第1章: 異界への扉『ワールド・ゲート』
「ワールド・ゲート…」 秀城は、その言葉を反芻した。それは、彼の科学知識には存在しない、魔法と科学が融合した究極の転移装置を連想させた。
アルカイアは、星図盤に魔力を込めながら説明を続けた。 「ワールド・ゲートは、ウーアの錬金術師たちが、この元素界とは異なる次元…元素の力がより純粋な形で存在する『精霊界』や、崩壊の力が渦巻く『魔界』と交信するために建造したものじゃ。ウーアの世界の崩壊の際、多くの危険な元素…特に不安定なアクチノイドの一部は、暴走したエネルギーによって、それらの異界へと弾き飛ばされたと言われておる」
「バークリウムやカリホルニウムが、その異界にあると…?」
「可能性は高い。そして、アルケミスもまた、その事実に気づいておるはずじゃ。奴は、我々よりも先にゲートを起動させ、異界の元素を手に入れようとするじゃろう」 アルカイアは、星図盤に浮かび上がった一つの座標を指差した。 「ゲートは、ここにある。大陸の最東端、『時空の歪み(タイム・ディストーション)』と呼ばれる、古代の魔力嵐が吹き荒れる危険地帯の奥深くに」
「時空の歪み…」 船乗りのガリオが、顔をしかめた。「魔の海域よりも厄介な場所だぜ。あそこは、海流だけじゃなく、時間と空間そのものが安定しねぇ。過去の幻影や、未来の亡霊が出ると言われている…」
「だからこそ、ガリオさんの力が必要なんです」 秀城はガリオに向き直った。「あなたのガリウムの精密な感知能力と、俺とアメリ様の時空安定化フィールドがあれば、その歪みを乗り越えられるはずです」
ガリオは、秀城の賢者の剣と、アメリの巫女としての力を見て、ニヤリと笑った。 「面白くなってきた。この世の地獄は、レムリアだけで十分だと思ったが、どうやら次元の地獄にも付き合うことになりそうだな。いいだろう、ガリオン・ハート号の出番だ」
ジンク、オクシア、ナトリも、もちろん同行を申し出た。 「異界だろうが魔界だろうが、メンデレが行くところに俺たちも行く!」 「アルケミスの好きにはさせないわ」 「私も、賢者の石の完成を見届けたいです!」
「うむ。では、行くがよい」 アルゴンは、秀城たちに守護者本部が持つ最大限の支援…最新の魔道具、ポーション、そして情報…を与えた。「セレンとプラチナは、引き続き地下都市の防衛と、アルケミスの動向監視を続ける。君たちの健闘を祈る」
五人の仲間と一人の船乗り。秀城のパーティーは、賢者の石の魔法陣を完成させるため、そしてアルケミスの野望を阻止するため、禁断の異界への扉「ワールド・ゲート」を目指し、再びアクアポートから出航した。
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