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元素の旅人 「理系社畜、異世界で元素魔法の賢者になる」周期表はチートじゃない。俺の「化学知識」が世界を救う法則だ  作者: 花咲かおる
第11巻「深淵への探求」

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第5章: 谷の民とアメリシウムの巫女

忘れられた谷は、外界の荒涼とした山岳地帯とは別世界のように、緑豊かな自然に満ち溢れていた。清らかな川が流れ、色とりどりの花が咲き乱れ、空気は澄み切っていた。谷の中心部には、石と木で造られた素朴な集落があり、そこには穏やかな表情をした人々が暮らしていた。

しかし、谷の人々は、秀城たち外部の人間に対して、強い警戒心を抱いていた。彼らは、谷の入り口で秀城たちを出迎え、武器を構えて問い詰めてきた。

「何者だ!なぜ古代の結界を破り、この聖なる谷へ足を踏み入れた!」

谷の長老らしき、威厳のある老人が厳しい声で言った。

「我々は、元素の守護者より遣わされた者です」

秀城は、武器を収め、丁寧に応対した。

「我々は、この谷に住むというアメリシウムの主を探しています。世界が、プルトニウムの力によって危機に瀕しているのです」

「プルトニウム…!あの禁断の力が、再び目覚めたというのか…」

長老の顔色が変わった。

「我らが祖先は、かつてその力の暴走をアメリシウムの力で封じた。しかし、その代償は大きかった…」

谷の人々は、数千年前のウーアの世界の崩壊を生き延び、プルトニウムの脅威から世界を守るために、この谷に隠れ住み、アメリシウムの力を代々受け継いできた「アメリ族」の末裔だったのだ。

「アメリシウムの力を持つ者は、今、この谷に一人しかおらぬ」

長老は、集落の中央にある、ひときわ大きな神殿のような建物を指差した。

「我らが巫女、アメリ・カレント。彼女が、最後のアメリシウム使いだ」

秀城たちは、長老に案内され、神殿へと向かった。神殿の内部は、青白いアメリシウムの結晶で飾られ、静謐な空気に満ちていた。

祭壇の前に、一人の若い女性が静かに座っていた。 長く美しい青銀色の髪、透き通るような白い肌、そして、全てを見透かすような深い青色の瞳。彼女が、アメリ・カレントだった。

「…お待ちしておりました、調和の帝王」

アメリは、秀城の称号を知っているかのように、静かに言った。彼女の声は、谷を流れる水のように清らかだった。

「あなたは…?」

秀城は驚いた。

「私はアメリ。この谷と、アメリシウムの力を守る巫女。そして、遠い未来に現れる、全ての元素を調和させる者の訪れを、代々待ち続けてきました」

アメリの瞳は、秀城の魂の奥底を見つめているようだった。

「アルケミスという者が、プルトニウムの力を解放し、世界を崩壊させようとしているのですね。そして、あなたは、その崩壊を止めるために、私のアメリシウムの力を求めている」

「はい。どうか、力を貸してください」

秀城は深く頭を下げた。

アメリは、静かに立ち上がった。

「力を貸すことはできます。しかし、その前に、あなたに問わなければなりません」

アメリの瞳が、強い光を放った。

「メンデレ秀城。あなたは、アクチノイドという禁断の力を手に入れ、それを制御する覚悟がありますか?その力は、世界を救うこともできれば、あなた自身を破滅させることもあります。あなたは、その重圧に耐えられますか?」

アメリシウムの力を得るための、最後の試練が、秀城に突きつけられた。

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