第31話 ヒット・ポイント
転生したらゴブリン 第31話 ヒット・ポイント
冒険者ギルドを後にして、街に繰り出した。そこまで変わりはないようだが、以前に比べて商人が少ないように思えた。戦火を恐れての事なのだろうか。エレクツィオン砦の借り上げ住宅があるそうなので、そこを目指す。周囲も割と落ち着いた住宅地。あれ?どこかで見たような。あーっ。ミリアルド君の家の隣だ。妻たちはさっさと物件に入って行ったが、俺はお隣さんに挨拶に行く。
どんどんどん!
「こんにちわ~。」
「お待たせしました・・・あっ」
執事リリアが驚いて腰を抜かしそうだった。俺は誤解を生まないように言った。
「安心してください。コーデリア王妃はおりませんから。」
そうだ。あのサンピーな関係は彼女、コーデリアがいたからこそ成り立ったものなのだ。今のこの人と俺の間にはそう言った雰囲気は全くないだろう。彼女も少しだけ頬を赤らめて言う。その赤らみはコーデリアに対して、だろう。分かるのさ。
「懐かしい思い出ですね。王妃様にも宜しくお伝えください。」
「畏まりました。実は隣に物件を借りることになりまして。迷惑を掛けないよう気をつけますので、宜しくお願いします。」
何だか微妙な失恋のようで困ってしまう。ただ、一応ケリはついたので良かったさ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
俺たちの物件も、お隣さんとよく似ていてそこそこの部屋数があった。2階のそれぞれの部屋に妻たちは落ち着いた。そして、俺は引き続き、部屋がない。毎晩奥方の部屋を渡り歩く、旧来のシステムなのだという。
「あの・・・、部屋、余っているよ。」
「ご主人様は家主だから、一部屋に閉じこもる必要はないのだ。」
美琴の言う事も意味不明だが、他の妻たちもうんうん頷いていて、否定する空気にない。俺が変なのかな?間違っているのかな?自分の部屋が欲しい~。けど認められなかった。
ふと、前世の事を思い出した。美咲をはじめとした、あちらの世界で関係のあった女性達。俺はその女性たちの部屋を渡り歩いて、わが身はほぼ自宅に戻らなかったなぁ。戻った途端に刺されたし!(プロローグ参照)だからこれは宿命と言うか、呪いのようなものかもしれない。
たけるくんは、呪われてしまった!
「今日は私の部屋ですわね。」
ノルンがとどめを刺す感じで言った。
「了解。ところで皆に聞きたいんだけれど、今日は何で俺を女性達から引き離すことに躍起だったの?冒険者ギルドにしても、馬車の中にしても。」
皆が顔を見合わせて、やがてヴァレリアが口を開いた。
「それは・・・あなた様の体力、ヒットポイントを考えてのことなのです。」
「ヒットポイント?」
「はい。今までは砦の中にいましたから、戦いはたいてい一回で済みました。でもこれから冒険に出ると、日中何度も敵に遭遇して、連戦しなければなりません。ですので、ヒットポイント、残り体力の事は常に意識しなければなりません。」
「まあ、それは確かに。でもそれと、よその女性陣との隔離にはどういう関係があるんだい?」
「今日のあなた様は鈍いですね。その・・・他の女性と仲良くなると、あなた様はお昼間から楽しまれるでしょ?」
顔を赤らめてヴァレリアは言う。
「!!」
「それも、初めてのお楽しみとかだと、何回も、何回も、激しくお楽しみでしょ?」
そう言いながら、ヴァレリアは少し自分の胸を揉んでいる。かなり揉んでいる。もみもみ。もみもみ。
「え、あ、いやあ~。そんな、何回もって・・・」
「そうですよ。ゴーダ様はやり過ぎるんですから。体力が擦り減るまで延々と続けてしまいます。」
サマンサも真っ赤な顔で言う。
「私の回復術だって、無限回数じゃありません。回復にも限度があります。『命は大事』ですよ!」
ノルンの言う事は尤もだが、無限回数って。
「ご主人様はまさにメイク・ラブ・マシーンだからな。言ってみれば諸刃の刃みたいなものだ。」
美琴の迷言。それ、意味として合ってます?
まぁ、分かりますよ。これからはセクロスも程ほどに。とくにお外でのエンカウント・セクロスは弁えないといけない。セクロスでのヒットポイント消耗が、死に直結しかねないと。そうだよな。魔王討伐のために出張しているのに、そんなことで命を落としていたら本末転倒だ。そうか、それで皆は考えてくれていたのだ。
なんて素晴らしい妻たちなのだろう。
「ありがとう、皆。これからは助平ゴブリンも計画的に、だ。」
「あなた様」「ゴーダ様」「ゴーダさん」「ご主人様」
皆いい顔をしている。黒目部分がハートになっているかも知れない。
「というわけで、早速今晩お相手のノルンには協力してほしいんだが・・・」
「えっ」「何何~?」「早速ぅ??」
皆に動揺が走る。
俺はそのままノルンと部屋にしけこんだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
部屋に入ると、ノルンに尋ねた。
「あの鏡はどこに行ったの?」
「あの鏡?ですか。」
「ほら、覚えている?コーデリアと一緒にスカサハ救出に出向いたとき、烏を追いかけただろう。」
「あ、私のお気に入りの手鏡ですね。確かここに・・・」
ノルンが荷物から鏡を引っ張り出してくれた。
「よし、では早速。」
俺は念じる。俺が求めるのは、俺の能力値が映り込む魔法の鏡。そう、スカウター機能のある鏡だ。グッド・ルッキンを注ぎ込む。
ゴシゴシゴシゴシ・・・鏡から煙が上がりそうな勢いだが、これで仕上がったろう。
女性らしい可愛らしいデザインの手鏡に俺の美しい顔が映っている。
うふん。
じゃねぇ
その顔の下だ、下。
そこにプロファイルデータが書き込まれている。
名前:ゴーダ
職業:ゴブリンロード
LV:24
獲得あげまん数 4
HP 1206
MP 358
戦闘能力値(MAX:255)
STR:186 →女神にもらったチート。超剛力。
INT:156 →元はそんなに賢くない。グッド・ルッキンの多数回使用で高値に補正された。
DEX:61 →棍棒を振り回す野蛮な戦闘スタイルなので、器用さは低い。セクロスのテクニックが嘘のよう。
SPD:103 →突撃の成功により高値に補正。マラソンでは鈍足だった。
DEF:140 →盾を持っているので、盾回避あり。格闘技能も貧弱で、盾なしでの数値はさほどでもない。
MNT:210 →鋼の精神。さらにグッド・ルッキンの多数回使用で高値に補正された。魔法攻撃、ほぼ無効。
何というか、美しくない数字の並びに見える。なんかこう、本来ならば、「あ、いかにも前衛向き。直接攻撃ユニットっぽい。」そんな感じの数字の並びがあるだろう。俺の能力値はいったい何が何だか、予想外に高いのや低いのや。でも能力値は甘んじて受け入れよう。その横の、鬱陶しいコメントが苛立つ。元は賢くない?結構うちの大学、偏差値高かったよぉ。むすっ。その他ほとんどすべてが悪口だ。まるで俺をバカにしているかのようじゃないかあ!
「なんだ、これは。おいっ。このコメントは消せないのか?!むき~~。」
文字の上を指先でゴシゴシしてみたが、全く消えはしない。
「どうしたんですか?ゴーダさん。」
そう言いつつ、気になったノルンは俺のプロファイルを覗き込んだ。当然そのコメントにも目が行く。
「ぷっ。くくく。何ですか、そのコメント。何て言うか、本当に、あははははっ。」
彼女にしては豪快に笑う。「あはは、本当におかしいんですけど。あはははは。」ツボに入ったらしく、どんどん笑いが増幅されていく。それを見ていたら、先ほどの俺の怒りも、そのギャグ?の一部に思えて来た。ま、いいかな。こうやって彼女が心ゆくまで笑えて。そう思った。そして、そんな可愛げのある彼女を見ていたら、当然ながらお元気くんが!
そんな訳で、夕陽が傾く午後のゆったりとしたお時間の中、俺は早速ノルンといや~~ん♡なことを致した。
彼女とまったりしながら、再び鏡の中のプロファイルを確認する。
名前:ゴーダ
職業:ゴブリンロード
LV:24
獲得あげまん数 4
HP 854
MP 358
戦闘能力値(MAX:255)
STR:187 →女神にもらったチート。超剛力。
INT:159 →元はそんなに賢くない。グッド・ルッキンの多数回使用で高値に補正された。
DEX:61 →棍棒を振り回す野蛮な戦闘スタイルなので、器用さは低い。セクロスのテクニックが嘘のよう。
SPD:103 →突撃の成功により高値に補正。マラソンでは鈍足だった。
DEF:141 →盾を持っているので、盾回避あり。格闘技能も貧弱で、盾なしでの数値はさほどでもない。
MNT:214 →鋼の精神。さらにグッド・ルッキンの多数回使用で高値に補正された。魔法攻撃、ほぼ無効。
おおお。本当だ。ヴァレリア達が心配した通り、HPががっつり減っている。やりまくってヘロヘロになった状態だったら、ほぼゼロ・・なんてこともあるかも知れない。要注意だ。これは引き続き研究が必要だな。でも、こうやってヒロインと良好な日常パートを進めると、そこでも能力が微増するようだ。一体何のゲームだ。能力値が微増しているのを俺は見落とさなかった。ゴーダ、賢い!
ノルンにも見せて説明する。
「やっぱり皆の心配通りだったよ。今回のえちえちでヒットポイントが-352の計算だ。」
「プレイスタイルでも変わるかも知れませんね。今は正常位が中心で、結構激しかったですから、次は私が主に動きますね。」
目をキラキラさせて、邪神官は積極的に研究継続を希望した。や、やってみよう。
殆ど動かず、ノルンのお口奉仕→騎乗位というスタイルで、とっても良かった~♡
じゃなく、ヒットポイント、ヒットポイント。
名前:ゴーダ
職業:ゴブリンロード
LV:24
獲得あげまん数 4
HP 524
MP 358
・・・・
「ヒットポイントが-330の計算だ。やっぱり、射精ってすごく消耗するんだね・・・。」
「本当ですね。2回の実験で、目立った有意差はありませんでした。」
どこからか取り出した、インテリ眼鏡をノルンはかけている。そのテンプル部分を指でくいッと上げてインテリ女子は結果を纏める。くうう~~。そそる~。
「ノ、ノルン助手。」
「きょ、教授、ダメです。こんな時にぃ♡」
こうして、本日3回目の、合体♡
名前:ゴーダ
職業:ゴブリンロード
LV:24
獲得あげまん数 4
HP 163
MP 358
・・・・
今回はドギー・スタイルで激しく責め立てた。ヒットポイントは-361の計算だ。そして、次に致すと、確実にヒットポイントがゼロなのか、一なのか・・・そんな状況だろう。
「むむむ。次に致すと、振り切ってしまう格好ですな。」
顔に縦線が入ったような感じで俺は言う。
「そうですね。手軽に確認してみますか?」
ノルン助手はお掃除口奉仕(まじで無茶苦茶萌えるっちゅうの。男のロマンや)からの通常口奉仕で片付けてくれた。本日4回目のグッド・ルッキンのチャージ。
名前:ゴーダ
職業:ゴブリンロード
LV:24
獲得あげまん数 4
HP 1
MP 358
・・・・
なるほど。俺はよく、この「HP 1」の状態で頑張っているという事か。
「あらあら、大変。急いで回復しましょう。」
ピロリン!
まだまだほんの何パーセントかしか回復していない。
ピロリン!ピロリン!ピロリン!ピロリン!ピロリン!
合計6回の初級ヒールでゴーダのHPが全回復した。初級ヒールの回復量がエッチ1回分なのか。プロファイルは・・・
名前:ゴーダ
職業:ゴブリンロード
LV:24
獲得あげまん数 4
HP 1880(MAX)
MP 358
・・・・
「あれれ?ゴーダさんのHPって最初から擦り減っていたってことですか?・・・という事はあれですね。2回分ぐらい私の前にエッチしていた可能性も?!」
「いやいやいや。さっき道路で転んで、その時にダメージが!」
「ほんとですか?」
ノルンのジト目。
今回の実験で、ノルンにはマズい事実がばれてしまった!のかも知れない。
ま、まぁ、あまり難しいことは考えないようにしようよ!ね!ね!
次話へ!
お宅紹介 その1
グレーフェンの借り上げ宅
2階に6部屋の個室と1階に調理場、食堂、応接室、浴室、倉庫などを備えた立派な邸宅。これからしばらくの間、ゴーダ達の冒険を支えてくれる拠点となることだろう。そこそこな家賃だが、5人が毎日宿屋に泊まることを思えば、十分にお釣りがくるランニングコストである。




