第127話 「ヒポクリタ(偽善者)」 = 表の顔と裏の顔 =
スチュア・トロア大陸に来て以来、初めて体験する温かい持て成しの宴を楽しんだパドリアヌスは、部落長に挨拶をして翌朝ジラクス部族の村を出ることにした。
夜食を簡単に済ませ、|深夜≪メディアノクス》を少し回った頃、ガニバランがパドリアヌスの元に来て言った。
「パドリアヌス様、アートランド様の黒魔鳥が現れました」
「ついにか!」
と、言ってパドリアヌスは、待っていたとばかりに外へ出た。
そこには、真っ黒い翼を持つ不気味な鳥が暗闇で目を光らせながら、係留柵に止まっていた。
パドリアヌスは、その鳥が持って来た手紙に目を通すと、
「了解したと、アートランドに伝えてくれ」
と、言うとアートランドの黒魔鳥は、翼を広げて空に舞い上がるとすぐに異空間に消えた。
翌朝、パドリアヌスはとガニバランの姿はル・デスア湖畔にあった。
「パドリアヌス様なぜここへ?ズーバブラ、いやクロムセスのヤツを追うのではないのですか?」
と、ガニバランは再びル・デスア湖に向かって歩く主人に向かって尋ねた。
スチュア・トロア大陸へ来て以来、常に目深に被っていたフードを背に、パドリアヌスは、身動きもしなかった。
若者だという事を隠すために魔法で老けさせていた顔も本来の20代の顔に戻ったその表情は穏やかだった。
ケアニスクス山脈から吹き降ろされる風になびく髪も本来の美しい銀髪に戻っていた。
「クロムセスは、ここに戻って来る。なぜなら、奴らの狙いはこの湖の妖力だからだ」
と、パドリアヌスはきっぱりと言い切った。
「しかし、この湖はメメチャンバによって浄化されてしまったのでは?」
と、ル・デスア湖の水面を見ながら、静かに佇むパドリアヌスの憂いに満ちた横顔を見ながらガニバランは言った。
「いや、彼はダークエナジーを浄化することはできたが、妖力までは浄化し切れていない。この大陸には妖力を貯め込むような場所はここだけのようだしな。おそらく、妖力については知らないのだろう。知らなければ、浄化の仕方も知るまい」
アラン達との出会いで真実に気付いたパドリアヌスは、怒りの炎で燃えていた。
だが、心の中はなぜか穏やかだった。
それは、昨夜の部落の者達の温かいもてなしの宴、家族に囲まれているような居心地の良い空間と時間を久しぶりに味わったからなのかもしれない。
そして、あの伝説のメメチャンバ、スチュアートリア帝国のGrate Mageと出会った影響もあるのだろう。
自国の民を導き守るという立場に有ながらも、異国の民に未来まで思いやる慈悲深さと余裕、あれほどの魔力を持ちながら私利私欲の気持ちなどこれっぽっちも感じさせない人間性に、パドリアヌスは圧倒されまくりだった。
かつての自分も、そんな王を目指していのでは無かったか?
そう思うと、今の自分が情けなく恥ずかしくもあった。
本来自分がやるべき事に気づいたパドリアヌス包むオーラは、一昨日とは全く違っていた。
常に彼の傍に居るガニバランもそのことに気づいていた。
「妖力について知らずに、ここまで浄化できるとは、あの方の能力には驚かされますな」
と、ガニバランも自分たちを追い詰めたGrate Mageの力に一目おかずにはいられなかったし、凍り付いていたパドリアヌスの心に少なからず影響を与えたであろうことを思いながら言った。
「ああ、知らずに闘いを挑まずに良かった。俺たちの敵は別に居たからな。そいつらを倒すまでは、俺も死ねない」
そう言ってパドリアヌスは、祭壇も全て消え失せたル・デスア湖畔に立ち何かを待っていた。
ル・デスア湖の水は以前のような禍々しい感じは薄れていたが、やはり不気味に思えた。
「なんだか、日に日に禍々しさが蘇っている気がするな」
「そうですね。クロムセスのせいで大量の生贄がこの湖に眠っていまいすからね」
ふたりは、あの夜のおぞましい生贄の儀式の光景を思い出していた。
「ヤツは、生贄を捧げることであの化け物を作り出したかっただけなのだろうか?そうだとしたら、あの化け物で何をするつもりだったのか…」
パドリアヌスが倒した化け物は、妖力と生贄の魂を吸収して生み出された妖怪だった。
アランが浄化することで魂は解放されたはずだが、パドリアヌスにもガニバランにもその確証はなかった。
「我々の故国のあるアモー・ロンド大陸には、こうした妖力を貯め込んだ場所が幾つもあるらしいから、何か利用しようとしたのかもしれないな」
「どちらにしてもロクでも無いです」
と、ふたりが湖に向かって話していると背後になにやら人の気配がした。
振り向くとそこには、ズーバブラでは無くアートランドが立っていた。
すらりとして色白で輝くブロンドを湛えた男は、人好きのする笑顔を浮かべながらふたりに近づいて来た。
そして、そのブロンドの長い髪を風になびかせながらパドリアヌスに手を差し伸べて言った。
「やあ、久しぶりパドリアヌス。待たせてしまったね。すっかり立派になって見違えたよ」
その声は涼やかで、聞く者の耳に心地よく響いた。
パドリアヌスよりも10歳ほど年上のアートランドだったが、魔法で顔を変えている気配もなく、パドリアヌスと同じくらい若々しい美しい顔をしていた。
そんなアートランドの姿を見てパドリアヌスはたまらなく怒りが込み上げて来た。
「控えめでおとなしく、誠実で優しい兄のようなような男だと信じていたこの男に、俺は騙されていたのだ。俺が、この地で悩みながら、本来したくはない悪事に手を染めている間も、こいつは故国で、のうのうと暮らしていたに違いない」
そう思うと、悔しくてたまらなかった。
だが、パドリアヌスはそんな気持ちをグッと堪えて言った。
「待っていたよ、アートランド。海の長旅は大変だったかい?」
「そうだね。時化の時はちょっと酔いかけたけど、まあまあ快適な船旅だったよ」
と、変わらぬ笑顔で愛おしい弟を見るような瞳でパドリアヌスを見つめながら言った。
そして、思い出したかのように続けて言った。
「ところで、君の計画が暗礁に乗り上げているって本当かい?私に手伝えることがあるのかな?」
「なんて白々しいことを…」と、思いながらそれを口に出すことなくガニバランは、ふたりのやりとりを見守っていた。
パドリアヌスは、アートランドがあまりにも平然と優しく語りかけるので、「もしかしたら、俺の誤解なのか?」と迷いが生じるくらいだった。
そして、相手に己の迷う気持ちを悟られぬように、平静を装って答えた。
「ああ、あの隠れ里を出てこの大陸に来て10数年積み上げたことが、スチュアートリア帝国のGrate Mageたちのおかけで一瞬にして吹き飛んだよ。歴史は繰り返すとは、本当なのかもしれないな」
「それで、パドリアヌス。ここで諦めるというのかい?」
と、言うアートランドの眉が僅かにピクリと上がったことをパドリアヌスは見逃さなかった。
パドリアヌスは、もうアモー・ロンド大陸にいた頃の青二才の小僧では無い。
目の前に立っている男が、あの優しくて頼もしい兄と慕っていた男でなく卑劣な偽善者だとハッキリと悟っていた。
そして、自分の中の迷いを打ち消すように手を握り締めながら言った。
「ああ、アモー・ロンド大陸へ戻ってプラルセビアを奪還した方が早いことに気づいたよ」
と、言うパドリアヌスの言葉には決意が満ちていた。
そんなパドリアヌスの真意を悟ったアートランドの目は、以前のような弟を見つめる愛情の籠った瞳ではなく、捨て犬を見るような哀れみに満ちた目に変わっていた。
そして、パドリアヌスの決意の言葉を切り捨てるように言った。
「それは、それは残念だったパドリアヌス。でも、君はこのスチュア・トロア大陸から出ることは許されないんだよ」
「なぜなんだ、アートランド」
と、心の隅では、まだアートランドを信じたい気持ちが残っていたパドリアヌスは、諦めながらも悲しみに満ちた声で言った。
「アモー・ロンド大陸よりも豊かな土地が多いこのスチュア・トロア大陸へ進出するのことは我々の悲願だ。諦めるわけにはいないだろ?」
アートランドは、パドリアヌスにまだ自分を信じたい気持ちが残っていると察して、本性を出さずに言いくるめようとしているらしく、畳みかけるようにそう答えた。
すると、じっと口を結んでふたりを見つめていたガニバランが
「また、騙されてはなりません、パドリアヌス様」
と、叫んだ。
アートランドは、ガニバランを睨みつけるように見ると吐き捨てるように言った。
「ガニバランか!相変わらずパドリアヌスの腰ぎんちゃくだな」
と、言うアートランドのガニバランを見下すような目を見た瞬間、パドリアヌスの彼を信じたいという一部の望みが完全に消え去.った。
パドリアヌスは、敵意に満ちた眼差しをアートランドへ向けて言った。
「ガニバランの言う通りだ、俺はもう騙されない。お前たちの上手く騙されて大陸から追い出され、良いように利用使されるのはもう御免だ!」
パドリアヌスの吐き捨てるような苦々しい言葉を聞いたアートランドは、虫も殺さないような優しい男の仮面を脱ぎ捨て、その瞳を凍り付いたように冷たい色に変えて言った。
「このスチュア・トロア大陸に来て少しは、パドリアヌス坊ちゃんもBlack Mageらしくなったかと思ったが、相変わらず甘ちゃんだな」
「どういう意味だ?」
パドリアヌスは、やはりそうだったのかというガッカリした気持ちと同時に、その気持ちの数百倍の怒りと憎しみの気持ちで体中が震えるのを感じていた。
怒りに震えるパドリアヌスとガニバランを前にアートランドは、森の茂みの方を向いて言った。
「出て来て良いぞ、クロムセス」
アートランドが目線を送った方向の茂みから、その言葉を待っていたらしい片足を引き摺った男が、杖をつきながらゆっくりと姿を現した。
その男の姿を確認した瞬間、反射的に懐の短い魔法の杖を手に取りながら
「貴様、やはりまだ居たのか!」
と、言いながら飛び出そうとしたガニバランを横に居たパドリアヌスが素早く押し留めた。
「くっそ!」
ガニバランは、追い求めていた親の仇を前にいきり立っていた。
杖をついたその男は、乾いた声で高らかに笑いながら言った。
「はは、ガニバラン!お前の親を殺したのは俺ではないぞ?」
「なんだと!」
と、言うガニバランの問いに答えたのは、彼らの後ろに立っていた男だった。
「私さ!」
パドリアヌスとガニバランは、アートランドその言葉に驚いて振り向きながら、挟み撃ちにされぬように瞬時に横へ飛び退いた。
「アートランド!まさかお前が?」
と、ガニバラン以上に驚いたのはパドリアヌスだった。
「グラゼヌス様の指示で奴隷の売買を取り仕切っていたのは私の父だ」
と、言うアートランドの声は相変わらず涼やかな声だが、そこにはあの優しさは微塵も籠っていなかった。
グラゼヌスとは、反乱を起こし、パドリアヌスの父である国王を殺してプラルセビアの王座を奪ったパドリアヌスの大叔父にあたる男である。
「パドリアヌス、君は幼かったから知らないだろうが、私の父は、君の父である国王に処刑されているのだよ。グラゼヌス様が反乱を起こした時に、祖父が陰ながら反国王派に加担したのも息子の仇討ちのためなのさ」
「なるほど、そういうわけか。それで成長した俺は邪魔だからアモー・ロンド大陸から追い出したのか?」
怒りに打ち震えていたパドリアヌスだったが、覚悟していた最悪の答えを聞いたことで、逆に冷静さを取り戻していた。
「それもあるが、君には黒魔術師としての才能があったからね。殺すよりも、その力を利用して、スチュア・トロア大陸への進出の糸口を作って貰おうと思っていたのだが…やはり、甘ちゃんはポンコツだったな」
パドリアヌは、「俺は、良いように利用されていたのだな。なぜ、もっと早く気付かなかったのか!それだけが悔やまれる」と、怒りと悔しさと自責の念で震えが止まらなかった。
そんな気持ちを押し殺してアートランドの真意を確かめようと、可能な限り平静を装って言った。
「では、ならなぜ、お前がここに来たのだ?」
パドリアヌスに問われ、すっかり優しい男の仮面を脱ぎ捨てたアートランドは、冷ややかな目をし、不敵な笑みを浮かべながら言った。
「私が、わざわざスチュア・トロア大陸へ来ることになったのはポンコツな君のせいだよ。君に代わって、スチュア・トロア大陸への足掛かりを作る為だ。君は気づいてないだろうが、ジェイコブは我々の手先だ。彼は単なる黒魔術師ではない。Black Mageとしての能力を隠させて君に着かせておいたのさ。今もブロッサンのアジト・・・いや大黒主神教教会か?そこで、私の指示通り動いてくれているはずだ」
「な、なんてことだ…」
あまりのことに言葉が出ないパドリアヌスとガニバランだった。
十数年間も騙されていることにも、自分たちの敵は自分よりも数段上だったことに気づかずにいたことだけでなく、自分たちに忠実だったジェイコブまでもが偽善者だったことに愕然とするパドリアヌスとガニバランだった。
「掌の上で転がされる」とは、このことだ。
「甘ちゃん」だ「ポンコツ」だと言われても仕方ないと思っていた。
だが、真実を知った今は、それを受け入れることは出来ない。
パドリアヌスは、そらなる真実を確かめるべくアートランドに尋ねた。
「ひとつ聞かせてくれ、アートランド。この湖の妖力が目的でクロムセスをこのジラクス村に送り込んだのだろう?」
「そうだ。クロムセスは前国王が生きている時に国外追放になった身だが良く役に立ってくれている」
と、言うアートランドの言葉を聞いて、ふたりの顔を見ながらニヤニヤするクロムセス。
その男の卑屈で忌々しい笑顔を見て、怒りが頂点に達したパドリアヌスが言った。
「この湖の妖力で何をする気なんだ?」
「君たちも見ただろう?この湖の妖怪を!あいつらを育てあげて我々の兵にするのだよ。Grate Mageですら妖力には勝てないだろうさ」
アートランドはもちろん、パドリアヌスもアラン達が単なるWhite Mageでは無くそれよりも優れて魔力を持つGrate Mageであることは知っていたが、神聖力のこともHoly Mageのことも知らない。
だが、アランの力を目の当たりにしているパドリアヌスには、なぜか彼になら妖力にも勝る魔力があると確信していた。
だからこそ、無抵抗でアランに白旗を上げたのだが…。
「そんなことは無いぞ、スチュアートリア帝国のGrate Mageなら妖力も封じ込む力がある」
一方のアートランドは、Grate Mageと言ってもWhite Mage同様に白魔術を使う者だろうと高を括っていた。
白魔術は防衛力や治癒力には優れているが攻撃力は、断然、黒魔術の方が勝っていると思っているからだ。
「ふん、それはまだ、妖怪が未熟だったからだろう。時間をかけて育てれば良い」
と、アートランドは自信を持って言った。
それまで、じっと耐えていたガニバランが
「そうはさせるか!」
と、叫びながらガニバランが剣を持ち、その手に杖を重ねながら雷のようなエネルギーを溜めた剣を降りあげてアートランドに突進した。
「ガニバラン」
と、パドリアヌスが止める間もなく、アートランドが懐から出した魔法の杖から繰り出された竜巻に包まれてガニバランは遥か後ろに飛ばされた。
「貴様ごときに私は倒せんぞ、ガニバラン」
パドリアヌス同様、Black Mageとしての能力を持つアートランドにとって黒魔術師の領域内いるガニバランの魔術では歯も立たない。
「アートランド、そんな魔法が使えたんだな。お前は黒魔術師なの白魔術のようなものしか使わないと思っていたよ」
と、言うパドリアヌスの言葉にアートランドはあざ笑うように鼻を鳴らした。
「ふん、だから君は甘いというのだよ。そんなことだから自分の親族に王座を奪われるのだ。私はとっくにBlack Mageだ。思い出してごらん。幼い君に黒魔術の手ほどきをしたのは私だったろう?教えながら、君の魔力を封じていたのに気付かなかったろう?」
確かに、黒魔術を教えてくれたのはアートランドだった。
だが、彼が教えてくれる魔法はいずれも基本的なことと、自己防衛の為の攻撃魔法だけだった。
教えると見せかけて魔力を封じられていた事にパドリアヌス全く気づきもしなかった。
だが、パドリアヌスの黒魔術師として才能を見抜いたアートランドたちは、彼の魔力の覚醒を恐れて、アモー・ロンド大陸から追い出したのである。
だから、スチュア・トロア大陸に来てからは、封じる者がいなくなったパドリアヌスの魔法がめきめき上達したのは、そうした理由に違いなかった。
「そういえば、隠れ里山に残して来た俺の親族はどうなったのだ?」
唆されているとは知らず、まんまんとアモー・ロンド大陸に親族を残してスチュア・トロア大陸へ来て10年以上になるパドリアヌスは、急に自分たちの親族のことが心配になった。
今までは、アートランドたちからの報告を信じて、皆が元気に健やかに暮らしつつ自分の帰りを待っていると信じていたが、今となってはそれも怪しい。
「心配はない。あそこに居るのは、ほとんど女、子供と老人だけだ。いざという時の人質として大切にあの山里に監禁している。まぁ、逃げだそうとした者は別だがな」
と、冷ややかに答えるアートランドの答えをパドリアヌス素直に受け止めて良いものかと思っていた。
そして、一昨日まで彼を疑うこともしていなかったことが悔やまれた。
「卑怯な」
「何をいう、命を奪わずに山里で平和に暮らさせてやっているのだぞ?慈悲深いと言ってくれ」
と、言うアートランドは、本当に慈悲深い対応をしてやっているのだから、感謝しろと言わんばかりだった。
「それで、お前はここに来て何をしようと言うのだ?」
既に怒りの感情を隠せなくっているパドリアヌスは、アートランドに詰め寄るように言った。
「せっかくクロムセスが育てていた妖怪を君が倒してしまったからな。君が、一目置いているらしいスチュアートリア帝国のGrate Mage達を倒すために、もう一度生み出して育て直さないとならなくなってしまった。でも、私が来たからには、クロムセスよりも早く、しかも強力な妖怪を作り出せる。そのために、まず君に生贄になって貰おう」
「なんだと、パドリアヌス様をだと!」
と、アートランドの言葉が終わらぬうちにガニバランがパドリアヌスを守るように彼の前に立った。
そんなガニバランをあざ笑うように魔法の杖で片掌を叩きながらアートランドが言った。
「ああ、ついでにガニバラン、お前も一緒にパドリアヌスの道連れにしてやろう。魔力を持つ者を生贄にすれば、妖力だけでなく魔力のエネルギーも吸収してより強大な妖怪が生み出せるからな。パドリアヌスほどの魔力は無いだろうがガニバラン、君も魔術師のはしくれだ。役に立ってくれるだろう。我々の悲願であるスチュア・トロア大陸への進出に貢献できるのだから、喜べ」
薄笑いを浮かべながら、そう語るアートランドは冷淡な美しい悪魔のようにすら見えた。




