第3章: 超光速対空間転移、決戦の火蓋
中央区画の一角、巨大な広場で、秀城たちはアルケミスと対峙した。アルケミスは、周囲の元素狩りの兵士たちを従え、不敵な笑みを浮かべていた。彼の魔力は、以前よりも更に強大になり、その周囲には常に空間の微細な歪みが生じていた。
「久しぶりだな、元素の宝箱よ。磁鉄山脈での逃亡劇、見事だったぞ。あのセシウムの限界突破には驚かされたが、お前の命と引き換えの技だ。二度は使えまい」
アルケミスは、秀城の修行の成果を既に把握しているかのように話した。
「アルケミス!お前の目的は何だ!?」
秀城が剣を構えながら問う。
「目的?簡単なことだ。お前の全元素習得の力を奪い、この世界の全ての元素の力を、私一人のものにする。そして、私だけの「理想の世界」を構築する。お前は、そのための最後の部品だ」
アルケミスは、秀城を部品のように扱う言葉を吐き捨てた。
「させるか!」
ジンクが雷の力を爆発させ、亜鉛-雷撃融合魔法を放った。しかし、アルケミスは動じない。
「無駄だ。お前たちの低レベルな融合魔法では、私の元素崩壊で全てが掻き消える」
アルケミスが手を一振りすると、黒い波動がジンクの雷撃を飲み込み、彼の魔力をも奪い取った。ジンクは膝をつく。
「ジンクさん!」
オクシアが駆け寄り、すぐにツリウムで強化された再生の光を放った。オクシアの魔法は、アルケミスの元素崩壊によって奪われた魔力を、通常の数倍の速度で回復させる。
「ほう?それが、ツリウムの力か。回復力は増したようだが、私には届かぬ」
アルケミスは、一瞬で秀城の目の前に空間転移した。彼の目的は、秀城を即座に仕留めることだった。
空間転移! アルケミスの拳が、秀城の顔面を襲う。
しかし、秀城は既に反応していた。
「超光速発動!」
イッテルビウムの力で、秀城の思考と魔力の流れが極限まで加速する。アルケミスが空間転移によって移動を完了し、次に動くまでのコンマ数秒の硬直時間。そのわずかな隙を、秀城の賢さが捉え、イッテルビウムの力が魔法の発動を押し上げる。
光の速度で放たれたのは、ツリウムとアルゴン、ネオンを融合させた波動変換結界だった。極めて防御力の高い、透明な光の膜が、アルケミスの拳と秀城の間に一瞬で展開される。
アルケミスの拳が結界に命中する。
ガキン!
乾いた衝撃音と共に、アルケミスの拳は結界に阻まれた。その拳が結界を突き破る前に、秀城は後方へ跳躍した。
「な…に…?」
アルケミスは、自身の拳をじっと見つめ、信じられないという表情を見せた。彼は、秀城の魔法を完全に読み違えていた。
「俺のイッテルビウムは、あんたの空間転移の後の硬直時間を狙える。あんたが空間を歪める速度と、俺が魔法を発動する速度。今や、俺の方が速い!」
「ふん。小癪な」
アルケミスは再び空間転移を試みた。しかし、秀城はそれを予測し、転移が完了する場所へ向けて、ホルミウムで収束させた原子崩壊レーザーを放った。
光速で放たれたレーザーは、アルケミスが転移を完了するその一点を正確に貫く。アルケミスは間一髪で空間転移をキャンセルし、元の場所に戻ったが、彼の左腕の袖が、レーザーの熱で焦げ付いていた。
「空間転移をキャンセルしただと!?メンデレ、お前は本当に…!」
アルケミスは、初めて焦りの色を見せた。彼の絶対的なアドバンテージだった空間転移が、完全に封じられたのだ。
「ジンク、オクシア!援護を!」
秀城は、一気に攻勢に出る。
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