第4章: 魔界(アビス・プレーン)と崩壊の法則
次元のトンネルを抜けた秀城たち五人が降り立った場所は、まさに地獄と呼ぶにふさわしい世界だった。
そこは、『魔界』。 空は存在せず、赤黒い雷が絶えず空間を走り、大地はマグマのように煮えたぎる『負のエネルギー』の海だった。空気は硫黄と崩壊した元素の瘴気に満ちており、アメリの広域元素安定化フィールドがなければ、一瞬で肉体を侵食されるほどの過酷な環境だった。
「ここが…魔界…」 ナトリが、そのあまりの光景に言葉を失う。
「秀城様、気をつけてください。この世界は、私たちの元素界とは物理法則が異なります」 アメリが、アメリシウムの杖で周囲の波動を探りながら警告した。「ここでは、『崩壊』こそが『安定』であり、『調和』は『異常』として扱われます。私たちの魔法は、この世界そのものから拒絶され、威力が大幅に減衰しています」
アメリの言う通り、秀城は自身の魔力が急速に消耗していくのを感じていた。この世界に存在するだけで、全元素の調和を維持するために莫大なエネルギーが必要だった。
「アルケミスは…どこだ…?」 ジンクが周囲を警戒する。
「…あそこだ」 秀城が、イッテルビウムの超感覚で、遥か彼方を指差した。
魔界の地平線、その遥か先に、巨大な黒い塔がそびえ立っていた。それは、アルケミスが、彼自身の『崩壊の賢者の石』の力で、魔界の崩壊エネルギーを吸収し、凝縮させて作り上げた、崩壊の要塞だった。
「あの塔の中心に、アルケミスがいる。そして、彼が求める最後の元素…アインスタイニウム(Es)も、恐らくあそこに!」
秀城たちは、煮えたぎる負のエネルギーの海を、秀城の錬金術で生成したオリハルコン・プライム(ゲートキーパーの記憶から再現)の足場を使い、塔へと向かって進み始めた。
道中、魔界の原住生物…崩壊した元素の怨念が実体化した、おぞましい魔物たち…が襲いかかってきた。
「こいつら、魔法が効きにくい!」 オクシアの氷の槍が、魔物の体に当たっても、すぐに再生してしまう。
「この世界の法則に則った攻撃でなければ!」 秀城は、即座に思考を切り替えた。 「【元素核干渉・強制不安定化】!」 『元素の調停者』としての新スキルを発動。魔物の核となっている元素の結合を、逆に不安定化させる。魔物は、自身の世界の法則によって安定していたが、秀城の調和の力によってそのバランスを崩され、内部から自壊した。
「なるほど…この世界では、俺たちの『調和』こそが、最大の『武器』になるんだ!」 秀城は、この世界の法則を逆手に取る戦い方を見出した。
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