第1章: 襲撃開始
轟音と共に、地下都市の北壁の一部が内側から爆発するように崩落した。粉塵が舞い上がる中から、黒いローブを纏った元素狩りの戦闘員たちが次々と姿を現す。その数、およそ百。彼らは巧みに内部に潜入し、防御壁を破壊したのだ。先遣隊だ。
「迎撃開始!」
守護者のリーダー、アルゴン・ノーブル の厳かな声が響き渡った。都市の防衛ラインに配置された元素使いたちが一斉に魔法を放つ。炎、氷、雷、風…色とりどりの元素魔法が、侵入してきた元素狩りの集団に襲いかかる。
「怯むな!進め!我らが目的はただ一つ!」
元素狩りの隊長らしき男が叫び、戦闘員たちは魔法の弾幕を巧みにかわしながら突進してくる。彼らもまた、習熟した元素魔法で応戦し、広場の入り口付近で激しい攻防が繰り広げられた。
「私たちも行きます!」
ナトリが杖を構え、広場に迫る敵に向かって「炎の矢」を連射する 。オレンジ色の矢が正確に敵を捉え、ローブを焦がす。
「「氷の槍」!」
オクシアも続き、鋭い氷の槍が敵の足を貫き、動きを封じた。
「「雷撃」!」
ジンクの放つ雷が敵集団の中心で炸裂し、数人を感電させ吹き飛ばした。
「「白金の光」!」
プラチナの杖から放たれる神聖な白金の光が、敵の放つ闇属性や毒属性の魔法を打ち消し、味方の戦士たちの士気を高める。白金は触媒効果だけでなく、浄化の力も持つ高貴な元素だ。
秀城は冷静に戦況を見極めていた。敵の数は多いが、連携が取れているとは言い難い。個々の戦闘員はレベル12から15と報告にあった通り 、手練れ揃いだが、組織的な動きというよりは個人の技量に頼った戦い方に見える。
(これは陽動か…?アルケミスはどこにいる? )
秀城はスキル「白金触媒」を発動させ、仲間たちの魔法の威力を1.3倍に増幅させる 。自身もチタン合金剣を抜き、敵の隙を突いて斬りかかる。レベル16になり、身体能力は格段に向上している 。チタン合金剣の軽さと、習得したニオブの「抵抗のなさ」 、バナジウムの「しなやかな強さ」 が合わさり、彼の剣技は以前とは比べ物にならないほど鋭く、速くなっていた。
「「水蒸気爆発」!」
敵が密集したところに、水素 、酸素 、ナトリウム の融合魔法を叩き込む。高温高圧の水蒸気が敵を包み込み、視界を奪い、混乱させる。
「素晴らしい連携ね!」
プラチナが秀城たちの見事なコンビネーションを見て感心したように言った。
先遣隊の勢いは徐々に衰え始めた。守護者たちの組織的な反撃と、秀城たちパーティーの活躍により、元素狩りは数を減らしていく。広場への侵入を許さず、防衛ラインで食い止めている。
だが、その時。 地下都市全体が、まるで時間が止まったかのように、不気味な静寂に包まれた。魔法の応酬が止み、戦士たちの動きが鈍る。重く、冷たいプレッシャーが広場全体を覆っていく。
「…来る」
秀城は直感した。悪夢で感じた 、あの邪悪な気配。
広場の中央、噴水があった場所の空間が、まるで黒いインクを垂らした水のように歪み始めた。渦を巻く闇の中心から、ゆっくりと一人の男が姿を現した。
漆黒の仮面。漆黒のローブ。その姿からは、底知れぬ魔力と悪意が溢れ出ている。 元素狩りのリーダー、アルケミス・ダーク 。
「待たせたな、メンデレ・秀城」
アルケミスの冷たく歪んだ声が、静まり返った広場に響き渡った。その声だけで、周囲の気温が数度下がったかのように感じられた。
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