4話 嘘報告
「それでは、適切な仕事をするために、皆様の異能を調べてみましょう」
王女様は空気を変えるように、手を叩いた。
「皆様はこの世界にくる時、世界と世界の間を通りました。その時に特別な力を得ているのです。なので、その力を理解するために、これに触ってみてください。使い方が自然と理解できるはずです」
そう言って、騎士の1人が端から移動した机を指す。
その上には、クッションに埋もれた大きな水晶玉のようなものが載っていた。
「どなたから、検査なさいますか?」
「じゃあ、私から。担任なんでね」
***
担任:全員、警戒強めろ。
担任:こいつ、こっちが了承してないのに、自然に話進めた。
担任:この姫様、自然に会話で誘導できるやつだ。
岩城陽斗:先生それマジ?
中村駿:したら、召喚者敵側パターンか
朝倉玲奈:大丈夫なんですか?それ。
担任:なんとかする。
担任:全員能力そのまま言うな。
担任:見える表示と、自分にわかる内容、別にしたから。
担任:聞かれたら、過小報告。
担任:こいつら怪しいから、見える表示大幅に過小表示にした。
***
「指導補助ですか。……素晴らしいですわね」
先生の前には水晶玉から文字が表示されている。
王女様の顔は引き攣っているような気がした。
「次はどなたにしますか?」
「はい!俺行く」
中村くんが素早く手を上げる。
彼の表示は、「傾向把握」と出ている。
***
中村駿:表示マジで嘘ついてる
中村駿:俺の能力、規則解析
中村駿:こいつら側には、規則性に気づきやすいってなってるみたいだけど、規則性って言っても割と細かくわかるわこれ
担任:黙ってろよ。絶対口に出すな。
中村駿:分かってるって先生。俺にももうわかる。こいつら怪しすぎる
***
次に行った委員長は、「号令」とでた。
「声が通りやすくなる……」
王女様は、ため息を吐いた。
私も分かってきた。
この子、私たちのこと大事に思ってない。
例えるなら、ゲームのガチャで引いたハズレを見る目だ。
その次の岩城くんは、「鼓舞」。
「少し元気になる、だけ……」
石原くんは、「気配察知」。
「これは?……人に気づきやすい」
そして、私の番が来た。
水晶玉に触る。
「あっ……」
不思議な感覚だ。
自分の能力が自然とわかった。
表示されたのは、「細部視認」。
「少し目がいい」って見える。
でも、本当の能力は「違和観測」って言うらしい。
相手の不自然なところ、いつもと違うことに気付ける力。
あっ、そういえば。
王女様を意識してたら、いつも以上に変なところがわかったのは、そう言うことなんだ。
王女様は、美玖の異能表示を見て、ため息をついた。




