第3章:毒と薬のハロゲン
三日目の朝、秀城は医療棟に呼ばれた。
地下都市の東側にある、白い建物。ここでは、負傷した元素使いの治療が行われている。
医療棟の中は清潔で、消毒液の匂いが漂っていた。
待合室で、三人の人物が待っていた。
「おはよう、メンデレ」
一人目は、若い少女。淡い黄緑色の髪に、鋭い目つき。年齢は十五歳くらいか。
「私はフルオ・トゥース。フッ素使いよ」
二人目は、中年の男性。茶色がかった髪に、錬金術師のようなローブ。
「ブロム・ヴェイパー。臭素使いだ」
三人目は、若い女性。紫色の髪に、優しい表情。白衣を着ている。
「アイオ・メディカ。ヨウ素使いで、医師をしています」
三人とも、ハロゲンの使い手。
「今日は、ハロゲン元素を教える」
アイオが説明した。
「フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン...ハロゲンは、毒性の強い元素です」
「塩素は、既に習得済みだな」
ブロムが確認した。
「はい」
「なら、残りの三つを教えよう。アスタチンは放射性で危険すぎるから、後回しだ」
「まず、フッ素から」
フルオが前に出た。
「フッ素は、最も反応性の高い元素よ。すべての元素と反応する」
フルオは小さなフラスコを見せた。中には、淡い黄緑色のガスが入っている。
「これがフッ素ガス。触れれば、火傷する。吸えば、死ぬ」
秀城は緊張した。
「でも、フッ素は歯を強くする。虫歯予防に使われるわ」
フルオは真剣な顔で言った。
「フッ素の本質は...最強の毒と、最良の薬」
「極端なの。フッ素は」
フルオは秀城を見た。
「あなたも、極端になれる?」
秀城は考えた。
「...なれると思います」
「なら、フッ素はあなたに合っているわ」
「でも、注意して。フッ素は危険。制御を間違えれば、自分も傷つく」
秀城は目を閉じた。
フッ素。最も反応性の高い元素。
「フッ素は攻撃的だ。すべてを侵す」
攻撃的。
秀城も、時には攻撃的になる必要がある。
「フッ素は選ばない。敵も味方も、すべてに反応する」
無差別。
秀城は、それを恐れる。でも、力は力だ。
「フッ素の声を...」
意識を集中する。
すると、鋭い感覚が生まれた。刃物のような、危険な感覚。
「聞こえる...」
侵したい、反応したい、破壊したい。でも、守りたい。
それは、秀城の願いだった。
「俺は...諸刃の剣だ」
その瞬間、秀城の体が淡い黄緑色の光に包まれた。
╔═══════════════════════════════════╗
║ 重要!元素習得! ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【フッ素(F)を習得しました!】 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 原子番号:9 ║
║ 元素記号:F ║
║ 分類:ハロゲン ║
║ 特性:最高反応性、強毒性、歯質強化 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 習得可能魔法: ║
║ ・フッ素腐食(コスト:35MP) ║
║ ・歯牙強化(コスト:25MP) ║
║ ・黄緑の毒霧(コスト:40MP) ║
║ ・全反応(コスト:55MP) ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ ステータス上昇! ║
║ 攻撃力:215→240(+25) ║
║ 魔力:305→330(+25) ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 警告!危険な元素! ║
║ 使用時は細心の注意を! ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 重要!融合魔法解放! ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【フッ化水素酸(最強の酸)】 ║
║ H+F (水素+フッ素) ║
║ コスト:45MP ║
║ 効果:ガラスすら溶かす超強酸 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【フッ化ナトリウム(虫歯予防)】 ║
║ Na+F (ナトリウム+フッ素) ║
║ コスト:30MP ║
║ 効果:歯質強化、防御力上昇 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【テフロン(フッ素樹脂)】 ║
║ C₂+F₄ (炭素x2+フッ素x4) ║
║ コスト:40MP ║
║ 効果:最強の非粘着性 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 経験値+150! ║
║ 経験値:1340→1490/2000 ║
╚═══════════════════════════════════╝
「二十八個目!」
「よくやったわ。フッ素は、制御が難しい元素。でも、あなたなら大丈夫そうね」
フルオが頷いた。
「次は、臭素だ」
ブロムが前に出た。
「臭素は、常温で液体の元素だ。赤褐色で、刺激臭がある」
ブロムは小さな瓶を見せた。中には、赤褐色の液体が入っている。
「臭素は、写真や医薬品に使われる。でも、毒性も強い」
ブロムは真剣な顔で言った。
「臭素の本質は...中間と、バランスだ」
「臭素は、フッ素と塩素の中間。ヨウ素とも違う。どっちつかずだが、それが特徴だ」
ブロムは秀城を見た。
「お前は、中間でいられるか?」
秀城は考えた。
「...難しいですが、バランスは大切だと思います」
「なら、臭素はお前に合っている」
秀城は目を閉じた。
臭素。赤褐色の液体。刺激臭。
「臭素は中間だ。極端にならない」
中間。
秀城も、バランスを取りたい。
「臭素は液体だ。固体でも気体でもない。流動的だ」
流動的。
秀城も、柔軟でありたい。
「臭素の声を...」
意識を集中する。
すると、揺らぎを感じた。液体のような、流れる感覚。
「聞こえる...」
流れたい、柔軟でありたい、バランスを取りたい。
それは、秀城の願いだった。
「俺は...流水だ」
その瞬間、秀城の体が赤褐色の光に包まれた。
╔═══════════════════════════════════╗
║ 重要!元素習得! ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【臭素(Br)を習得しました!】 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 原子番号:35 ║
║ 元素記号:Br ║
║ 分類:ハロゲン ║
║ 特性:常温液体、刺激臭、中間的性質 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 習得可能魔法: ║
║ ・臭素蒸気(コスト:28MP) ║
║ ・赤褐の波(コスト:30MP) ║
║ ・麻酔効果(コスト:25MP) ║
║ ・写真定着(コスト:20MP) ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ ステータス上昇! ║
║ 素早さ:180→195(+15) ║
║ 賢さ:200→220(+20) ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 重要!融合魔法解放! ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【臭化銀(写真感光材)】 ║
║ Ag+Br (銀+臭素) ║
║ コスト:28MP ║
║ 効果:光記録、瞬間記憶 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【臭化水素】 ║
║ H+Br (水素+臭素) ║
║ コスト:25MP ║
║ 効果:強酸 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 経験値+140! ║
║ 経験値:1490→1630/2000 ║
╚═══════════════════════════════════╝
「二十九個目!」
「最後は、ヨウ素です」
アイオが前に出た。
「ヨウ素は、紫黒色の固体です。昇華して、紫色の蒸気になります」
アイオは小さな結晶を見せた。確かに、紫黒色の美しい結晶。
「ヨウ素は、甲状腺ホルモンに必要です。生命に必須の元素」
「そして、消毒剤としても使われます。傷を治す元素です」
アイオは優しく微笑んだ。
「ヨウ素の本質は...癒しと、生命です」
「ハロゲンの中で、最も穏やかなの。毒性も低い」
アイオは秀城を見た。
「あなたは、癒したいですか?」
秀城は頷いた。
「...癒したいです。仲間の傷を、心を」
「なら、ヨウ素はあなたに合っています」
秀城は目を閉じた。
ヨウ素。紫黒色の固体。昇華する。
「ヨウ素は癒す。傷を、病を」
癒し。
秀城も、癒す力が欲しい。
「ヨウ素は必須だ。生命に、絶対に必要だ」
必須。
秀城も、誰かに必要とされたい。
「ヨウ素の声を...」
意識を集中する。
すると、温かい感覚が生まれた。包み込むような、優しい感覚。
「聞こえる...」
癒したい、必要とされたい、生命を支えたい。
それは、秀城の願いだった。
「俺は...癒し手だ」
その瞬間、秀城の体が紫色の光に包まれた。
╔═══════════════════════════════════╗
║ 重要!元素習得! ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【ヨウ素(I)を習得しました!】 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 原子番号:53 ║
║ 元素記号:I ║
║ 分類:ハロゲン ║
║ 特性:昇華性、生命必須、消毒性 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 習得可能魔法: ║
║ ・紫蒸気(コスト:22MP) ║
║ ・消毒(コスト:20MP) ║
║ ・甲状腺活性化(コスト:25MP) ║
║ ・ヨウ素ヒーリング(コスト:35MP) ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ ステータス上昇! ║
║ HP:900→980(+80) ║
║ MP:650→730(+80) ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 重要!融合魔法解放! ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【ヨウ化銀(人工降雨)】 ║
║ Ag+I (銀+ヨウ素) ║
║ コスト:30MP ║
║ 効果:雲生成、天候操作 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【ヨウ化カリウム(甲状腺保護)】 ║
║ K+I (カリウム+ヨウ素) ║
║ コスト:25MP ║
║ 効果:防護、解毒 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【ヨードホルム(消毒薬)】 ║
║ C+H+I₃ (炭素+水素+ヨウ素x3) ║
║ コスト:35MP ║
║ 効果:強力な消毒、治癒促進 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 達成!元素習得数30個突破! ║
║ 特別ボーナス! ║
║ 称号【元素の探求者】獲得! ║
║ 効果:全ステータス+5% ║
║ 経験値+400! ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 経験値:1630→2030/2000 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ レベルアップ! ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ レベル:12→13 ║
║ HP:980→1080(+100) ║
║ MP:730→850(+120) ║
║ 攻撃力:240→265(+25) ║
║ 防御力:336→370(+34) ║
║ 魔力:330→365(+35) ║
║ 素早さ:195→220(+25) ║
║ 賢さ:220→250(+30) ║
║ 運:60→67(+7) ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 次のレベルまで:2500経験値 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 新スキル習得! ║
║ 【元素の調和】 ║
║ 効果:3種類以上の元素を同時使用時║
║ 消費MP-15% ║
╚═══════════════════════════════════╝
「三十個目!そして、レベル13!」
三人の教師が拍手した。
「おめでとうございます!」
アイオが祝福した。
「三十個...四分の一を超えましたね」
「すごいペースだ」
ブロムが感心した。
「このままいけば、本当に全元素習得できるかもしれないわね」
フルオが言った。
秀城は自分のステータスを確認した。
╔═══════════════════════════╗
║ ステータス ║
╠═══════════════════════════╣
║ 名前:メンデレ・秀城 ║
║ レベル:13 ║
║ 職業:元素錬金術師 ║
╠═══════════════════════════╣
║ HP:1134(1080x1.05) ║
║ MP:893(850x1.05) ║
║ 攻撃力:278(265x1.05) ║
║ 防御力:463(370x1.05x1.2)║
║ 魔力:383(365x1.05) ║
║ 素早さ:231(220x1.05) ║
║ 賢さ:263(250x1.05) ║
║ 運:70(67x1.05) ║
╠═══════════════════════════╣
║ 習得元素:30/118 ║
║ 習得融合魔法:95種類 ║
╠═══════════════════════════╣
║ 称号: ║
║ ・反応の王 ║
║ ・大地の王 ║
║ ・元素の探求者 ║
╠═══════════════════════════╣
║ 経験値:30/2500 ║
╚═══════════════════════════╝
「HP1134、防御力463...かなり強くなった」
「そして、融合魔法が95種類。もうすぐ100だ」
秀城は満足していた。
「明日は、希ガスを習得する予定だ」
ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン。
不活性ガスたち。
「楽しみだ」
その夜、秀城は仲間たちと夕食を取っていた。
「三十個突破、おめでとうございます!」
ナトリが乾杯した。
「ありがとう」
「このペースなら、本当に一年以内に全部習得できますね」
オクシアが計算した。
「残り88個。一日3個ペースなら、約一ヶ月」
「さすがに、そこまで速くは無理だろう」
ジンクが笑った。
「希少元素は、習得が難しいはずだ」
「でも、可能性はある」
秀城は真剣に言った。
「やれるだけやる」
その時、警報が鳴り響いた。
「警報!?」
「襲撃だ!元素狩りの大規模襲撃!」
衛兵の叫び声が聞こえた。
四人は急いで外に出た。
地下都市の入口で、戦闘が始まっていた。
黒いローブの男たち。数は...百人以上!?
「多い!」
「しかも、強い!全員レベル13以上だ!」
セレンが指揮を取っていた。
「守護者たち、迎撃せよ!メンデレを守れ!」
「俺も戦います!」
秀城は剣を抜いた。
「ダメだ!お前は狙われている!」
セレンが制止しようとしたが、その時——
「メンデレ・秀城!」
アルケミスの声が響いた。
黒い仮面の男が、空中に浮いていた。
「ついに見つけた。お前の隠れ家を」
「アルケミス...!」
「今日こそ、お前の力を奪う」
アルケミスは手をかざした。
「【究極融合魔法・元素崩壊】!」
黒い光が放たれた。
それは、地下都市全体を包み込んだ。
「まずい!これは...!」
アルゴンが叫んだ。
「元素を無効化する魔法だ!」
次の瞬間、すべての元素使いの魔法が使えなくなった。
「魔法が...使えない!?」
「くそっ!」
守護者たちが混乱した。
「ははは!これが、元素崩壊だ!」
アルケミスが笑った。
「一時間、お前たちは魔法が使えない。その間に、メンデレを捕らえる」
元素狩りの部下たちが、秀城に向かって突進してきた。
「メンデレさん!」
ナトリたちも魔法が使えない。
「くそっ...!」
秀城は剣で応戦した。
だが、多勢に無勢。
徐々に追い詰められていく。
その時——
「させるか!」
一人の少女が、秀城の前に立ちはだかった。
見たことのない少女。銀色の髪に、銀色の瞳。
そして、彼女だけが、魔法を使えていた。
「【白金の光】!」
白い光が敵を吹き飛ばした。
「なぜ、お前だけ魔法が使える!?」
アルケミスが驚愕した。
「私は、プラチナ・ノーブル。白金使いよ」
少女は誇らしげに言った。
「白金は、貴金属の王。元素崩壊にも耐性がある」
「くっ...!」
「メンデレ、私についてきて!逃げるわよ!」
プラチナは秀城の手を掴んだ。
「でも、みんなは...!」
「大丈夫!一時間経てば、魔法は戻る!今は、あなたを守るのが最優先!」
プラチナは秀城を連れて、地下都市の奥へと走った。
「待て!」
アルケミスが追ってくる。
「こっち!」
プラチナは秘密の通路を進んだ。
複雑な迷路のような通路。
十分ほど走って、ようやく追手を撒いた。
「はあ、はあ...助かりました」
秀城は息を切らしていた。
「お礼はいいわ。それより、あなたを安全な場所に隠さないと」
プラチナは秀城を、さらに奥の部屋に案内した。
小さな部屋で、魔法の結界が張られている。
「ここなら、見つからない。一時間、ここで待機して」
「分かりました。ありがとうございます」
「礼には及ばないわ。私たち守護者は、あなたを守る義務がある」
プラチナは微笑んだ。
「それに、あなたと会いたかったの。転移者で、全元素習得能力を持つ人」
「...なぜ?」
「私も、色んな元素を習得したいから。でも、私は白金しか使えない」
プラチナは寂しそうに言った。
「だから、羨ましいの。あなたが」
秀城は複雑な気持ちになった。
「...俺も、最初は何も使えませんでした」
「でも、今は三十個も」
「それは、たくさんの人が教えてくれたからです」
秀城は真剣に言った。
「一人じゃ、何もできなかった」
「...そうね」
プラチナは微笑んだ。
「あなた、いい人ね」
一時間後、魔法が戻った。
守護者たちが、元素狩りを撃退した。
アルケミスは、またも逃げた。
だが、秀城は無事だった。
その夜、秀城はプラチナに礼を言った。
「本当に、ありがとうございました」
「どういたしまして」
プラチナは笑った。
「これから、よろしくね。メンデレ」
「よろしく、プラチナ」
新しい仲間が、増えた。
感想等お待ちしています。




