第2章: プルトニウムの共鳴とアメリシウムへの道
石板から放たれたプルトニウムの禍々しい波動は、深淵の区画全体に急速に広がった。封印されていた超ウラン元素の記録媒体が次々と共鳴し、不安定な魔力が暴走を始める。壁や棚が崩れ落ち、空間の歪みがさらに激しくなる。
「アルカイア様!このままでは、図書館の封印が破られます!」
プラチナが叫び、白金の盾を展開して崩落する天井から秀城たちを守った。
「落ち着け!」
アルカイアは杖を地面に突き立て、大地元素の力で図書館の構造を安定させようと試みる。
「この共鳴は、アルケミスが意図的に引き起こしたものだ。奴は、我々をここに足止めし、その間に別の場所で何かを企んでいるに違いない!」
秀城は、暴走するプルトニウムの波動を感じながら、必死に思考を巡らせた。
(アルケミスの狙いは何だ?俺をここに閉じ込めること?それとも、この図書館の知識を奪うことか…?)
「メンデレ!プルトニウムの波動を抑えることはできるか!?」
セレンが問いかける。
「やってみます!崩壊中和結界!」
秀城はプロトアクチニウムの力を解放し、石板のプルトニウム記号に向けて安定化の波動を送った。赤黒い光はわずかに弱まったが、完全に抑え込むことはできない。アルケミスの魔力が、遠隔から干渉し続けているのだ。
「ダメだ…!奴の魔力が強すぎる!このままでは、プロトアクチニウムの力だけでは押し切られる!」
その時、アルカイアが叫んだ。
「若者よ!プルトニウムの隣を見よ!アメリシウム(Am)の記号が、わずかに青白い光を放っているのが見えるか!?」
秀城は目を凝らした。確かに、プルトニウム(Pu)の隣、原子番号95のアメリシウム(Am)の記号が、プルトニウムの禍々しい光とは対照的に、静かで安定した青白い光を放っていた。
「アメリシウムは、アクチノイドの中でも比較的安定した同位体を持ち、その力は「持続」と「制御」にある」
アルカイアは続けた。
「古代の記録によれば、かつてアメリシウムの力を極めた一族が、プルトニウムの暴走を抑制する技術を持っていたという。その力があれば、アルケミスの共鳴を断ち切れるかもしれん!」
「アメリシウムの一族…!その末裔は、今どこに!?」
秀城は尋ねた。
「記録はここで途絶えている。だが、彼らが隠遁したとされる「忘れられた谷」の場所を示す、古い地図の断片がここにある」
アルカイアは、石板の下の隠し棚から、羊皮紙の巻物を取り出した。
「セレン、プラチナ!お前たちはここでアルカイアと共にプルトニウムの暴走を抑えよ!私は、この地図を頼りに、アメリシウムの主を探しに行く!」
「しかし、メンデレ!一人で行くのは危険すぎる!」
プラチナが反対した。
「大丈夫です。俺には、超光速発動がある。それに、ジンクさんたちが地上で集めている情報も役に立つはずだ。時間は無い。アルケミスが次の手を打つ前に、アメリシウムの力を見つけ出す!」
秀城の決意は固かった。セレンとプラチナは、彼の覚悟を認め、道を譲った。
「必ず戻ってこい、メンデレ。我々も、ここで持ちこたえる」
セレンは、秀城の肩を強く叩いた。
秀城は、アルカイアから受け取った地図の断片を握りしめ、歪む空間の中を駆け抜けた。彼の新たな目標は、プルトニウムの暴走を止める鍵、アメリシウムの力を求める旅だった。
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