14話 周辺採取
「あ、そこ変かも」
美玖は、ちょっと離れた班のメンバーに、茂みを指し示した。
「どの辺が?」
「えっと、下の方かな。枝が折れてるのが気になる」
「は?……あ、本当だ。なんだ?これ」
「いや、これお手柄かも。あっちにずっと続いてるから、何か通った後に見える。これ」
中村くんが、細枝を折れていた茂みの向こうを指差して言った。
「小動物にしては、こんなに枝が折れてるのが気になるな。低いところが一様に折れてるのは体が小さいからだろうが……。俺の知る小動物は逃げるのに特化していて、こんなに連続して枝を折りながら進んだら、傷つくと思うが」
「林、ここ異世界だぜ?小動物でも強いやつもいるかもしれないし、食べられないように体が硬いのもいるかもだ」
「それは……確かにそうだな」
「……小動物がいるってことは、肉食動物も近くにいるかも」
原田くんが、またポツリと言う。
「確かにそうだね。皆に伝えておく」
美玖は調査に戻るメンバーにそう伝えて、チャットを意識した。
班別行動が始まってから、まだ誰もチャットで発言していない。目の前に文字の羅列は出ていなかった。
そもそも、まだそれほど経っていないから、他の班はまだ成果がないのかもしれない。
えーと。
チャットを始める時は…。
伝達術式、伝達術式。皆と話したいな。
美玖がそう念じると、目の前には、「あなたが初めの発言者です。何を入力しますか?」と表示された。
……初めに発言する人ってこんな風になってるんだ。
感心しながら、美玖は、いつも通りに思考入力で報告した。
***
斎藤美玖【周辺採取班】:小動物の痕跡を発見したよ。原田くんが、肉食動物もいるかもしれないねって言ってた。
斎藤美玖【周辺採取班】:皆はどう?
朝倉玲奈【火おこし班】:今藤原さんが、異能で着火してくれてるわ。
石原航【水場探索班】:こっちもまだ。森川さんは植物見てるし、武田は……武田、なんか見つけたみたい
朝倉玲奈【火おこし班】:野営地を離れてるのは水場探索のあなたたちだけだから、十分気をつけて。
川村悠真【水場探索班】:了解、委員長
朝倉玲奈【火おこし班】:それで、こっちの班からは見えてるけど、寝床作成班は何を騒いでるの?
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