第3章:メタルシティの陰謀
すみません。3章を投稿し忘れていました。
六日目の夕方、四人はメタルシティに到着した。
巨大な都市だった。人口は十万人を超えるという。
城壁は鉄とコンクリートでできていて、高さは二十メートル以上。門には衛兵が十人以上配置されている。
「すごい...今まで見た中で一番大きい街だ」
秀城は圧倒された。
「メタルシティは、この国最大の工業都市だ。金属加工、魔導具製造、武器生産...全てがここで行われる」
ジンクが説明した。
「だから、色んな金属元素使いが集まってる。チタン、クロム、ニッケル、マンガン...」
「全部習得したいな」
「欲張りだな」
ジンクは笑った。
「でも、可能だろう。お前の習得速度なら」
街に入ると、騒音と活気が押し寄せてきた。
工場の機械音、商人の呼び声、馬車の車輪の音。すべてが混ざり合っている。
通りは広く、両側には大きな建物が立ち並んでいる。工場、倉庫、店舗、それから高層の住居。
「まず、ギルドに行きましょう」
メタルシティのギルドは、鉄骨で作られた五階建ての建物だった。
中に入ると、数百人の冒険者が集まっていた。
「多い...」
「大都市だからな」
カウンターには、十人以上の受付スタッフがいた。
秀城たちは空いているカウンターに向かった。
「いらっしゃいませ」
若い女性が笑顔で迎えた。
「エレメンタから来た冒険者です。推薦状を」
秀城は推薦状を渡した。
女性は確認すると、驚いた顔をした。
「転移者!?本当ですか!?」
「ええ...」
「すごい!ギルドマスターに報告します!少々お待ちください!」
女性は奥に駆けていった。
しばらくして、一人の男性が現れた。
年齢は五十歳くらい。白髪混じりの短髪に、厳格な顔つき。鉄灰色の瞳をしていて、重厚な鎧を着ている。
「私がこのギルドのマスター、タイタン・ストロングだ」
低く、力強い声。
「メンデレ・秀城です」
「転移者か。歓迎する」
タイタンは秀城をじっと見た。
「全元素習得能力...興味深いな」
「ありがとうございます」
「早速だが、元素狩りのことは聞いているか?」
「はい。先日、襲われました」
「やはりな」
タイタンは真剣な顔になった。
「この街でも、元素狩りの目撃情報が増えている。彼らは何かを企んでいる」
「何を企んでいるんでしょうか?」
「分からない。だが、危険なのは確かだ」
タイタンは地図を広げた。
「君たちは、この街で何日滞在する予定だ?」
「金属元素を習得したいので、一週間くらいは」
「なら、ギルドの宿舎を使え。無料だ。そして、外出時は必ず仲間と一緒に行動しろ」
「分かりました」
「それと、これを持っていけ」
タイタンは小さな金属のプレートを渡した。
「緊急通信プレートだ。危険を感じたら、魔力を込めろ。すぐにギルドの精鋭部隊が駆けつける」
「ありがとうございます」
「君は重要な人物だ。この街にいる間は、我々が守る」
ギルドの宿舎は、清潔で快適だった。
四人部屋で、ベッドが四つ、テーブルと椅子もある。
「いい部屋ですね」
ナトリが嬉しそうに言った。
「ギルドマスター、親切だったな」
「でも、警戒してるんだよ」
ジンクが言った。
「元素狩りが、この街でも活動してるってことは、大きな計画があるってことだ」
「大きな計画...」
秀城は不安になった。
「とりあえず、今日は休もう。明日から、元素使いを探す」
翌朝、四人はギルドの掲示板で情報を集めた。
「チタン使いは...タイタニア・ハード。女性、三十二歳、ランクA」
「クロム使いは...クローム・シャイン。男性、二十七歳、ランクB」
「ニッケル使いは...ニコル・マグネット。女性、二十四歳、ランクB」
「マンガン使いは...マンガ・スチール。男性、三十五歳、ランクA」
「たくさんいますね!」
「全員に会いたいけど、一日に何人会えるかな...」
「まず、一人ずつ行こう」
四人は、まずチタン使いのタイタニアを訪ねることにした。
情報によると、彼女は大手の武器製造会社に勤めているという。
『タイタンアームズ社』という大きな建物。
受付で名前を告げると、すぐにタイタニアが降りてきた。
背の高い女性で、短い黒髪に鋭い目つき。筋肉質な体つきで、戦士のような雰囲気。
「転移者?珍しい」
タイタニアは秀城を値踏みするように見た。
「チタンを習得したい、と?」
「はい」
「なら、条件がある」
「また条件ですか...」
「私の会社で、新しい武器の試験をしてほしい」
タイタニアは奥の部屋に案内した。
そこには、様々な武器が並んでいた。剣、槍、斧、弓...全てチタン合金で作られている。
「これらは、新型のチタン武器だ。軽くて強い。だが、実戦でのデータがない」
タイタニアは一本の剣を取った。
「これを使って、ダンジョンで戦闘をしてきてくれ。そのデータを提供してくれれば、チタンを教える」
「分かりました」
秀城は剣を受け取った。
軽い。驚くほど軽い。まるで木の棒のような重さ。
╔═══════════════════════════╗
║ アイテム入手! ║
║ チタン合金剣(試作品) ║
║ 攻撃力:+25 ║
║ 重量:超軽量 ║
║ 耐久度:高 ║
║ 特殊効果:素早さ+15 ║
╠═══════════════════════════╣
║ 装備変更! ║
║ 武器:鉄剣→チタン合金剣 ║
║ 攻撃力:100→125(+25) ║
║ 素早さ:88→103(+15) ║
╚═══════════════════════════╝
「すごい...こんなに軽いのに、攻撃力が高い」
「それがチタンだ。密度は鉄の半分、強度は鉄以上」
タイタニアは誇らしげに言った。
「じゃあ、行ってこい。おすすめは『鋼鉄の迷宮』だ。レベル11から13の魔物がいる」
「分かりました」
『鋼鉄の迷宮』は、街の地下に広がるダンジョンだった。
かつての鉱山を改造したもので、金属属性の魔物が多く生息している。
四人はダンジョンに入った。
通路は鉄の壁で覆われていて、松明で照らされている。
「気をつけて。金属魔物は防御力が高い」
ジンクが警告した。
十分ほど進むと、魔物が現れた。
鉄でできた犬。アイアンハウンドだ。
╔═══════════════════════════╗
║ アイアンハウンド ║
╠═══════════════════════════╣
║ レベル:11 ║
║ HP:280/280 ║
║ 攻撃力:55 ║
║ 防御力:60 ║
╠═══════════════════════════╣
║ 弱点:酸属性、雷属性 ║
║ 耐性:物理、火属性 ║
╚═══════════════════════════╝
「防御力60...物理攻撃は効きにくい!」
「なら、酸で!【硫酸】!」
秀城は硫酸魔法を放った。
犬の体が溶けていく。
弱点を突いた!防御力無視!錬金術師ボーナス!
アイアンハウンドに320のダメージ!
アイアンハウンドを倒した!
「一撃!」
「でも、チタン剣のデータを取らないと」
次の魔物は、剣で戦った。
鉄のゴーレム。三匹。
秀城はチタン剣を振った。
軽い!驚くほど速く振れる。
「【アルミブレード】!」
剣にアルミニウム魔法を込めた。さらに軽くなり、速度が上がる。
「はっ!」
剣がゴーレムの首を切断した。
クリティカルヒット!
アイアンゴーレムに180のダメージ!
アイアンゴーレムを倒した!
「すごい!普通の剣より全然速い!」
残りの二匹も、素早い連撃で倒した。
「チタン剣、いいですね!」
ナトリが褒めた。
「ああ。これなら、高速戦闘ができる」
ダンジョンを進み、様々な魔物と戦った。
すべてのデータを記録し、二時間後、ダンジョンを出た。
╔═══════════════════════════╗
║ ダンジョン攻略! ║
║ 経験値:400を獲得! ║
║ お金:300リアを獲得! ║
╠═══════════════════════════╣
║ 経験値:380→780/1500 ║
║ 所持金:2844→3144リア ║
╚═══════════════════════════╝
タイタンアームズ社に戻ると、タイタニアが待っていた。
「どうだった?」
「素晴らしいです。軽くて速くて、強い」
秀城はデータをまとめた紙を渡した。
「ありがとう。これは貴重なデータだ」
タイタニアは満足そうに頷いた。
「約束通り、チタンを教えよう」
タイタニアは工房に秀城を案内した。
「チタンの元素は...軽さと、強靭さだ」
タイタニアはチタンの塊を見せた。
「チタンは、鉄より軽く、鋼より強い。矛盾してるようだが、それが真実だ」
「軽さと強靭さ...」
「そして、チタンは錆びない。海水にも、酸にも、ほとんど侵されない」
タイタニアは真剣な顔で言った。
「チタンの本質は...不屈だ」
「不屈?」
「どんな環境でも、どんな攻撃でも、耐え抜く。それがチタンだ」
タイタニアは秀城を見た。
「お前は、困難に負けないか?」
秀城は考えた。
元の世界での挫折。失敗。絶望。
でも、諦めなかった。この世界で、再び立ち上がった。
「...負けません」
「なら、チタンはお前に合っている」
「チタンの声を聞け」
秀城は目を閉じた。
チタン。銀白色の金属。軽くて強い金属。
「チタンは諦めない。どんなに叩かれても、折れない」
諦めない。
秀城も、諦めなかった。何度失敗しても、また挑戦した。
「チタンは輝く。錆びることなく、永遠に」
輝く。
秀城も、輝きたい。自分の価値を証明したい。
「チタンの声を...」
意識を集中する。
すると、強い意志を感じた。揺るぎない、固い意志。
「聞こえる...」
負けたくない、折れたくない、輝き続けたい。
それは、秀城の願いだった。
「俺は...不屈の戦士だ」
その瞬間、秀城の体が銀色の光に包まれた。
╔═══════════════════════════════════╗
║ 重要!元素習得! ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【チタン(Ti)を習得しました!】 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 原子番号:22 ║
║ 元素記号:Ti ║
║ 分類:遷移金属 ║
║ 特性:高強度、軽量性、耐食性 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 習得可能魔法: ║
║ ・チタンシールド(コスト:25MP) ║
║ ・チタンブレード(コスト:22MP) ║
║ ・軽量化強化(コスト:20MP) ║
║ ・不屈の意志(コスト:35MP) ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ ステータス上昇! ║
║ 防御力:132→145(+13) ║
║ 素早さ:103→115(+12) ║
║ HP:510→550(+40) ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 重要!融合魔法解放! ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【チタン合金】 ║
║ Ti+Al+V ║
║ (チタン+アルミ+バナジウム) ║
║ コスト:40MP ║
║ 効果:最強の軽量合金 ║
║ ※バナジウム(V)習得後に完全解放║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【酸化チタン(チタニアホワイト)】 ║
║ Ti+O₂ (チタン+酸素x2) ║
║ コスト:25MP ║
║ 効果:白色顔料、光触媒 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 【チタンカーバイド】 ║
║ Ti+C (チタン+炭素) ║
║ コスト:30MP ║
║ 効果:超硬質、研磨剤 ║
╠═══════════════════════════════════╣
║ 経験値+120! ║
║ 経験値:780→900/1500 ║
╚═══════════════════════════════════╝
「十五個目!」
「おめでとう」
タイタニアが拍手した。
「これで、お前も不屈の戦士だ」
「ありがとうございました!」
「チタン剣は、お前にやる。使いこなせ」
「本当ですか!?」
「試作品だが、お前に合ってる。これからも使ってくれ」
その日の夜、ギルドの宿舎で四人は今後の予定を話し合った。
「次は、クロム、ニッケル、マンガンですね」
「ああ。でも、一日一人ずつとして、三日はかかる」
「じゃあ、今週中には全部習得できますね」
その時、窓の外で何かが動いた。
「...誰かいる」
ジンクが窓に近づいた。
窓の外に、黒いローブを着た人影が見えた。
「元素狩り!?」
窓が割られた。ガラスの破片が飛び散る。
黒いローブの男が、部屋に侵入してきた。
「メンデレ・秀城、観念しろ」
男は仮面を被っている。青い仮面。
「お前だけだ。仲間には手を出さない。大人しく来い」
「断る!」
秀城は剣を抜いた。
「なら、力ずくだ!」
男が魔法を放った。氷の槍が四人に向かって飛んでくる。
「【チタンシールド】!」
秀城は新しく習得した魔法を使った。銀色の盾が現れ、氷の槍を防いだ。
「新しい魔法...!やはり、成長が早い!」
男はさらに攻撃を繰り出してきた。
だが、その時、ドアが蹴破られた。
「ギルドの精鋭部隊だ!侵入者を確保する!」
十人の戦士が部屋に入ってきた。
「くっ、邪魔が...!」
男は煙幕を張って逃げようとした。
「逃がすか!【雷撃】!」
ジンクが雷魔法を放った。雷が男に直撃した。
「ぐあっ!」
男は倒れた。
精鋭部隊が男を拘束した。
「大丈夫か!?」
タイタンが部屋に入ってきた。
「はい、何とか...」
「すまない。警備をすり抜けられた」
タイタンは男の仮面を外した。
若い男だった。年齢は二十代前半。
「元素狩りだな。尋問する」
男は何も言わなかったが、その目には恐怖があった。
「話せ。元素狩りの目的は何だ?」
「...言えない」
「なぜだ?」
「言えば...殺される...」
男は震えていた。
「組織に...逆らえば...」
「組織?リーダーは誰だ?」
「...知らない。誰も、リーダーの顔を見たことがない」
男は絶望的な顔をした。
「ただ、命令に従うだけだ...元素使いを捕らえろ、と...」
「捕らえて、どうする?」
「...力を奪う。元素の力を、組織に献上する」
「なぜだ?何のために?」
「知らない...本当に知らない...」
男は泣き出した。
「俺も、元素使いだった...でも、力を奪われて...今は、組織の駒だ...」
秀城は息を呑んだ。
元素狩りのメンバーは、元元素使いなのか。
「酷い...」
「元素狩り...許せない組織だな」
タイタンは男を衛兵に引き渡した。
「君たち、今夜はここにいるな。明日、もっと安全な場所に移る」
「分かりました」
その夜、秀城は眠れなかった。
元素狩り。
彼らは、何を企んでいるのか。
そして、自分は本当に狙われ続けるのか。
「...戦うしかない」
秀城は決意した。
元素狩りが来るなら、戦う。
仲間を守るために。
自分の力を守るために。
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