エピローグ: 巫女の試練と迫る影
アメリ・カレントの問いかけは、秀城の心の奥底に深く響いた。プロトアクチニウムを習得したとはいえ、アクチノイド元素の持つ根源的な破壊力と、それに伴う精神的な負荷は計り知れない。アルカイアの警告、ウーアの世界の崩壊の歴史…それらが脳裏をよぎる。
「…正直に言えば、怖いです」
秀城は、率直な気持ちを口にした。
「俺がその力に飲み込まれ、アルケミスと同じ道を辿ってしまうのではないかと。でも…」
秀城は、隣に立つジンク、オクシア、そして遠く地下都市で待つナトリやプラチナたちの顔を思い浮かべた。
「俺には、守りたい人たちがいる。この世界がある。アルケミスの崩壊を止めるためには、俺がそのリスクを背負うしかない。俺の調和の力は、そのためにあると信じています。俺は、破滅ではなく、未来を創るために、この力を使います」
秀城の瞳には、恐怖を乗り越えた、揺るぎない覚悟の光が宿っていた。
アメリは、その答えを聞き、静かに微笑んだ。
「…合格です、調和の帝王。あなたの覚悟、しかと受け止めました。では、私と共に来てください。アメリシウムの真の力を授けましょう」
アメリは、秀城を神殿のさらに奥、アメリシウムの巨大な結晶が祀られている聖域へと導いた。
一方、その頃。 地下都市「エレメンタ・アサイラム」では、セレンとプラチナが、元素図書館の深淵の区画で、依然としてプルトニウムの波動の抑制を続けていた。しかし、その波動は、日増しに強くなっていた。
「アルケミスの力が、増している…?」
セレンは眉をひそめた。
「奴は一体どこで、何を…?」
そして、地上世界で情報収集を続けていたジンクたちの元にも、不穏な情報が入り始めていた。元素狩りの残党が、各地で奇妙な鉱石を集めているという噂。その鉱石は、強い放射性を帯びているという…。
アルケミスは、まだ死んではいなかった。そして、彼は、秀城がアメリシウムの力を手に入れるよりも早く、次なる崩壊の準備を着々と進めていたのだ。
世界の運命を賭けた、時間との戦いが始まろうとしていた。
第11巻「深淵への探求」をお読みいただき、ありがとうございます。本巻では、アルケミスの脅威に対抗すべく、秀城が元素図書館の最深部「深淵の区画」へと足を踏み入れ、禁断のアクチノイド元素の知識に触れました。そして、プルトニウムの暴走を止める鍵となるアメリシウムの力を求め、「忘れられた谷」へと向かい、最後のアメリシウム使いである巫女アメリ・カレントと出会いました。物語は、超ウラン元素という新たな領域に入り、秀城の科学知識と魔法の力がさらに深く結びついていきます。また、アルケミスが完全に消滅したわけではないことが示唆され、次なる戦いへの緊張感が高まります。
【第11巻終了時点での習得済み元素(全64種)】
習得元素数は64個のまま変動ありませんが、アクチノイド元素と超重元素に関する知識を得ました。周期元素名
(元素記号)
第1~5周期第6巻あとがき記載の57元素
第6周期 (ランタノイド含む)ランタン (La) ~ サマリウム (Sm), ホルミウム (Ho), ツリウム (Tm), イッテルビウム (Yb), テルビウム (Tb), タングステン (W), 白金 (Pt), 金 (Au)第7周期 (アクチノイド)プロトアクチニウム (Pa)その他セシウム (Cs), バリウム (Ba)(合計64元素。次巻でアメリシウムを習得予定。)
【重要登場人物】
メンデレ・秀城: 主人公。元素錬金術師。Lv.17、習得元素64個。アクチノイド元素の危険性を理解しつつも、アメリシウムの力を求める。称号【調和の帝王】。
アルカイア: 元素図書館の管理者。秀城にアクチノイドの危険性を警告しつつ、試練を与える。
アメリ・カレント: 「忘れられた谷」に住む、最後のアメリシウム使いの巫女。秀城の覚悟を試し、力を授けることを決意する。
ジンク・エレクトロ, オクシア・ブリーズ, ナトリ・エルフレア: 秀城の仲間。地上での情報収集と、忘れられた谷への同行を通じて秀城を支える。
セレン・ルミナス, プラチナ・ノーブル: 守護者の幹部。地下都市でプルトニウムの波動抑制と、アルケミスの動向調査を行う。
アルケミス・ダーク: 元素狩りのリーダー。消滅したと思われていたが、活動を再開。プルトニウム以上の力を準備している可能性。
【重要語句】
深淵の区画: 元素図書館の最深部。アクチノイド元素や超重元素の情報が封印されている。
アクチノイド元素: ウラン以降の放射性元素群。プルトニウム、プロトアクチニウム、アメリシウムなどが含まれる。
超重元素: 周期表の第8周期以降に存在するとされる未知の元素。アルケミスの「究極の元素」との関連が疑われる。
ウーアの世界の崩壊: 古代、アクチノイド元素の暴走によって引き起こされたとされる大災害。
忘れられた谷: 古代の結界に守られた秘境。アメリシウム使いの一族が隠遁している。
アメリシウム (Am): アクチノイド元素の一つ。比較的安定しており、「持続」「制御」の力を持つ。プルトニウム中和の鍵とされる。
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