第18話 ヴァレンティノ君
転生したらゴブリン 第18話
~ヴァレンティノ君~
「君に、専属の男優になってほしいんだ。」
ぶ~~~~っ!!!!!
俺が、コーヒーをぶちまけた先に、水晶玉が置いてある。何というか、前世でいうところの充電中?みたいな?あれだ、ルフトが持っていたスマホ的なスフィアだ。
最近自覚しているが、意外と俺が一番ポンコツな件・・・何かの題名になりそうだ。
「ちょ、何やってんのよ~!!」
激おこで巨大豚スカサハが迫ってくる。食われる。ひいっ。目をらんらんと光らせる巨獣。食われる、食物として。そして俺のゴブリン人生も幕を閉じる。吹きかけられる息は、別段臭くない。いい女のいい匂いがほわんとする。変な性癖が身につくから、本当にやめて。
「ゴリさんも言い方がいきなりすぎますよ。ゴーダ君がびっくりしても仕方ないですよ。」
スフィア型スマホをティッシュで拭くのを手伝いつつ、サトゥーがフォローしてくれる。
「確かに基本、俺が悪かったよ。スカサハさんも、ゴーダ君も、ごめんね。」
ゴリさんが責任を被ってくれた。
スフィア型スマホ(?)はスカサハがルフトと通話していたときに使用していたものである。防水性能は付いていなかったようで、ばっちり故障していた。それでもサトゥーは修理ができるらしいし、構造が単純なので、中の情報も復旧は可能とのことだ。ただ1~2日かかるよ、とのことだった。スカサハは隊商の出発を遅らせることにした。
スマホ騒ぎでバタバタしたが、編集室に戻って仕切り直した。
「専属の男優、なんて言っちゃったけどさ、普段通りで全く構わないんだ。」
ゴリさんがそう言うが、意味がよく分からない。
「何が何だか、意味が分からないんですが。」
「普段通り、奥さんの部屋でいつもの通りに行為をしてもらう。それを商品化する許可を貰いたいだけなんだ。」
「撮影はどうするんですか?そんな機材や人員を、妻の部屋に持ち込むんですか?」
「何も持ち込む必要はないさ。人員は誰も入らないし、機材は元々備わっているよ。」
「え?どこに?」
「奥さんの部屋にはどこも鏡があちこち設えられているっしょ?」
「あ、鏡ってリース品とか聞いていますが・・・。」
「ご明察。あれ、一応魔法の鏡なんだって。」
結局、奥さんの同意を得たうえで、OKすることにした。まぁ、臨時収入もたっぷり入るし、ヴァレリア、サマンサともに乗り気になるに違いないと思った。
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粗相をしてしまったので、その日の夜は編集部(?)の二人と俺でスカサハを接待することになった。三階のお洒落なラウンジでグラスを傾けている。今晩の妻、ヴァレリアも呼んで、5人でソファー席にいる。
「あらまぁ、綺麗な奥さんいるじゃない。」
男前にマティーニっぽいドリンクを傾けながら、スカサハが流し目を俺たちにくれる。
「いえ、そんな。」
俺の左隣で果実酒っぽい赤紫の可愛らしいドリンクを飲んでいるヴァレリアは顔を赤らめる。スカサハは商売人らしく、こういったリップサービスが自然に出て、上手いなぁと思う。
「スカサハさんこそ、引く手数多でしょう?」
ゴリさんが反対に持ち上げる。
「うーん。最初は嬉しかったんだけどね。だんだん気疲れするようになったのよ。だからたまにBLに手を出したりしているうちに、どんどん嵌ってね。」
「また、どうしてBLに走ったんです?色々恋愛小説やコミックみたいなものもあるでしょう?」
サトゥーが聞き込みを入れる。
「そうね。男と女の恋愛物だと、たまに読んでいて疲れたりすることがあるのよね。BLって、安全圏から恋愛を観察できるってところも、気持ち的に余裕があっていいんでしょうね。」
と冷静な自己評も出る。
最初はそんな滑り出して、彼女の側面を垣間見るイイ感じの会だったのだが・・・
<一時間三十分後>
ス「そーゆんじゃ、ねーんだわ。文学だよ。文学として純粋な心とコロロのやり取りを見ているだけなのよ!」
ゴ「はい~。おっしゃるとおりで。お前だけが好きなんだ!っていう純粋さが~大事でしゅ!」
ス「ちがう、ちがう。『男だとか女だとか関係ない。俺は、お前だから好きなんだ!』その機微を忘れちゃいけないの。」
サ「男も女も、俺は好きだ~。みんな好きだ~。」
ス「女はいらない!女がいるとややこしくなる。ややこしいよね、女は?」
ヴァ「はいっ。そ、そ、そうですよ。女は面倒くさいです。」
ス「むふっ。いいな、ヴァレちゃんは。泊りに行っちゃおうかな~。女子会だ。」
カオスだ。女は必要なのか、必要ないのか、一体どっちじゃ~。酔っぱらいのアホにとっては理屈なんてどうでもいいのだ。ヴァレリアは少しうんざりした顔をしている。ちょうどラウンジのマスターが近寄ってくる。
「すみません。他のお客さんが迷惑しているようですので。」
マシな面構えの俺とヴァレリアだけを見て言った。
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俺たちはそそくさとラウンジを退店すると、ゴリさんとサトゥーをそれぞれの奥さんの元へと届け、スカサハを部屋まで送ろうとした。ところが、意外としゃっきりレタスな感じで、スカサハが言う。
「まぁ、まぁ、ヴァレちゃんの部屋で続きをしようよ。」
俺とヴァレリアは顔を見合わせたが、迷惑をかけたVIPなので、粗末にも扱えない。仕方なくご案内した。部屋で水割りのワインを飲みながら、スカサハは流石にコンディションを整えているようだ。
「そーだ、ゴーダ、BLプレイを実現して見せてよ。」
唐突に言う。
「ふぁ?」
「知ってるわよ。何でも変身させちゃう特殊能力があるんでしょ?」
「変身させちゃうというか、そう見せる魅了の魔法というか。」
「どっちでもいいじゃない。ヴァレちゃんを男子にして、二人で楽しんで見せてよ。」
げっ。鬼畜の発言である。ヴァレリアを見た。
「使徒様が相手なら、私はどんなプレイでも大丈夫ですよ。」
くううう~~~。何といたいけな。潤いのあるつぶらな瞳。この従順さ。もう、堪りません!
しかしあのクソ野郎の、クソ眼鏡野郎の、眼鏡??
「眼鏡、お借りします。」
眼鏡を借り受けると、そのレンズ部分をゴシゴシと指で挟んで擦り上げる。通常であれば指紋でべとべと、向こう側が見えなくなる話だが、これは向こう側が正しく見えるレンズである必要はない。どうだ、しっかり念じたことを封じれたか?
「どうぞ、かけて見て下さい。」
俺はスカサハに眼鏡を返した。手垢だらけの眼鏡に一瞬たじろいだが、すちゃッと眼鏡をかける。スカサハは周囲を見渡して、そしてヴァレリアを指さして素っ頓狂な声を上げる。
「ヴァレちゃんが、少年になっている!」
その声を聴いて、ヴァレリアは首をかしげる。
「私は何も変わっていませんけど?」
「大丈夫、彼女にはそう見えるように、眼鏡を細工したんだ。」
俺が伝えると、ヴァレリアも納得して頷いた。俺の話を聞いたスカサハは眼鏡をつけたり、外したりしてヴァレリアを確認してみている。
「おー、すごい。すごい。眼鏡をしなければ普通のヴァレちゃんだけど、かけるとヴァレンティノ君だ。」
誰?ヴァレンティノ君って。俺もスカサハから眼鏡を借りると、眼鏡をかけてヴァレリアを見てみた。本当だ、ヴァレンティノ君という名前にふさわしい思春期前半頃の少年がいる。彼と致すことは、ノーマルの俺には無理!眼鏡をスカサハに返すと、麗しのヴァレリアと抱き合った。
「ヴァレリア、やはり君は俺の宝だ。」/「ヴァレンティノ、俺は、君だから好きなんだ。」
「嬉しい使徒様・・・」/「兄貴、俺、俺・・・」
※BLが好きな人は、以下、ヴァレリアさんの言動をヴァレンティノ少年に置き換えて読み下してね。
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スカサハが見ていようと関係ない。これは俺とヴァレンティノ・・・じゃない、ヴァレリアの神聖な行為なのだ。
口づけると、ヴァレリアは嬉しそうに目を細める。ちゅぷっ。一度唇を離すと固く抱きしめる。これでも十分に気持ちいい。
「今日はお洒落なお店で一緒にお酒を飲んで楽しかったけれど、やっぱり二人でいるのが一番好き。」
彼女が耳元で囁く。ヴァレリアの中ではスカサハはこの部屋に居ないことにしているらしい。スカサハに対する、小さなヴァレリアの反逆だ。可愛らしい反逆を愛おしく思う。
お互いの荒い呼吸が相手のうなじを撫でる。もともとの肌の香り、石鹸の芳香、ほんのりと帯びた微醺。それらを絡め捕るように吸い上げると、彼女の首筋を嗅ぎまわり、唇を押し当てる。
「そこ、弱い。」
彼女が身を震わせる。優しく髪を撫で上げる。
それでもまた意地悪く同じことを繰り返す。
「もうっ。いつも狡いんですから。っはっはぁはぁ」
くすぐったさが勝っている?少し悪性の刺激だったかもしれない。不快と快感のギリギリのところで彼女が揺れている。ここは慎重でないと。彼女を喜ばせる、最も心地よいサービスこそが至上なのだ。目標ポイントを変え、彼女のつやつやした頬や唇を主な攻撃対象にしてゆく。
「それ、好き。大好き。」
よし。これだ。このまま二人でもっと楽しもう。心と体がシンクロするほどに、彼女の喜びが、自分の快感として上乗せされてゆく。熱い彼女の掌が、俺の背中を伝い、何かを探し求めてゆく。こちらも、いつも魅了されている彼女の輪郭の全てに手を這わせ、自らの手中に収めてゆく。彼女の形の良いおわん型の桃を周りから攻めるように掴み上げる。かと思えば、押し当てるようにして擦る。
はぁああああぁあ
刻印を押し付けるように、滑らかな彼女の肌の随所に唇で押印してゆく。掌、指、口唇、舌、吐息。様々ないやらしい支配者が彼女の肌に降臨して、その温度を上げてゆく。それが三角ゾーンへと向かい始めると、もはや彼女は正気でいられなくなってきた。
使徒様、好き、好き、好き~~
重なる前から、彼女は既に果てた。もちろんそこで終わるわけがない。彼女はもう完全に準備されている。少し重ねては、少し引き、浅い重なりを中心に様子を伺う。たまに少し奥へ。それもじきに、問題なくなる。徐々によりしなやかに、激しく、彼女の境界線を擦り上げてゆく。
来ている、来ている。
ぐっ
ぐっ
グッド・ルッキ~~~ン!!
「ユニークスキル、グッド・ルッキン!が発動しました。」
スクードの声が快感のダメ押しとなり、ぶるっとなってしまった。
隣に、同じく快楽の空を飛んだヴァレリアが夢現でいる。俺は彼女の髪を優しく撫でた。
だが、今晩はそれだけで終わらない。
俺は快感によって意識を失いかけている、もう一人の女の方へ歩み寄っていった。
人物紹介 その15
スカサハ/須賀紗綾
雌オークの行商人。生前はBLをこよなく愛するOL。推していたBL作家の自殺により、拒食症に陥ってしまい、改善がないまま彼女もこの世を去る。この世界では大食いで巨乳、そして至高のBLを探し求める姿勢に変わりはない。




