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【完結】みんなの安全を守ってきた「神の代行者」、パーティを追い出されたから、自分の安全を優先します。【台本形式】  作者: サアロフィア
第10章 神の代行者から神への昇格

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99 黒幕は姉さんたちですが、サトスと賭けをします

今は、2023年

あとで、ミサキ姉さんから聞かされた話では、次の新しいループでは、

【アリム】が、カセイダード王国チータマルム支国の女王の王配になった年だそうだ。


でも、今回のループでは、かなりの大惨事が起こっていた。



◇


それから、1年後くらいに、怒気をまとったイウラさんを連れて、ミサキ姉さんが、ボクの部屋に乗り込んできた。


「ギアム、あなたの責任も少しはあるんだから、協力してもらうわよ」

とイウラさんが迫力を持って、迫って来た。


「それでも、責任度合いは、ルウナが80%でしょう。

どちらかというと、こちらはギアムに無理難題をお願いする立場でしょうに。

そんな言い方は良くないわ」


とミサキ姉さんに諭されて、イウラさんは気を鎮めて落ち着いてくれた。

こんな風に冷静に怒っている人、いいや女神様をさとすことが多いから、ミサキ姉さんは無表情になったんだろうか?などと考えていると...


イウラさんがすがるような、泣きそうな目で、ボクを見つめてきた。


「ギアムさん、お願いがあるの」


さん付けで呼ばれるなんて、嫌な予感がする...


イウラさんは話を続けてきた。


「ルウナが神力破産しました。わたしたちが神力を貸してしまうと、ルウナは甘えて反省しないので、ギアムさんを経由して、ルウナに貸し付けることにしたいの。それでね」


イウラさんは途中で話すことをやめて、ミサキ姉さんの顔を見た。

代って、姉さんが話を引き継いだ。


「ギアム、良く聞いてね。ギアムが悪者になって、ルウナに神力を貸し付けて欲しいの。もちろん、原資は、イウラが80%、わたしが20%を出します。ギアムの神力負担はゼロです。その代わり、精神的な負担が120%くらい持ってほしいの」


ボクは意味が分からなかった。


「えーっと、ボクはなにをすれば良いのですか?」


イウラさんとミサキ姉さんは顔を見合わせて、相手に押し付けようとしていた。

そして、イウラさんが、指を1本立てて、ミサキ姉さんに見せていた。

人差し指だから、1という意味だろう。1回なのか1万バーシルなのか分からないけれど。

ミサキ姉さんが、指を2本立てていた。ブイサインだろうか?

それを見たイウラさんは悲しそうな顔をしていたが、同じようにブイサインを返したら、姉さんが首を縦に振ってから、ボクに話しかけてきた。

よく分からないが、なにかの取り引きが成立したようだ。


「ギアム、時代劇やドラマでよくあるでしょう? 美しい女性が借金の型に連れて行かれたり、夜の営みを要求されて、『身体で返してもらうぜ!』という鉄板のアレよ!」


嫌な予感がするが気付きたくなかった。


「話が見えないのですが? ボクになにをしろと?」


ミサキ姉さんが作り笑いをしてきた。嫌な予感が確信に変わった。


「『俺が神力を貸して、サトスの加護レベル8の6人に転生の機会または復活の試練を与えてやる! もしも、過半数の4人以上が自殺せずに天寿を全うしたら、サトスの勝ちだ。

しかし、試練を受けなかったら、その6人は自殺扱いになるぞ! 投資した神力が無に帰すぞ! この賭けを受けるか? もし、負けたときは、俺の愛人になってもらうぞ!』って、サトスに迫って欲しいのよ」


ボクは意味が分からなかった。


「サトスと出会ったときは、【異世界アイデア】と【性魔力】を考えた女神ということで、敬意と好意を持っていました。しかし、話しかけても、露骨に嫌な顔をするし、返事もしないで逃げていく。そして、いきなり話しかけてきて、ボクの対応が悪いと怒り出すし、ボクはもうサトスと関わりたくないよ。だって、ボクのことが嫌いなんだろうから、さすがのボクもサトスのことが嫌いになったよ」


それを聞いたイウラさんが謝罪してきた。


「ごめんなさい、それは、わたしの指導不足だわ。でも、言い訳を聞いて欲しいの。

サトスの前世は男性だったの。そして、男性からは意味不明の嫌われ方をして、男性不信になったの。女神になってからは女性になったのだけれど、今度は、女性に性欲をぶつけてくる男性を多く見て、ますます男性不信になったの。

だから、ギアムが男性というだけで嫌ってくる。

でも、ミサキとわたしがギアムのことを気にかけているから、ギアムには過度の期待をして甘えてしまう。そして、ギアムの本命がみやびさんだと知って、嫉妬の感情も持ってしまった。その結果、ギアムに対しては、男性不振と男性に甘えたい気持ちと嫉妬が、ごちゃまぜになった感情をぶつけてしまう。そして、男性に好かれた経験が無いから、すぐに返事をしてもらえないと冷たく扱われたと怒ってしまうの」


「それは、ボクには関係ないし、ボクの落ち度ではないですよね」


「おっしゃる通りです。ごめんなさい」


イウラさんは平謝りしていた。姉さんがふたたび、ボクにお願いしてきた。


「ギアムが嫌がることは正当な理由があると分かっているわ。でも、ここは、イウラと私の顔を立てるということで、助けてくれないかしら?」


ボクは心底嫌だと思った。みやびと再会したときに、どう言い訳したらいいんだ。

いや、言い訳さえ聞いてもらえずに、「さよならさ」とみやびに嫌われてしまう。

それだけは絶対に嫌だ!


ボクは、気を引き締めて、おどされても引かない覚悟で、断ることに決めた。


「お断りします!」


「ミエル? 姉さんの頼みが聞けないの!」


「お引き受けします」


「ミエル、大好きよ!」


みやび、ゆるしてください。ボクは、姉さんには勝てない。



◇


ボクは、姉さんたちから状況を聞かされた。


サトスは、自分の後継者の女神となれる可能性がある【ナーム】という完璧な女性を見守っていたそうだ。しかし、


「わたしは、女神さまにはなりたくない。ただ、【サーク】とこうしていたい」


サークという美少年を後ろから抱きしめながら、断られたそうだ。

神の座をほかのひとに譲るなんて、なにを考えているんだ?


ああ、そうか、神力ちょうだいのコーナーが精神的負担になって、精神が崩壊する前に代替わりをしたいのかもしれない。【正性知識2000】を、【正性知識200】にグレードダウンしたら、サトスひとり分の神力でも維持できるんじゃないか?

それじゃあ、いやなのか?


イウラさんが話を続けた。

「そして、ナームさんとサークさんには、3人の美しい娘が生まれました。」


ボクのことは呼び捨てなのに、さん付けで呼ぶんだ。

いや、逆か、イウラさんは身内に対しては、呼び捨てにする主義だった。

姉さんのことは、ミサキと呼び捨てにしているな。

ああ、ボクは、いつのまにか、イウラさんの身内に入れてもらえたということか。

じゃあ、気を悪くしないでおこう。


イウラさんの話は続く。


「長女の【ティーナ】さんには、ギアムの天祥の【サシム】が恋人になりました。

次女の【ティルル】さんには、【エメラル】という男性が現れる予定。

三女の【スピルリーナ】さんには、ルウナがレベル8の加護を与えた【アリム】が恋人になりました。


ルウナは、この軍事機密コード【NTTS】と呼ばれる家族全員にレベル8の加護を与えました。つまり、【ナーム】さん、【サーク】さん、【ティーナ】さん、【ティルル】さん、【スピルリーナ】さん、【アリム】の6人にレベル8の加護を与えました」


「えっ? 6人もですか? ボクは、レベル5の加護を与えるだけでも神力確保で苦労しているのに? サトスはすごいですね」


イウラさんは苦笑いしていた。


「はは、わたしは止めたんだけど、ルウナが言うことを聞かなくて...」


ミサキ姉さんの顔を見ると、両手のひらを外側に垂らしたヤレヤレというポーズをしていた。


「イウラさんも危険だと思ったんですよね。それって、株取引でナンピンして、全額を投資するようなものですよね。株価が下がったら、どうするつもりでしょうね?」


イウラさんは、さらに苦笑いしていた。


「ギアムの心配した通り、その6人は全滅しました」


「はあ? 全滅ですか?」


「まず、あなたの【天祥】である【サシム】がね、【ティーナ】さんに膝枕をしてもらいながら、こう言ったの。


『俺は今まで、ティーナのことをナームの代用品だと思っていたけれど、ティーナはナームより良い女だと思っている。こうやって、ティーナと過ごす時間が一番価値があると思っている。これからも、俺が帰る場所になってくれ、ティーナ』


『...』


『ティーナ?』


『代用品ですって? そんなにナームが良ければ、ナームと過ごす夢を見ていればいい。ティーナ正性知識 Sixteen Hundored』


『俺の言い方が不味かったな。ティーナに殺されるなら、良い死に方かもな』


サシムは息絶えた。


外から帰って来たナームがティーナの部屋に行くと、ティーナは泣きながら、ナームをにらんできた。


『母さんに似なければ良かった。そうすれば、リーナのようにアリムに愛されて、幸せになれたのに』


『ティーナ』


ナームが見ている前で、ティーナは自分の長い髪を切り落とした。そして、顔に両手を当てて、ナームに似た大きく美しい目を平凡な目に変えてしまった」


ボクは、この会話を分析して考えた。


「ティーナさんは、【キーワード反応型】ですか? 欠陥を作ることで、合計点を下げて、特定の能力を上げる能力設計ですよね。


【代用品】というキーワードを聞いたあとの話は届いていませんね」


イウラさんは首を縦に振った。


「その通りよ。そして、リーナとアリムの場合わね、どちらも待つタイプだったことが災いしたの。


最初、アリムはティーナさんを選んだのだけれど、ルウナがナームさんを通して、その選択を止めてしまった。


ティーナさんとアリム、リーナさんとサシムの組み合わせだったら、この悲劇は起こらなかったかもしれない」


この後も長い話が続いたが、アリムが可哀そうになってきたので、省略したほうが良さそうだ。



◇


という話を思い出していた俺だった。


今は、サトスとの賭けが終わった。


俺の【天祥】であるサシムは、「転生後はティーナの前には現れない」と決めていた。

ティーナが【キーワード反応型】で【代用品】というキーワードがNGだったと説明して励ました。しかし、愛する相手が聞きたくない言葉を言ってしまったことを強く恥じていた。そして、俺の影響下には留まってくれたが、【天祥】は辞退されてしまった。



サトスがレベル8の加護を与えたNTTSの6人のうち、サトス信仰を生涯に渡って続けた魂は、サーク、ナームさん、アリムの3名だけだった。つまり、過半数には届かなかった。


俺との賭けに負けたサトスに対して、俺は勝利宣言をしなければならなかった。

頼りにしていたイウラさんとミサキ姉さんに見捨てられたと考えたサトスは絶望していた。


「それでは、俺の言いなりになってもらうからな、サトス・ルウナ。

覚悟はいいか?」


「はい、ギアム様。わたしを好きにしてください」


「いい返事だ」


俺は、顔を地面に向けて、元気なく座って震えるサトスを見て、困っていた。

『悪役って、むずかしいな。どう演技すればいいんだ?』


涙を流しながら、サトスは言った。


「ひと思いにしてください。言う通りにしますから」


「...」


そのとき、バンと大きな音を立てて、ドアが勢いよく開けられた。


「ミエル、そこまでにするさ」


つづく

お読みいただき、ありがとうございます。 作者のサアロフィアです。


読者の皆様に、【大切なお願い】があります。


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