↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
葉音を紡ぐ ――世界樹の麓で  作者: 葉森かなで
三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
127/130

127 蜜葉乃の故郷

 クモの集落滞在の最終日、クモの長老、守弦、蜜葉乃、仁は朝から会議室に集まっていた。

 定期的な交易の品物や運搬方法も決まった。

 交易には、蟻人のボートを使う他、キジバトも配送に協力してくれるそうだ。

「本当に助かります」

 蜜葉乃は素直にお礼を言った。


「そういえば、キジバトからの報告が入ったのですが……」

 長老が聞かせてくれたのは、神域外の蟻人の話だった。


 地下の蟻人の遺構を見れば、彼女たちの文明の高さが想像できる。

 神域を離れたとはいえ、蟻人たちは外の世界で文明を築いているのではないか?

 長老はそう考えて、神域外のクモに調査させた。


 蟻人は基本的には地下世界の住人だ。しかも蟻人が神域を出た時の経緯もある。

 そのためお互いに干渉せずに暮らして来たのだが……

 いつの間に神域外の蟻人たちと、仲良くなったクモの報告によると……


「ここの地下ほどかどうかはわかりませんが、やはり文明を持っているようで、巣毎に女王蟻人が治める王国のようです」

 長老の言葉に、蜜葉乃が頷いた。

「記憶が曖昧なのですが、育った巣もそうだったと思います」


「それで、新しい女王蟻人が婚姻飛行で独立した後の事を聞いてみたのです。飛行後、女王蟻人は自力で最初の部屋を掘ります。それが独立の儀式だそうです」

「そうだったと思います。今後は自分の力で、新しい王国を作っていくのだと教えられましたから」

「それなんですが……新女王には、そのように教えるのですが……実際は、しばらくして卵が孵る頃には新しい巣を見つけ出し、元の巣や近隣の巣から人員や物資を送るらしいのです」

「……はじめて聞きました。仁と守弦以外は誰も来ませんでしたよね?」

 蜜葉乃が目をぱちくりとさせて、仁に確認した。


 仁は頷き返したが、しばらくして「あっ」と声を上げた。

「蜜葉乃さまは、世界樹の神域内に入ってしまったので、外からは見つけられなくなってしまったのでは?」


 みんなが、天を仰いだ。

「その可能性が高いですね」

「そして守弦とのゴタゴタで蜜葉乃さまの記憶も曖昧になって、現在まで音信不通……というところでしょうか」

 みんなで頭を抱えてしまった。


「実は、守弦の報告を聞いて違和感しかなかったのです。地下の遺構を見れば文明の高さが想像できます。独立した女王蟻人が、一から一人で築けるようなレベルではないと思ったのです」

 長老の言うことは最もだった。

「クモ族も、代々知識と人員を受け継いでこその文明です。独立させる時にも援助するのが普通です」


「蜜葉乃さま、元の巣の場所を覚えてらっしゃいますか?」

 仁の言葉に蜜葉乃は考えたが、何も覚えていなかった。

「あの日生まれてはじめて外に出ましたし、強風に飛ばされて墜落しかけましたし……」


 仁も蜜葉乃との出会いを思い出しながら頷いた。

「そうでした。飛ばされて来たところを、助けましたね。その後も二人でかなりの距離を飛行した記憶があります」

 結局、これといった情報はなかった。


「まあ、神域からそんなには離れていないと考えるのが自然でしょうね」

 守弦が言った。


「お二人が出会った場所を教えていただければ、その辺りのネットワークを使って聞き込みをしてみましょう」

 長老も約束してくれたが、仁もあの日が分身として作られた初日だ。場所を覚えているかどうか心許ない。神様に聞いてみよう。そう考えながら曖昧に頷く以外なかった。


「そういえば、そろそろ蟻人の婚姻飛行の時期ですね。二人で場所を探しに行ってみても良いかもしれません」

「まあ仁と二人で?楽しみね!」


 クモ族のネットワークで、蜜葉乃の故郷の王国を探す協力を得られたことに、仁はホッとしていた。

 神域の結界を以前よりも弱めたと神様も言っていた。

 もしかすると、蜜葉乃の故郷とやり取りができるようになるかもしれない。



 後日神様に聞いてみた回答は.......

「世界樹の神域近くの、蟻人がいっぱい飛んでたあたりだよ。詳しくなんて覚えてないよ」


 位置の特定には時間がかかりそうだと、仁は頭を抱えるのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。