16話 異世界の夜
日が暮れだしてから、暗い夜になるのは、あっという間だった。
開けた野営地の中央にいくつも焚き火が燃えている。
美玖たちは、自然と特に仲の良いクラスメイトと集まって、分かれた。
私は玲奈ちゃん、里緒ちゃん、杏奈ちゃん、奈々ちゃん、森川さん、吉田さん、加藤さんと、ひとつ輪になって、焚き火を囲む。
夕食は、木の実をいくつかと、焼いた川魚を1/4切れ。
自分の家が恋しくて、泣きたくなってくる。
それでも、お腹は空いていた。
食事を始めて良いのか、美玖が皆の様子を見ていると、キョロキョロしてる人は結構いた。
先生が、戸惑っている私たちを見てか、立ち上がる。
「はい、君たち皆のおかげで、私たちは最初の夜を無事に迎えられました。
突然異世界に連れてこられて、混乱する中で、私の指示を黙って聞けて、偉かったな。おかげで1人も失うことなく、今夜を迎えられる。
そして、君らは、私に助けを求めず、クラス会議で方針を決めて、自分たちで、野営地を探して、水と食料を確保した。大変立派だった。
ちなみに、魚を獲ったのは、武田だ。皆、感謝をするように。
それと、昼間黒田が騒ぎを起こしていたことは知っているだろうが、明日以降、順番に黒田に制服を渡して、改造してもらうように。彼女の能力は、魔裁といって、布さえあれば、針や糸なしで、軽いバフ付きの服が縫えるそうだ。スカートの女子から先に順番に縫い直してもらいなさい。
明日どうするかは、今夜寝る前に伝達術式で会議をするので、考えておくように。
まあ、今はそれはおいといて、夕飯を食べよう。皆手を合わせて、いただきます!」
「いただきまーす!」
「魚ちっさ!」
「文句言うなら俺にくれ」
「それは嫌」
「味ない……塩ほしい……」
「塩ってどうやって手に入れるんだろ」
皆が一斉に魚や木の実を手にして、口を開ける。
素材の味は、自然のものだからか、はっきり言って美味しくなかった。
気がつけば、美玖の頬を涙が伝い落ちていた。
異世界にきて、ずっと動き回って、ようやく口にできた食事。
家が恋しくて、同時に言いようのない達成感のようなものがあった。
絶対帰ろう。
帰るために明日からも頑張ろう。
木の実を噛みながら、美玖はそう誓った。




