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元素の旅人 「理系社畜、異世界で元素魔法の賢者になる」周期表はチートじゃない。俺の「化学知識」が世界を救う法則だ  作者: 花咲かおる
第18巻「二つの賢者の石」

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プロローグ: 汚染された帰還

魔界アビス・プレーンの歪んだ時空を抜け、秀城たちが元素界に戻ってきた時、彼らを迎えたのは絶望的な光景だった。かつて青く澄み渡っていた空は、アルケミスの『崩壊の賢者の石』が放つ自動汚染システムによって、赤黒い瘴気に覆われていた。大地は活力を失い、植物は枯れ、空気中にはウランやプルトニウムが崩壊する際に発する、微弱だが致死的な放射性魔力が満ちていた。

ガリオン・ハート号がアクアポートの港に着岸すると、街の惨状がより鮮明に目に入った。港湾施設は半壊し、人々はギルドや頑丈な建物に身を寄せ合い、怯えていた。街を巡回する守護者たちも、アメリが開発したアメリシウムの防護服を纏っていなければ、活動もままならない状況だった。

「ひどい…これが、アルケミスの…」 ナトリが、変わり果てた街並みに言葉を失う。

「メンデレ様、空を…」 アメリが、空の一点を指差した。

秀城たち全員が空を見上げた。瘴気に覆われた雲のさらに上空、成層圏に達しようかという高みに、巨大な『黒い太陽』が浮かんでいた。それは、物理的な天体ではない。アルケミスの『崩壊の賢者の石』が、世界中から汚染された元素エネルギーを吸収し、凝縮させている巨大な魔力の集合体だった。

「あれが…アルケミスの『崩壊の賢者の石』の本体…!」 秀城は、レベル21に到達した『元素の調停者』の力で、あの黒い太陽が、元素界全体の元素バランスを狂わせる汚染源となっていることを直感した。

「ガリオさん、感謝します。ここまで送ってくれて」 秀城は、船を降りながらガリオに深く頭を下げた。「アクアポートのギルドと連携し、船の守りを。俺たちは地下都市に戻り、最後の作戦を開始します」

「おうよ。だが、無茶はするなよ、メンデレ」 ガリオは、賢者のエレメント・カリバーを握る秀城の姿に、信頼の眼差しを送った。

秀城、ジンク、オクシア、ナトリ、アメリの五人は、汚染された大地を駆け、地下都市「エレメンタ・アサイラム」へと急いだ。彼らの周囲では、汚染の影響で凶暴化した魔物たちが次々と襲いかかってきたが、レベル20を超え、魔界での死闘を乗り越えた彼らの敵ではなかった。

「【亜鉛・超電磁砲レールガン】!」 ジンクの放つ金属杭が、汚染されたグリフォンを音速で撃ち抜く。

「【酸素・絶対零度】!」 オクシアの冷気が、変異したワイバーンの群れを瞬時に凍結させる。

彼らの成長は、秀城だけでなく、仲間たちにも及んでいた。アメリのアメリシウムの力は、彼らの元素の力を安定化させ、そのポテンシャルを最大限に引き出していた。

地下都市に到着すると、そこは既に最終決戦の様相を呈していた。アルゴン、セレン、プラチナ、アルカイアが、巨大な作戦会議室で秀城たちを待っていた。

「戻ったか、メンデレ君!」 アルゴンが、秀城の無事と、その身に宿すアインスタイニウム(Es)の気配、そしてレベル21への到達に目を見張った。 「君が魔界にいる間に、アルケミスはついに『崩壊の賢者の石』を完成させ、元素界の汚染を最終段階に進め始めた。あそこに浮かぶ『黒い太陽』…あれが、世界の元素エネルギーを吸収し、全てを『無』に帰すための崩壊炉だ」

アルカイアが、震える手で古代の文献を指差した。 「ウーアの世界の崩壊の記録にある…『終末の劫火』そのものじゃ。あの黒い太陽が臨界点に達すれば、プルトニウムの崩壊エネルギーが世界中に拡散し、この星は死の星となる。残された時間は、もはや三日とないじゃろう」

世界の終わりへのカウントダウンが始まっていた。秀城は、自らが完成させた【賢者の石(調和)】の力を解放する時が来たことを悟った。

「アルゴン様。作戦を開始します」 秀城は、揺るぎない決意の瞳で言った。「俺が、あの黒い太陽の直下へ行き、【世界浄化ワールド・ピュリファイ】を発動させます。俺の『調和の賢者の石』の力で、アルケミスの『崩壊の賢者の石』を中和・浄化する」

セレンが、険しい表情で地図を指した。 「黒い太陽の直下…そこは、かつて我々がアルケミスの仮設ゲートを発見した『氷結の荒野』だ。だが、今は汚染エネルギーが最も集中する、魔界以上の危険地帯となっている。そして…」

セレンは、新たな偵察情報をモニターに映し出した。 「アルケミス本人が、そこにいる。奴は、黒い太陽が臨界点に達するのを、自ら見届けるつもりだ」

秀城の最後の戦い。それは、世界を浄化する魔法の発動と、その最大の妨害者であるアルケミスとの、二つの賢者の石を賭けた最終決戦を、同時に行うことを意味していた。

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