98 ギアムの本願と神力集め
「それでは、次に、ギアムの神として活動するべきことについて説明します」
ミサキ姉さんからの神教育は始まったばかりだ。
「ギアムの【本願】は、
『義理と正義のある世の中を作りたい!!
人間たちが住む世界を布地に例えるなら、義理と正義を刺繍して編み込みたい』
でしたね」
「はい、そうです」
「人間界に居るニュートラルの魂から、その条件に合う魂を探してください。
その魂の中から1つだけを選んで、ギアムの分身である【天祥】にしてください。
すぐには探せませんから、10年、20年の期間を描ける必要があるでしょう」
ボクの部屋にも、人間界を見ることができる設備があったので、該当する魂を探すことになった。
「では、姉さんからの神の授業が終わったら、探し始めます」
「神の授業は、かなりの年月が掛かります。だから、毎日5分で良いので探し始めてくださいね」
「はい、そうします」
「まあ、一気には説明できませんので、少しずつですね。
次は、【神力集め】です。毎日、少しずつ増えていく分だけでは足りません。
だから、あなたと同じ考え方の魂を見つけることで、神力が増える量が大きくなります」
「じゃあ、がんばって探さないといけませんね」
「ただし、神からの影響度が5/8以上の魂については、所有する神がいるので、手出しはできません。この画面のニュートラルゾーンの魂は、すべての神が勧誘できます。
王真加勢陀の管轄範囲ですので、勧誘する前には、彼に断ってくださいね」
「手数料とか、仲介料とかが必要ですか?」
「いいえ、ちがいます。ニュートラルの魂とは言えども、1/8から4/8までの影響度で、神の誰かの影響下にあります。あなたの影響下にある魂でないときは、彼と相談してください」
「彼に相談すると良いことがあるのですか?」
「あなたが希望する魂の条件に近い魂があるときは、商談を持ちかけてくれます。
そのときは、紹介料を請求されますが、自分で探すよりも良い結果につながることが多いです。ですが、もし、あなたが彼に相談しないときは、あなたの好みが分からないという口実の元、あなたが探し求める魂を知っていても、紹介してくれなくなります」
「彼のメンツとご機嫌を損ねないようにします」
「それが良いでしょう。彼は善でも悪でもありません。その代わりに、すべての神と同じ距離を保っています」
「味方でもなければ、敵でもない感じですか?」
「まあ、その理解で良いでしょう。わたしも理解しきれていないので、何とも言えません」
◇
1992年 (サトスが女神になって、300年後)
(ギアムが男神になって、140年後)
年月の流れは早いもので、ボクがギアムという神を名乗るようになってから、140年が過ぎていた。
みやびの【従属神】としての神力チャージは終わっていない。
「お金と神力って、稼ぐことがむずかしいな。
これなら、冒険者として、ダンジョンに行ってモンスターを倒していた頃の方が稼ぎやすい。それから、職業紹介の店を、みやび、アラン、アリスとしていたときは、経営状態が良かったなあ」
こうやって、昔を懐かしんでいても仕方ないのは分かっている。
どうやら、ボクは神としての適性は低いのかもしれない。
ミサキ姉さんに相談したときは、
「神力チャージは1人前の神様で100年かかるという意味なので、2倍くらい掛かっても問題無い」
と言われてしまった。
みやびと再会できる日は遠そうだ。
みやびに会いたい。
「ミエルのことが大好きさ」
という声を思い出すことが多くなった。
イウラさんとミサキ姉さんがプレゼントしてくれたみやびとの思い出の写真を壁に貼って、みやびの顔をわすれないようにしている。それくらい、ボクにとって、140年という年月は長かった。
◇
ある日、王真加勢陀からボクの【天祥】となりうる魂を紹介してもらった。ボクの希望条件にかなり近い。ミサキ姉さんに相談したら、
「【天祥】が、がんばってくれたら、あなたの神力も増えるわ。
急がば回れよ!
彼が紹介する魂よりも良い魂を探す時間と労力を考えれば、良心的な紹介料よ。
人間の世界の人材紹介所や結婚相談所に見習わせたいくらい、彼の紹介は確かだわ」
と言われた。
「どれだけひどいんだ? 人間の世界の人材紹介所や結婚相談所は?」
と聞いたら、
「金を返せ! 時間を返せ! この世から失せろ! 偽善者の詐欺師が!」
と、怒りを笑顔でかくしていたので、とても怖かった。
「天の神様の言う通り! ミサキ姉さんの言う通り!
だから、王真加勢陀に紹介料を払うことにします」
「それが賢明よ!」
ボクが手に入れた魂の名前は、【サシム】という。
男の人タイプの屈強な長身男性だった。
金髪ショートのぼさぼさ頭というか、風が無いのに、風でなびいているようなヒーロー演出効果がある髪が印象的だった。
気は優しくて、力持ち。
かなり社交的で、誰にでも話しかけることができる男らしい男性だった。
みやびには、ぜったいに紹介したくない。ボクがみやびなら、ボクよりも【サシム】を選ぶだろう。
とにかく、彼にはボクの【天祥】になってもらった。
意中の女性に堂々と話しかけて、情熱的に迫るくせに、受けるかどうかの判断を女性にゆだねて無理強いせずに返事を待つ紳士的なところが気に入った。
しばらくすると、彼は遠く離れた星に隠れ住む家族の長女である【ティーナ】という美しい金色の長髪と高身長でスラリとして、顔立ちが整っていて、大きい胸とくびれたウエスト、大きいお尻、細くて長い美しい腕、適度なふくらみのふとももの長い脚をした美しい女性と恋仲になっていた。
【ティーナ】は、物静かで穏やかな女性で、大きな木の下の木陰で、【サシム】を自分の膝枕の上で寝転がせて、愛の語らいをしていた。
これで、みやびを【サシム】に取られなくて済むと安心した。
それと同時に、うらやましくなるので、見守ることをやめた。
彼がボクの【天祥】として、がんばってくれているおかげで、ボクの神力も増えてきた。みやびへの神力チャージが進んで、なにもかも上手く進んでいるように思えた。
ボクは、影響度 5/8以上の魂、加護レベル5の魂も増えてきて、神様としての熟練度も上がって来たと、喜びにあふれていた。
それから、1年後くらいに、怒気をまとったイウラさんを連れて、ミサキ姉さんが、ボクの部屋に乗り込んできた。
つづく
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