17話 放電する影
食事を終えた後、皆各々、寝床作成班が建ててくれた木組みのテントのようなものに入った。
寝袋もベッドも灯りもない。
それでも、雨風は凌げる。
今夜は夜番を先生のゴーレムがしてくれる。
使い捨てらしいゴーレムは、頼もしいほど大柄で、野営地の側に直立した。
火の番は、先生が仮眠をとりながら、続けてくれるみたい。
先生の負担が大きすぎるような気もするけど、「今夜だけでも揃って寝なさい。色々あったんだから」と言う先生の気遣いに何にも言えなかった。
寝転がって、玲奈ちゃんや奈々ちゃんと、クラス会議の開始を待っていた時、遠くから妙な音を感じた気がした。
雨は降ってないのに、雷の音のような……。
「ねえ、なんか変な音しない?」
美玖がそう言うと、2人は首を傾げた。
「音ってなんの?」
「雷みたいなゴロゴロ音が遠くから聞こえる気がする。変だよね?雨は降ってないし、外が光ってもいないのに」
「……美玖の異能は、違和感を感じるものだったわよね?ちょっと見に行きましょう」
玲奈ちゃんはそう言うと、出入り口から這い出る。
奈々ちゃんもそれに続くので、美玖も追いかけた。
美玖が外に出ると、先に出ていた2人は突っ立って、空を見上げている。
よく見ると、焚き火の向こうにいる先生も険しい顔で、空を見上げている。
空を見ると、遠くの方に雷光が見えた。
聞き間違いじゃなかったんだ……。
なら、雨が来ちゃうかな。
不安になりながら、空を見続ける。
ところが、雷光は、円を描くように同じところで小さく瞬いていた。
「何、あれ?」
一瞬大きく雷光が光った。
雷鳴が聞こえる。
その一瞬の光の中に、鳥の影があった。
「まさか、生き物なの?あの雷を鳴らしているのは」
美玖が慄いて、呆然と呟くと、玲奈ちゃんと奈々ちゃんが腕にしがみついてきた。
美玖も2人を抱えて、団子になって、空を見上げる。
他のクラスメイトも、ちらほらテントから顔を出していた。
「あれさ、野営地変えなかったら、俺ら襲ってた可能性ある?」
「……かもね」
「佐伯、お手柄だな……」
「てか、異世界ヤバ」
「あれ、魔物だよね?」
「多分」
「あんなのが、魔の森には、いっぱいいるってこと?怖……」
「でも、俺ら行くとこないよな……」
「……ああ、まあな」
誰ともなく、皆がポツポツ呟く。
雷を纏った鳥は、幸いにも、遠くの方へと飛んでいった。




