6話 城を出発
王女様は、皆が腕輪をつけたのを確認すると、こちらを見回した。
「さあ、では早速仕事に入りましょう。
皆様には、魔の森で探索をしていただきます。
先ほど申しましたが、魔の森は、この大陸の中央にある広大な未開拓地。
価値あるものは沢山あると聞きますが、なんせ奥に行くほど強い魔物が多く、開拓できる場所ではありません。
そこで、皆様には、その魔の森で、採取や討伐を行っていただきます。
大丈夫。浅瀬から始めますよ」
***
中村駿:先生これ実質追放イベントじゃん
担任:そうだな。ありがたいね。
中村駿:ありがたいの?
担任:監視が少なくなるだろうからな。監視を排除して、さっさと奴隷契約を解除できる。
斎藤美玖:物騒ですね、先生
担任:こいつらが悪い。こっちを人間とは思ってないんだろ。扱いが獣に対するそれだ。
朝倉玲奈:それはどう言う意味ですか?
担任:そのまんま。
斎藤美玖:私はちょっとわかる。この子、口調は丁寧だけど、能力調べて、管理体制敷いて、あとは働けだよ。私たちの意思は、自然に無視してる。獣扱いかはわからないけど、少なくとも同じレベルの存在とは思ってないと思う。
***
美玖はそう書き込んで、文字越しに王女様を見る。
彼女は柔らかく微笑んでいた。微笑ましいものでも見るかのようにこっちを見ている。
でも、よく見ると、目が冷たい。
少なくとも、こっちを可愛いとも大事だとか、そう言うふうには思っていないように見えるのは確かだ。
そして、言動からして、こっちを対等な存在とは思っていないだろう。
それに、同年代くらいに見えるのに、顔のいいクラスメイトにも、全く関心を向けない。恋する相手ではないんだろう。
奴隷契約も、この子にとっては、わざわざ見下す相手を作るためじゃなくて、知能の劣る相手の管理体制に過ぎないのかもしれない。
「それでは、早速全員森に向かってください。
それほど遠くはありません。
3日も歩けば、つけますわ。
では、よろしくお願いしますね。成果をこの城で待ってますわ」
王女様がそう言った瞬間、足が勝手に動いた。
止まろうとしても、止まれない。
あちこちで悲鳴が上がる。
全員一様に、同じような動作で、部屋を出て、豪奢な廊下を進む。
場所もわからないのに、向かえるの?
てか、先生。これどうするわけ?
美玖が先生を見ると、先生も皆と似たような動きをしていた。
契約外したって言ってたよね?
真似するの妙にうまいな。
……真似だよね?
***
担任:安心しろ。私は真似してるだけだ。
岩城陽斗:マジか。びっくりさせんなよ、先生。
担任:私だけ動作が違ったら変だろう。
朝倉玲奈:それで、いつまでこのまま進むんですか?先生。
担任:最低でも街を出るまでだな。人目があるところで、解除はできん。
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