二話
とうとうこの人も私に文句を言うのか…。
間接的ではあるが私の人生を変えてくれた人だと密かに感謝していたため、この人に負の感情を向けられるのは辛い。
この人も彼らのように“ゆうさん”のことを言うのだろうか、それとも風紀委員長として学園の秩序を乱している私に苦情を言うつもりか。後者であれば、それは彼らに言ってもらいたい。
彼と対面し、実際は数十秒だっただろうが、私にとってはとてつもなく長く感じた沈黙は私の予想もしていなかった彼の言葉で破られた。
「今までの、お前の行動を見てきた結果、俺はお前が木崎の言うような人物ではないと判断した」
「あの…、意味が分からないので詳しく説明して頂けませんか」
「木崎はお前にいじめられていた言った。しかし、入学してからお前の行動を観察してきたが木崎をいじめる以前に木崎を知らない様であったため、お前は木崎をいじめていないと判断した」
いや、ちょっと待って。確かにさっきより詳しくなったけど、そうじゃない私が知りたいのはそこじゃない。
いじめ?なんのことなのか全然わからない。
そもそも、私は言いたいことは本人にはっきりと言うようにしてきたから、いじめなどという陰湿なことはしたことがない。
それに木崎って、彼らが言っていた“ゆう”さんって人のことだろうか、だったら尚更わからない。私が今まで関わってきた人の中に木崎という人はいなかった。
頭が混乱する。取りあえず一つずつ、この人から話を聞いて整理しよう。
彼、西園寺さんから聞いた話によると、彼らが“ゆう”と呼ぶ人物の本名は木崎 優子。西園寺さんと生徒会の人たちが中学三年の時に転校してきた。西園寺さんと書記の方以外の生徒会とは面識があったらしく、西園寺さんは会長の紹介で知り合ったらしい。卒業後も何度も会っていて、彼女がこの学園に合格したお祝いで皆が集まった時に、彼女が自分が転校してきたのは私にいじめられていたからだと。本当は皆が心配するから言わずにこのまま隠しておこうと思っていたけど、私がこの学園に入学すると噂で聞いて昔を思い出し怖くなった、皆ごめんなさい、弱くてごめんなさいと泣いたそうだ。
ツッコみたい所は沢山あるが、とりあえず何故あれ程までに話が通じなかったのか知ることができた。
今までの様子と西園寺さんの話を聞いて彼らは木崎優子のことが好きなのだろう。そして、好きな女の子が泣きながら話す事と、見ず知らずのそれも好きな女の子をいじめていた女の話どちらを信じるかなど考えなくてもわかる。
そして私は西園寺さんの話を聞いてある仮説に思い当つ。




