第2章: 時空の歪みとゲートキーパー
ガリオン・ハート号は、ガリオの卓越した航海術により、大陸東端の「時空の歪み」と呼ばれる海域に到達した。レムリアの魔の海域が「嵐」だとしたら、ここは「混沌」だった。
空は紫と緑のオーロラが混じり合ったような不気味な色に染まり、海面には、存在しないはずの島影が蜃気楼のように現れては消える。空間が不安定なため、羅針盤は狂ったように回転し、時間感覚すら曖昧になっていく。
「メンデレ、アメリ!頼む!時空安定化フィールドを展開してくれ!船のガリウム・センサーが限界だ!」 ガリオが、荒れ狂う舵を必死に抑えながら叫んだ。
「はい!【時空安定化フィールド】!」 秀城のプロトアクチニウムと、アメリのアメリシウム。二つのアクチノイド元素の力が共鳴し、船の周囲に強力な安定化結界を展開した。船の揺れが、わずかに収まる。
「この先だ…!歪みの中心に、巨大なエネルギー反応がある!」 秀城は、イッテルビウムの超感覚で、混沌の中心に存在する「何か」を捉えた。
霧が晴れると、そこには、巨大な古代遺跡が、海上に浮かんでいた。それは、ウーア文明が建造した「ワールド・ゲート」そのものだった。ゲートは、直径数百メートルにも及ぶ巨大なリング状の建造物で、その中心部は、異界の景色を映し出すかのように、不安定に揺らめいていた。
しかし、ゲートの前には、一体の守護者が立ちはだかっていた。
それは、人間ではなかった。全身が、秀城の賢者の剣と同じ虹色の金属で構成された、高さ10メートルを超える巨大なゴーレムだった。そのゴーレムは、ワールド・ゲートと同じ古代の技術で作られた、自律型の防衛システム…ゲートキーパーだった。
「…侵入者ヲ検知…」 ゲートキーパーは、無機質な合成音声で警告を発した。「コノ場所ハ、古代ノ契約ニヨリ封鎖サレテイル。立チ去レ。サモナクバ、排除スル」
「待ってくれ!」秀城は叫んだ。「俺たちは、賢者の石の魔法陣を完成させ、世界を崩壊から救うために来た!」
「賢者の石…ソレハ、世界ヲ救ウ力デアルト同時ニ、世界ヲ滅ボス力デモアル。我ガ主、ウーアノ錬金術師ノ過チヲ繰リ返ス訳ニハ行カヌ」 ゲートキーパーは、ウーアの世界の崩壊をプログラムされた、悲劇の守護者だった。
「話しても無駄だ!こいつ、アルケミスと同じで、俺たちを危険因子としか見てねぇ!」 ジンクが雷撃を放つが、ゲートキーパーの虹色の装甲は、そのエネルギーを吸収し、無効化してしまった。
「なっ…!俺の雷が…!」
「無駄ダ。我ガ装甲ハ、全テノ元素ノ力ヲ調和サセテ作ラレタ『オリハルコン・プライム』。半端ナ元素攻撃ハ、吸収・中和サレル」
「全元素の調和…!?」 秀城は戦慄した。このゴーレムは、秀城が目指す「調和」の力を、防御装甲として体現しているのだ。
「だが、お前の調和は『受動的』だ」 秀城は、賢者の剣を構えた。「俺の調和は、『能動的』に元素を制御する!試させてもらうぞ、古代の守護者!」
秀城は、レベル19の全魔力を解放し、最強の守護者との試練に挑んだ。
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