第4章: 異界『精霊界』へ
バークリウムを習得した秀城は、ワールド・ゲートの制御盤の前に立った。ゲートキーパーを倒したことで、ゲートの封印は解かれていた。制御盤には、賢者の石の魔法陣と酷似した、次元座標を入力するシステムが備わっていた。
「バークリウムは、『時空を渡る元素』…」 秀城は、バークリウムの力を解放した。彼の脳裏に、この元素界とは異なる、膨大な元素エネルギーが渦巻く世界のビジョンが流れ込んできた。『精霊界』だ。
「ガリオさん、アメリ様、時空安定化フィールドを最大出力で!」 「ジンク、オクシア、ナトリ、結界の防御を!」
秀城は、ゲートの制御盤に、バークリウムの力で得た精霊界の座標を入力した。 「【次元跳躍】!」
ワールド・ゲートの中心部が、眩い光を放ち、異界への扉が開いた。 「行くぞ!」
ガリオン・ハート号は、光の渦の中へと突入した。凄まじい時空の嵐が船体を襲う。アメリと秀城の安定化フィールドがなければ、一瞬で原子分解されていただろう。
どれほどの時間が経過したのか。一瞬のようにも、永遠のようにも感じられた。 そして、船は静かに、光に満ちた空間へと滑り出た。
「ここが…精霊界…」 秀城たちは、息を呑んだ。
そこは、物質的な世界ではなかった。大地はなく、空も海もない。周囲は、純粋な元素のエネルギーが、オーロラのように美しく渦巻く、魔力の海だった。空気中には、酸素や窒素ではなく、マナ(魔力そのもの)が満ちていた。
「すごい…元素の力が、直接感じられる…」 ナトリは、自身のナトリウムの力が、外界のエネルギーと共鳴し、増幅していくのを感じた。
「だが、危険だ」 アメリが警告した。「ここは、元素の力が純粋すぎる。制御を誤れば、私たちの肉体は、元素エネルギーに分解されてしまうでしょう」
「あの光を見ろ!」 ガリオが、前方を指差した。
彼らの目の前には、巨大な中性子の塊のように輝く、白銀の星が浮かんでいた。その星からは、キュリウムやプロトアクチニウムをも凌駕する、強烈な放射性魔力が放たれていた。
「あれこそが…カリホルニウム(Cf)の聖地…!」 バークリウムの主が残した記憶が、秀城に告げていた。
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