第1章: 崩壊の賢者の石
精霊界の魔力の海の中で、二つの元素の究極が激突した。
「ハァァァッ!」 秀城は、先手必勝を狙い、イッテルビウムの超光速発動とホルミウムの超磁性収束を組み合わせた、最速・最強の攻撃を放った。 「【原子崩壊レーザー】!」
チタンとイッテルビウムの複合魔法によって加速されたレーザーが、アルケミスの変貌した体を直撃する。並の相手ならば、魔力核ごと原子レベルで分解される一撃。
しかし、アルケミスは、そのレーザーを笑いながら受け止めた。 「無駄だ、メンデレ!私の体は、もはや物理法則と元素法則の『外』にある!」
レーザーは、アルケミスの体に触れた瞬間、そのエネルギーの軌道を曲げられ、まるでブラックホールに吸い込まれるかのように、彼の体内に吸収されて消滅した。
「なっ…!俺の原子崩壊レーザーが、吸収された…!?」 秀城は愕然とした。イッテルビウムの精度とキュリウムの熱量をもっても、ダメージを与えられない。
「言ったはずだ。私は『崩壊の賢者の石』そのもの。お前の『調和』のエネルギーなど、私の崩壊の糧でしかない」 アルケミスは、自身の肉体を変異させた超重元素…おそらくは原子番号120を超えるであろう、未知の元素…の力で、秀城の魔法の元素構造そのものを瞬時に分解し、エネルギーとして取り込んでいたのだ。
「お前の全元素習得は、『浅く、広い』。私の崩壊は、『深く、特化』している。この差がお前には分かるまい!」 アルケミスは、吸収したレーザーのエネルギーを、自身のプルトニウムの力で増幅させ、黒い崩壊の波動として秀城に撃ち返した。
「【プルトニウム・ディケイ】!」
「くっ…!【崩壊中和結界】!」 秀城は、即座にプロトアクチニウムとアメリシウムの力を融合させた、究極の防御魔法を展開した。黒い波動と青白い結界が激突し、精霊界全体が揺れるほどの衝撃波が発生する。
結界は、かろうじて崩壊の波動を中和したが、秀城のMPゲージが凄まじい勢いで削られていく。 「(MPの消費が激しすぎる…!奴の攻撃は、俺の防御魔法の安定構造そのものを、内側から破壊しようとしてくる…!)」
「どうした、メンデレ!防戦一方ではないか!貴様の『調和』では、私の『崩壊』は止められんぞ!」 アルケミスは、休む間もなく黒い波動を連射する。秀城は、防御結界を張り続けるだけで精一杯だった。
船上の仲間たちも、その絶望的な戦況を目の当たりにしていた。 「まずいぞ!メンデレの奴、押されてる!」ジンクが叫ぶ。 「秀城様の魔力が、アルケミスの崩壊の力によって、急速に汚染・分解されています…!」アメリが、青ざめた顔で分析した。「このままでは、メンデレ様の調和の力そのものが、崩壊に飲み込まれてしまいます!」
「何か…何か手は無いの!?」ナトリが叫ぶ。
秀城は、防御結界の中で歯を食いしばっていた。 (ダメだ…!防御しているだけでは、いずれ押し切られる。奴の体の元素構造を破壊しなければ…!だが、俺の攻撃は全て吸収される…)
秀城は、自身の切り札である虹色の賢者の剣を握りしめた。 (この剣は、俺の67個の元素の調和の力で出来ている。ゲートキーパーのオリハルコン装甲を破った『調和崩壊』のエネルギー…あれなら…!)
秀城は、防御結界を維持したまま、賢者の剣に全元素の調和と崩壊という、相反する二つの力を同時に込め始めた。 「アルケミス…!お前が元素の法則そのものになったというなら、俺は、その法則を書き換える!」
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