8話 足休め
そのまま街道をしばらく歩くと、ふいに武田くんが発言した。
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武田陸:前方右。あそこ良くない?ちょっと開けてる。
朝倉玲奈:広い?
武田陸:たぶん全員座れる。道からも見えづらいと思う。
佐伯杏奈:行ってみようよ。このまま目的もなく街道歩くのはまずいと思う。私の危機感応なら、行ってみれば、すぐに危険がないか確認できる。
斎藤美玖:私も多分変なところないかわかる。あ、能力は、違和観測。
小川颯太:さんせー。
石原航:いいんじゃないかな?先生どう思う?
担任:いいと思うよ。行ってみて、良さそうなら、クラス会議するぞ。
小川颯太:はーい。
***
みんなで歩いて向かえば、そこは小さな窪地だった。
小さな森の中にあって、確かに街道から見つかりにくいように感じられた。
武田くんはよく気付いたなあ。流石。
杏奈ちゃんの危機感応は反応しなかった。
私も違和感は感じない。
道の脇なのに、少なくとも人の手はあんまり入ってなさそう。
先生は自分でも周囲を確認して、何もないと見ると、無造作に手を振った。
その手の動きに合わせるように、私たちを囲う光るドームが一瞬現れて、消える。
「……よし。皆もう喋っていいぞ。よくここまで我慢したな。偉い!」
先生は近くに座った生徒の頭を撫でて、言った。
「先生、これ何なんですか?
私たちはどうして異世界に連れてこられて、どうしてあそこから逃げなくてはならなかったんです?
あの人たちは凄く怪しかったですけど、召喚できたのなら、帰還方法が一番ありそうなのも、あそこでは?」
朝倉さんが先生を問い詰める。
私も先生を信頼してついてきたけど、だからこそ先生の考えが知りたい。
状況がまずかったから仕方ないけど、肝心なことを聞けてない。
「先生!今のなんですか?魔法ですか?術式ってやつですか?」
「先生、これからどうしますか?」
「弥生せんせー、2回目ってほんと?」
生徒たちが好き好きに喋り、先生を質問責めにする。
「はいはい。一個ずつ答えるから、待ちなさい。先生、一人だから」
「まず朝倉。異世界に誘拐された理由はわからん。この腕輪から推測するが、ろくな理由じゃないと思うが。
それと、あそこから逃げた理由は割と簡単だな。あいつらが帰還方法を知ってたとして、素直には教えないだろう。
向こうからしたら、最大の切り札なんだから。まして、奴隷契約の腕輪をあんな風に渡してくるんだ。
まずはあっちと対等に。あるいはこちらが有利にならんとな。そうでないと、利用されるだけだろうさ」
「上野。今のは、いわゆる結界の術式だ。あと、私が術式と言っている物を、こちらでは魔法と呼んでいるみたいだな。
完全に同じかは知らんが、似たようなものに見えたし、通じる」
「次、林。これからどうするかはクラス会議をして決める。
ただし、いつもみたいに多数決にはしない。全員の命がかかってるからな」
「最後、小川。2回目の異世界渡りってのは、本当だ。ただ前回と同じ世界ではないか、時代が違う。
私もこの世界の情報を知らないし、判断を間違えることもある。
経験者ってだけで、人間だからな。
だから、私を盲信するな。信じてくれるのは嬉しいが、私1人で、全員の命の責任はとれん」
先生が息を呑む私たちをスルーして、今出た質問に全部答える。
そして、最後に宣言した。
「んじゃ、クラス会議やろうか。大目標はともかく、今日この後どこに向かって、どこで寝るか決めないとな。
さて、意見のあるやつはいるか?私はしばらく見てるな」




