↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラス全員、既読です。  作者: 井上笑子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/17

16話 異世界の夜

 日が暮れだしてから、暗い夜になるのは、あっという間だった。

 開けた野営地の中央にいくつも焚き火が燃えている。

 美玖たちは、自然と特に仲の良いクラスメイトと集まって、分かれた。

 私は玲奈ちゃん、里緒ちゃん、杏奈ちゃん、奈々ちゃん、森川さん、吉田さん、加藤さんと、ひとつ輪になって、焚き火を囲む。

 夕食は、木の実をいくつかと、焼いた川魚を1/4切れ。

 自分の家が恋しくて、泣きたくなってくる。

 それでも、お腹は空いていた。

 

 食事を始めて良いのか、美玖が皆の様子を見ていると、キョロキョロしてる人は結構いた。

 先生が、戸惑っている私たちを見てか、立ち上がる。

「はい、君たち皆のおかげで、私たちは最初の夜を無事に迎えられました。

 突然異世界に連れてこられて、混乱する中で、私の指示を黙って聞けて、偉かったな。おかげで1人も失うことなく、今夜を迎えられる。

 そして、君らは、私に助けを求めず、クラス会議で方針を決めて、自分たちで、野営地を探して、水と食料を確保した。大変立派だった。

 ちなみに、魚を獲ったのは、武田だ。皆、感謝をするように。

 それと、昼間黒田が騒ぎを起こしていたことは知っているだろうが、明日以降、順番に黒田に制服を渡して、改造してもらうように。彼女の能力は、魔裁といって、布さえあれば、針や糸なしで、軽いバフ付きの服が縫えるそうだ。スカートの女子から先に順番に縫い直してもらいなさい。

 明日どうするかは、今夜寝る前に伝達術式で会議をするので、考えておくように。

 まあ、今はそれはおいといて、夕飯を食べよう。皆手を合わせて、いただきます!」

「いただきまーす!」

「魚ちっさ!」

「文句言うなら俺にくれ」

「それは嫌」

「味ない……塩ほしい……」

「塩ってどうやって手に入れるんだろ」

 皆が一斉に魚や木の実を手にして、口を開ける。

 素材の味は、自然のものだからか、はっきり言って美味しくなかった。

 気がつけば、美玖の頬を涙が伝い落ちていた。

 異世界にきて、ずっと動き回って、ようやく口にできた食事。

 家が恋しくて、同時に言いようのない達成感のようなものがあった。

 絶対帰ろう。

 帰るために明日からも頑張ろう。

 木の実を噛みながら、美玖はそう誓った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。