてできなかった。でも、いま一歩踏み出すためのチャンスなの、今逃げたらきっとこのまま皆に頼ってばかりになっちゃう。そしたらずっと今日の事を後悔する…。だからお願い、私を信じて待ってて。私にはみんながいるから大丈夫!」
彼らは、この女の名前を心配そうに、そして愛おしそうに呼んで部屋から出て行った。もちろん私の傍を通るときに睨んだり、「優を傷つけたら許さない」など警告は忘れずにして行った。
「できれば茶番は短めにして欲しかったんだけど。見てるほうの事考えてくれない」
「ふふ、ごめんなさい。でも、ああでも言わないとあの人たち出て行かないもの。私の事大好きだから」
「攻略使った卑怯者のくせに」
「あら、羨ましいの?だったらごめんなさい。いくら知識があっても彼らは私に夢中だからもうどうする事もできないわよ」
「まるで自分の力で彼らの愛を勝ち取ったように言うのね。どうせなら、素直にあなたの持ってる知識はもう私が使ったから意味ないわよって言ったらどう」
「そこまで分かっているなら私が助言できることは一つしかないわ。早くこの学園から出て行ったほうがいいわよ。彼らが今より酷いことをする前にね」
「そうね。そろそろあなたの、くだらない妄想に付き合うのも疲れたわ」
「どういう意味…」
「言葉の通りよ。あなたの大切な、大切な彼らが私に取られるかもしれないっていうくだらない妄想よ」
「嘘よ!!あなたは実際にゲームでは私から彼らを奪った。だから、危険な芽をさっさと摘もうとしただけよ。でもあなたは、中々居なくならない。おまけに私と同じで前世の知識を持ってる。何かしないなんて信じられる訳ない!!」
あぁ、そういうこうと。原作は、彼女が主人公で私は彼女のライバルキャラだったのか。
だからといってやり過ぎ。そもそも、ライバルって互いに切磋琢磨しあう関係じゃないの。
「本当よ、そもそも私は前世の記憶はあっても、このゲームの事なんて乙女ゲームで、西園寺新がいるぐらいしかわからない」
「騙されないわ!!何も知らないフリしてゲームの様に私を騙そうとしてるんでしょ!!」
原作の私なにしたのよ。どうやったらここまで不信感を抱かれるわけ。それとも彼女がおかしいのか。
きっと前世の彼女はすごく主人公に感情移入してたのだろう。まるでーーー
「…美月みたい」
「え?!今あなたなんて言いたの!!」
何をそんなに驚いているのだろう…。
!!っいま私は前世の友人の名前を言った。それに驚いている彼女。普通なら突然知らない名前を言ったら、怪訝な顔をする。でも、彼女は驚いている。可能性として考えられるのは三つ。
一つ私の知っている“美月”じゃない“みつき”、または“みつき”の知り合い。
二つ私の知っている“美月”の知り合い
そして三つーーー
「あなたは月城美月?」
私の知っている“美月”
「うそ、うそ、うそ!!!!!乙ゲーにまったく興味がなくて、でも唯一このゲームの西園寺新だけ憶えてる!!そんなの、ひぃちゃんしかいない!!」
美月が抱き着いてくる。私もうれしくて美月に抱き着いた。
「美月!!!!」
「ひぃちゃん!!ごめん!!いじめてごめんなさい!!」
美月そんなに泣かないで。かわいい顔が台無しだよ。
「仕方ないよ。知らなかったんだから」
「でも…」
「私が許すって言ってるんだからいいの!でも美月の取り巻きは許さない」




