第25話 スライム汁
転生したらゴブリン 第25話
~スライム汁~
「魔王討伐を、君に任せたい。」
バーンが言った。
ついに来た。
で、具体的にはどんな感じで?
「兵力としてはどのような感じを想定していますか?」
「少数精鋭で、パーティーを組んでもらうのがいいだろう。」
「4~5人とか、そんな感じですか?」
「それぐらいだな。」
「もっと大人数で行った方がよいのではないですか?」
「そうしたいのは山々なんだが、魔王側からエレクツィオン砦を襲撃してくることも想定しなければならない。」
バーンの言う事も尤もだ。魔王軍は数より個の力だ。モルガンのよう突き抜けた強力な敵がここをいきなり急襲してくることも考えられる。本拠地の守りを手薄には出来ない。
「あとは、残念な話なのだが、現時点では聖教側やバルトリン王国にあまり信頼されていないことも理由だ。大兵力で出撃すると、彼らからも警戒されかねない。」
横にいるルフトが付け足す。敵性部族、悲しいかな。
「確かに。あちら側からしたら、魔王軍の回し者みたいに思えますよね。仲間のふりをして同時に出撃して、魔王軍との交戦中に寝返る・・・とか当たり前に懸念しそうなところです。」
「そういうことだ。我ら高潔な日本人がそんなことをする訳ないのだが・・・こほん。前世の話だったな。」
ルフトこと元大学講師、古田は苦笑する。
「なので、苦肉の策よ。でもあれだ、勇者の冒険譚みたいでいいだろう?」
バーンが言う。
ゴブリンに転生したけれど~、気付いたら魔王を討伐する勇者パーティーを編成していた~
「勇者ですか、ははは。」
「おっと。今日は君の有給日、『大安』ではないか。急ぎの用だったから失礼した。あとは余暇を楽しんでくれ。」
バーンによって仕事から解放された。ひゃっほう。風呂にでも行くかな。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
例によって、昼間の(と言っても、まだ10時かそこらだが)皆仕事に出かけていて、大浴場には誰もいない。体を洗って、湯船に浸かる。ちゃぷんっ
んんん~~。贅沢だ。
グーッと伸びをする。
摺りガラスから乳白色の光が差し込み、浴室を明るく照らす。
風呂場を独占。
お掃除のおばさんが隅の方で作業しているが・・・
まぁ、気にしない。気にしない。
・・・・
マスクをしたおばさんが視野に入る。
おばさん?はやたらと俺の視野に入り込んでくる。
デッキブラシで湯船の近くの一所だけ熱心に床を擦りながら、やけに体を揺する。形の良い胸や尻がフルフルと揺れる。俺好みの滅茶苦茶いい体をしている。艶々と輝く金髪が動くたびに光の砂金がばら撒かれる。というか、紫のレースレオタードだとお??フルン。湯船の中のお元気くんが直立不動体勢をとる。
なんっつうか、おばさんでもない。
紫のレオタードの王妃様は、お掃除が済んだピカピカの床の上に銀色のフローティングマットを敷き始めた。これではまるで、いかがわしいお風呂屋さんのようではないか!
「あら、守備隊長殿、奇遇ですね。こちらでお背中お流ししますわ。」
そう言って、洗い場で待ち構える。奇遇も何も、いつもの堂々とした闖入である。言われるがままに、湯船を後にして、洗い場に戻った。座椅子に座ると、しなやかな指が首筋と肩を軽くマッサージする。ここにも居た!マッサージ上手。ゾクゾクとうぶ毛が逆立つような感覚。おおおっ
そこからサービスは、きめ細やかな石鹸の泡の塗布へと変わる。丁寧に塗り広げられる石鹸の泡。なんだか自分が高級素材にでもされたような気がしてきた。それだけの愛情というか心配りを入れた塗布の仕方だった。
ところが、突然、、、
むにゅっ。むにゅにゅっ
弾力のあるモチモチしたものが押し付けられる。
えっ??
「んふううううっ」
耳元で囁かれる悪戯っぽい吐息交じりの声。
S字を描くように彼女の体が踊りくねり、俺の背中に押し付けられてゆく。
こ、これが泡踊りという奴か!!!
彼女が前に回り込んできたころには切なさと気持ちよさで息苦しいまでに鼓動が高鳴っていた。手と手を繋がれて、指の間まで丁寧に石鹸の泡で洗い上げられてゆく。そこから前腕、上腕へと様々な女神のパーツが悪戯っぽく擦り上げながら去ってはまた戻ってくる。
ほふああああ。な、な、なんじゃこりゃあああ。
しゃがみ込むと、その美しい曲線美を描く太ももの上に俺の足先を惜しげもなく乗せる。ちょちょちょ、申し訳ないですよ~、流石に。だが彼女は俺の足を愛おし気に太ももと両の手で包み込むようにしてきめ細かい泡と、きめ細かい心遣いで洗い上げてゆく。洗われるゾーンがどんどん上がってゆき、最後には太もも、そしてピー部分へと向かう。ピー部分も、優しく、しつこく洗い上げられてゆく。
お元気くんを粘性のあるしなやかな指が撫で上げ、扱き上げる。
うおおおお。ぐっ、ぐっ、グッドです!!!
はあああ。やばい。本気で、やばい。
でも流石にそこで彼女の攻めは終わってくれた。危なかった~
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「じゃあこっちね。」
泡を洗い流されて、彼女に案内されたのは先ほどの銀色のフローティングマットだった。
「やっぱりこのマットかぁ。いかにもな雰囲気ですよね。」
「ゴーダも知っているみたいね。そう。ちょうどいい、スライム汁が手に入ったのよ。」
す、スライム汁??
マットの端に胡坐をかいて、彼女は風呂桶の中の溶液をお湯で割って均等に混ぜている。粘性があるのか、空気を巻き込むような、宙に浮かせるような独特な所作で、その溶液?粘液を伸ばしてゆく。あ~、間違いなく、ローションだ、これは。
彼女もレオタードを脱ぐと、いい感じに粘性が下がってとろりん、となったローションを自身のあちこちに塗ると、俺に抱きついてきた。おおおっ。意外と滑って難しいが、こんな感覚はなかなか味わえない。要領よくマットの端を掴んでいるので簡単には滑らない。彼女が自分の上で体を前後させるたびに、経験した事のない快感が押し寄せてくる。しなやかでありつつも、しっかりと膨らみのある彼女の体が、まるで巨大な舌に変身したかのように俺の全身を舐め回してゆく。
というか、ショッキングピンクの美しい舌を使って、本当に舐め回してもいる。舐め回しているぅ。ほふ、ほふっ。
こちらも舐め返す。撫でまわす。コーデリア、好きだ。コーデアリア、最高だ。全てが愛おしい。
何という恍惚、芸術性、快感。その怒涛の連続なのか?!
イカとタコが全ての足を絡め合わせたかのように、あるいは全身が危険な部分になった性獣がその全てを重ね合わせるかのように。どこまでも淫靡に彼女とその身を重ねてゆく。やがて、お元気くんが彼女の最も恥じらう部分と重なってゆく。お互いがこすれて、お互いに吐息を漏らす。
あはあっ うおっくうっ
見つめ合う目と目。
約束されたかのように唇を重ねる。ローションと彼女の唾液とが混じった、ほんのり甘くて理性を破壊する美酒。先ほどまで俺を愛し尽くしてくれた愛おしい舌を独占する。捕まえたら離さない。そんな気持ちで貪る。
引き続き擦り上げる体と体。するっとお元気くんが彼女の中へと入ってゆく。熱い。本当にやけどしそうなほどに熱い。気持ちいい。あまりの快感にブルブルと身を震わせる。やばい。ちょっと情けなかったか?
だがその心配はいらなかった。紅に上気させた頬、夢見るような彼女の目は瀟洒な浴室の天井を見上げて、同じく身を震わせている。
彼女の右手を俺の左手を、指と指を絡めて繋ぐ。右手でマットの端を掴みなおし、前後運動を加速させてゆく。ローションがある分、普段よりも勢いがつきそうだ。それもまた、想定外に快感を増幅する。
ああっ あ”っ あ”っ おほおおおおっ
浴室いっぱいに彼女の嬌声が響き渡る。
こっちも本当に、本当に堪らないよ。
来ている。来ている!
ぐっ
ぐっ
まだ我慢。勿体ないっ
ぐっ
ぐっ
グッド・ルッキ~~ン!!!!!
「ユニークスキル、グッド・ルッキンがチャージされました・・・んっ。んふうっ。はあっ、はあっ、あはあっ・・・」
アナウンス内容に微修正が入ったようである。そして、仕事を忘れて快楽に走った形跡が耳に入ってくる。自身の胸を揉みしだく女神様の姿が容易に想像できた。あちゃ~
・・・・
・・・・
「魔王討伐の話、聞きました?」
「ゴーダが討伐隊の隊長になるんでしょ?」
「残りのパーティーメンバーを選べって言われました。」
「やっぱり、奥さん達と性奴隷を連れていくことになるかしらね。」
「多分、皆そのつもりでしょうし・・・それで、コーデリアにお願いがあったんです。」
俺はノルンの事を相談した。
「いいんじゃない?バーンに相談してみるわ。ルフトも変な人でね。戦利品で奥さんを貰うのが嫌みたいよ。前にも戦利品の奥さんが三行半を突き付けられたことがあったから、『またか』って感じよ。彼、自由恋愛で自分が認めた女魔導士を口説くのがいいんだって。」
それは初めて聞く話だった。なんか、カッコいい。ルフトの事を途轍もなく見直した。
「それはそうと、コーデリアはついて来てくれるんですか?」
天井を見上げて少し考えた風のコーデリア。
「私は・・・残るわ。」
「そう・・・ですよね。」
ほろ苦い何かが胸に突き刺さった。
「ごめんね。でも、これからの大変な時にバーンのそばに居てあげなくちゃ。」
本気で傷心した。でも、彼女の純心を応援したい。
「バーンの事も、ゴーダの事も、本気で好きなんですものね?」
涙声で俺は言う。
「そう。だから、選べないけれど。状況が選ばせたの。」
恐るべきモルガンの襲撃もあるかも知れない。彼女のような実力者が残ってくれた方が安心だ。そう理性で分かりつつ、感情が堰き止めていたものを溢れさせる。こうやって彼女と体を重ねるのも最後になるのかも知れない。
「はぁ。酷い女だ。」
一筋の涙をぬぐい苦笑する俺を、彼女はもう一度強く抱きしめた。そして、羽毛のような口づけだけを残して、彼女は去って行った。
お互いや、周りの大切な人間の事を考えて身を引いてゆく。
これが、本物の恋の終わりなのかも知れない。
・・・・
・・・・
感傷に浸る俺が横たわるマットの上に、小学生ぐらいのゴブリン少年たちが乗っかって遊んでいる。
「すげえ。スライム汁だ。」
「体に塗って使うんだって。」
「うふ~ん。いらっしゃいませぇ~」
「きもっ。えっち。きもえっち!」
「男同士はお嫌ですかぁ?」
「嫌だ。俺は守備隊長みたいに強くなって、かわいい嫁さんを貰うんだ。」
「うっ・・・俺だって強くなるさ。強くカッコよくなって、いっぱい嫁さんを貰うんだ。」
もう一人も負けじと方針変換したようだ(笑)
俺は彼らの頭をなでると、風呂場を後にする。
「おい、お前ら、怪我すんなよ。あと、マットは使い終わったら風呂場の端に立てかけておいてくれ。」
「は~い。」
出口で俺は一瞬振り返ってみた。そこには、あくまでいつも通りの浴室があった。何を似合わないことを。そう自分の尻を叩いた。俺は一瞬フッと笑うと、いつもの浴室を後にした。
魔法アイテム紹介 その2
スライム汁
草食性のスライムを殺して搾り取った一般体液。食用としてお薬服用のサポートグッズやスイーツの原料としても使用することが出来る。




