第9話 第2回戦利品分配
~第2回戦利品分配~
結局のところ、一番の戦利品だと思っていた魔剣レーヴァテインが大臣手作りの贋作だと分かり、皆の興味はやはり嫁候補に集中した。いや、大臣ルフトの技術力、恐るべしであるが。精神乗っ取り機能という、世にも恐ろしい機能がある以上、正直誰も使用できないのでは?
「格闘家フィオと守備兵ブリーフの結婚を認める。」
バーンが司祭の如くに天を仰ぎ、両手を広げる。緑の肌で禿げ頭ではあるものの、鼻筋の通った端正な顔立ちはハリウッドのとあるアクション俳優を彷彿とさせる。上等な王の衣服も相まって、なかなか雰囲気があるじゃないか。
「邪教の司祭ぐらいには十分見えるな。」
俺はそんな失礼なことを心の中で思っていた。
というか、コマンド~の奴、ブリーフって名前だったんだ。かわいそう。
「それ以上彼の名前を呼ばないであげて!」
俺はさらに失礼なことを心の中で思った。
でもコマンド~、かわいい嫁さんが出来てよかったね!格闘家フィオは青のチャイナドレスを身に纏ってお団子ヘアーにしてはいるものの、栗色の髪と緑の瞳。一般的なここ、中欧圏出身の外見をしている。そのコスプレ感もなかなかにそそるもんですなぁ。
次に選ばれたのはノリスというノーマルゴブリンと弓使いアーシャとのカップルだった。随分上等な名前じゃねぇか。彼は俺が初のパトロールをした際にエレクツィオン砦のことを説明してくれた生真面目なゴブリンだ。守備隊の中でも良い動きをしていて、弓使いを死角から襲い、所持していた弓の弦を脇差でばっさり切り、彼女の攻撃を防いだ。体格的には目立たないが、頭も切れそうだ。
そして、最後の一人。剣士アイラだ。彼女は玉座の間でただ茫然としていた。それもそのはず。彼女はここ2週間も魔剣レーヴァテインに精神を乗っ取られていたのだ。彼女としては2週間前に怪しい行商人から魔剣レーヴァテインを購入。街のはずれで素振りをしていたところ、だんだん意識が遠のき・・・次の記憶がこの玉座の間だった。記憶喪失による不安からか、とてもおどおどしている感じだった。そもそも、魔剣に手を出す前から彼女は病んでいた。なんとかC級にランクアップしたものの、戦闘スキルが追いついておらず、命がけの生活になっていたらしい。彼女が魔剣に手を出したのは至って自然なことだった。
整った顔立ちに血の気は薄く、漆黒の髪が不幸の影のように見える。救いを求める目がじっとバーンの事を見ている。傷ついた彼女を癒してあげられるのは、面倒見のいい大人の包容力だろうと俺も思った。
バーンはおもむろに言う。
「剣士アイラ、私の第5夫人とする。」
なぜか俺はコーデリアの事をふと思い出したが、いや待て。そうだ。以前バーンは、「妻は4人で十分」とか言っていたよな。あれは結局俺とヴァレリアをくっつけるための方便だったわけね。
ま、それはいいとして。
一番の功労者である俺は、守備隊長の名誉(そんなもんいらんわー:ToT)以外には、何ももらえない感じかな?木枯らしがひゅ~っと行きそうだったが、そのタイミングでバーンが思い出したかのように言う。
「そうそう。守備隊長ゴーダ、大安日、天赦日、一粒万倍日ならびに虎の日、いずれかが該当する日の全てを君の公休日として認める。あとでシャーマン部からカレンダーをもらって確認すると良い。」
ん?割といいじゃんよ。ブラック企業はなかなか休みが取れないという。こんなに福利厚生の整ったホワイト企業、なかなか存在しない。俺は目をキラキラさせ、心のなかでスキップをする。
「はっ。ありがたき幸せ。」
しかしなんだ。中欧圏にありながら、もはや通常の七曜日休みでもない。なぜか東洋的な暦に従って生活することとなった。なんでやねん!宝くじに当たりやすい日を選んでくれているようだが、俺が当たったのは守備隊長という貧乏くじだ。がっはっは。お後が上手くまとまりましたな!
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翌日はなんと「大安日」だった。お休みだ。
俺は鼻歌を歌いながら砦内をふらふらする。本当にこのエレクツィオン砦は立派な宿泊施設+諸施設といった、実にしっかりとした造りなのだ。見ていて飽きない。裏庭の先にはオリーブの畑が裏山にせり上がるように続く。白い壁の美しい小屋、離れのような家屋。南欧風、聖ロムルス帝国時代を思わせる建物や糸杉などの街路樹の造形は美しく、水場から女性陣の笑い声も聞こえる。ここがゴブリンの巣なのかと目を疑ってしまう。
気持ちの良い朝の散歩を終えて、俺はリストランテ(食堂)に入った。中で働く人の多くは女性だ。いずれかのゴブリンの奥さんに違いない。
「あ、守備隊長、おはようございます。」
「木苺のムース、ひとつサービスしておきますね。内緒ですよ。」
「私、レーヴァテインとの戦い、部屋から見ていました。守備隊長の隠れファンなんです。」
なんと。ゴミのように思っていた守備隊長の肩書だったが、まるでどこぞの辺境将軍のようなカリスマだ。守備隊長ってそんな位置づけなのね?名前がカッコよくはないけれども。俺はとっても気分がよくなった。やっぱり異世界で頑張るって、最高ぅ!
たらふく食べてしまい、少し重い腹を抱えて商業施設ゾーンも見て回る。可愛らしい小物屋もあるなぁ。ヴァレリアやサマンサはどんなものを喜ぶだろうか。今晩からいろいろ情報収集して、折を見てサプライズしてやろう。商業施設の端の方はまだ空室もあるようだ。これからまた新たな店舗が開店するらしく、貼り紙はしてある。そのさらに奥に・・・
マッサージ屋さん?
ゴリマッチョになって少しだけ困ってることがある。やはり少し、以前の細マッチョ(?)の時よりも体の張りや凝りが多い気がする。筋肉を解きほぐしておくのも明日への糧として重要に違いない。
なになに。
「至高のセラピストがあなたを愉悦の海に誘います!」
なんかエロい妄想をさせるなぁ。
「守備隊長割引きあり」
・・・
うわ~。完全にうさん臭いが、「至高のセラピスト」とやらの顔も見ておきたい。暇人は好奇心だけが糧だ。
「こんにちわ~」
ドアを開けて中に入ると、なんとなく色っぽいお香の香りがする。あ、やっぱりな。怪しさがさらに一歩前進した。
「いらっしゃい。お待ちしてましたわ。」
そう言って衝立の奥から姿を現したのは、法術士ノルン。今はルフトの第三夫人だっけか?普段の法術士の法衣のようだが、以前より丈が短く、太もものかなり上まで露出している。形の良い太ももの曲線が白い光沢を放っている。ごくっ。その目線に気付いたのか、ノルンは言う。
「あぁ、この法衣ですね。動きやすいように丈を短くしてもらったんです。見た目もかわいいでしょ。」
かわいいというか、彼女がポーズを取って後ろを見せると、形のいいヒップに持ち上げられてしまった裾のラインの下からTバックの片鱗がちらっと見えてしまった。げっ。「あら」と彼女はわざとらしく裾を引っ張って下げてそれを隠したが、また何かの拍子に裾が上がってしまいそうだ。むむむ。お元気くんがあっという間にお元気だ。
もはや通常のマッサージに留まらないことを予感しつつ、設えられたベッドにうつぶせになる。ちなみに服は脱ぎ、専用の下着のような物を着けさせられた。男がこんな「Tバック」みたいな形の下着を着ることはこれ以外のシチュエーションではなかなかないだろう。こういうよく分からないところにも、妙に変ないやらしさを感じるのは俺だけだろうか?
「足から順にやっていきますね~」
俺の様々な想いとは別のところで、手際よく彼女が作業を進めて行く。
オイルでぬるぬるとした白魚の掌が足指と裏をまさぐっていく。ひょえっ。なんだか変な声が思わず出そうになった。いろんな意味で本当に元気になってしまう。体を巡る暖かな脈動が彼女の手指でどんどん高められていく。ほふっ。やがて熱を持った気の巡りは足首、ふくらはぎ、裏腿と体の中心へ向かって押し上げられていく。体を愛撫される女性たちはいつもこんな気持ちなんだろうか?と性別を超えた快楽への道のりを頭の中で空想する。いたずらな彼女の指が執拗に俺の臀部を撫でまわしている。これがもし逆の立場だったら、既にそういう行為の一部として完全にR指定上アウトだろう(※本作品はちゃんとR指定をつけております)。だが女性が攻め手になるだけで、ギリギリの危うさの上に立った駆け引きのような浪漫を感じている。まだセーフな表現ゾーン。まだ今は。
すでにお元気を通り越しそうなお元気くんが一点で俺の体重の多くを支えているような気がする。彼女は俺の体におぶさるようにして、腰から背筋へとその指を滑らせていく。凝りがほぐされていく快感と足から順番に押し上げられてきた熱を持った快感とが混ざり合ってため息を出させる。おおふ。
「どうですか?気持ちいいですか?」
くすぐるような言い方で彼女が言ってくる。「ああ」俺は恍惚の表情で頷いて見せた。やや明るいブロンドの彼女の髪が揺れ、高価な装飾品のように輝いて揺れるのが視界に入ってくる。美しいその髪を自慢するかのように俺の首筋に乗せ、更に耳に唇を近づけてささやく。まさしく異世界AMSRだ。
「ルフトは先日のレーヴァテインの件をとても申し訳なく思っているのです。ですから、ぜひ、ゴーダ様を手厚く遇せよと。」
彼女の胸のふくらみが俺の肩甲骨の下をなぞり、熱をもった息とともにそのゾクゾク感が吹きかけられる。と、一旦彼女は自分から体を離し、ベッドの上から床に降りると、もぞもぞと法衣に手をかけながら言った。
「ちょっと私も体が熱くなってきたようです。少し衣装を軽くしますね。」
衣装を軽く??俺はぼーっとした頭で、少し体を起こして斜め後ろにいる彼女の(衣装の)状態を確認した。
なんと。
なんと。
それは艶のある白色の生地のマイクロビキニだった!!
はち切れそうな豊かな胸や、気になる「いけないゾーン」が極小三角形のそこからはみ出てしまいそうだ。俺は鼻血を噴射して、一瞬白目になった。
人物紹介その7
ノルン
ゴーダ転生後、最初の襲撃でヴァレリア達と共に襲撃してきた冒険者の一人。法術士。ルフトの第二夫人となる。魔法使いであるルフトや第一夫人のルナ・マリアとやや折り合いが悪い。




