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【完結】みんなの安全を守ってきた「神の代行者」、パーティを追い出されたから、自分の安全を優先します。【台本形式】  作者: サアロフィア
第10章 神の代行者から神への昇格

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97 天祥と従属神の条件

シクペリア様に神として認定されたミエルは、【16方位第7神 欲求に忠実な神 ギアム】としての神活動を始めようとしていた。


ミサキ姉さんからの冷たい視線は、5分間ほど続いた。

『早速、2つ名について、後悔したくなってきた』


ボクが姉さんの反応を待っていると、姉さんは大きく息を吐いた。

「はあ。できることからやりましょう。

まずは、みやびさんとマーサさんの魂を回収しましょう。

ミエル、いいえ、ギアム。左手のひらを上に向けてください」


「こうですか?」


姉さんに言われた通りにすると、みやびの魂がボクの手のひらに載せられた。


「ギアムの従属神にするために神力をチャージしてもらいます。

とは言え、しばらくは無理だから、1ずつ気長にチャージしてください。

他の神から神力を注がれた場合、その神の従属神にされてしまうので、みやびさんの魂は、他の神様から見えないように隠してくださいね」


「はい、分かりました」


ボクは、手のひらにあるみやびの魂を見つめて、みやびとの再会が1日でも早くなるように願った。


「では、次に、みやびさんの副人格であるマーサさんの魂を回収しましょう。」


ミサキ姉さんの左手のひらに、マーサさんの魂が載せられた。次の瞬間には、魂が輝いた。魂の明るさをボリューム調整できるとしたら、50%くらいだろうか?


「すごいよ! 姉さんの神力は、ボクとは桁違いだ」


姉さんにとっては、当然のことなのか、無反応だった。


「私の【天祥】が決まり次第、神力をチャージするつもりで貯めた159年分の神力よ。

これで、シクペリア様の【天祥】が転生するときと同じ年に、わたしの【天祥】を生まれさせることができるわ」


ミサキ姉さんは、満足そうに微笑んでいた。



◇


ボクは眠ったようにしか見えないみやびの顔を眺めていた。


『みやびを1日でも早く目覚めさせたい』


「ミエル、いいえ、ギアム。みやびさんとのお別れは済みましたか?」


「お別れって? みやびの遺体を火葬するのですか?」


「いいえ、ここは神の世界です。だから、イウラに回収してもらいます」


「回収とは?」


「見た方が早いわ。イウラを呼んで来るので、ここで待っててね」


姉さんは、少しだけ微笑んでくれた。

10分ほどすると、金髪ショートの美しい女神がミサキ姉さんといっしょにやってきた。


姉さんは、ボクを紹介してくれた。


「こちらに居る神は、本日というか、ほんの少し前、神に登録された

【16方位第7神 欲求に忠実な神 ギアム】

です。

わたしの前世で、わたしの弟でした」


金髪ショートの美しい女神は、一瞬、汚いものを見るような目を俺に向けた後で、ミサキ姉さんの弟だから仕方ないという感じで、あいさつをしてくれた。


「わたしは、【16方位第2神 愛と美の女神 イウラ・ノータです。

ギアムさんとは、仲良くなれないと思うわ。

ねえ、ミサキ、どうして、こんな2つ名を名乗っているの?

どうして、止めなかったの?」


姉さんは無表情だったが、ボクを見る視線が痛かった。


「わたしは、止めたのよ。

『でも、みやびさん以外の女性に好かれる必要がない!』

からと、強い意志を示されたの」


イウラさんという女神は、ボクにバカを見るような目を向けてきた気がした。


「はあ、バカなの? 賢くて聡明なミサキの弟なのに、バカなの?

女性神から、無駄に警戒されて、話しかけても逃げられるわ」


『ちがった。ボクのことを間違いなくバカだと思っていることが分かった』


「あのとき、イウラを呼べばよかったわね。身内の私ではなく、初対面の神から言われたら、間違いだったと気付いたでしょうに」


「まあ、後悔、先に立たずね」


「本人は、『後悔しない!』と言っていたわ」


『「いいえ、いま、ボクは後悔しています。申し訳ございませんでした」

と言えば、ミサキ姉さんにお説教されるだけなので、無言をつらぬこう。

まさか、女性神に、口さえ聞いてもらえないとは思わなかった。』



◇


姉さんから、みやびの遺体を回収して、キープして欲しいと頼まれたイウラさんは、みやびの顔をのぞき込んで見た後で、左手をみやびの頭のてっぺんから、つま先まで、手をかざした。すると、みやびの身体は、出会ったとき、つまり、21歳の若々しく美しい姿に戻った。


ボクが感動して、みやびの顔を見ていると、イウラさんがボクに話しかけた。

下衆を見るような目をしながら言ってきた。


「欲求に忠実な神 ギアムだったわね。回収する前に、みやびさんと【愛情交換】しておきますか? 次に会えるのは、従属神にするとしても、早くて100年後よ。それまで、我慢できないでしょ」


ボクは、首を横に振った。


「いいえ、【愛情交換】はみやびが目覚めたときまで待ちます。

最後に、お別れのキスをする時間をいただけますか?」


「どうぞ」


「ありがとうございます」


ボクはみやびとの最後のキスをした。

「今まで、ありがとう。また会える日を願って、約束手形として、キスをもらったよ」


キスをしたあとで、温かい視線を感じた。

イウラさんからの視線だった。


「ギアムは、いい意味で名前負けしているわ」


おなかを抱えて笑うイウラさんだったが、なぜか嫌な気がしなかった。


『これなら、ルウナと話くらいさせてあげても良さそうね』


このときから、イウラさんは、ミサキ姉さんの次に頼りになる女神仲間になった。



◇


ボクは、【天祥】と【従属神】の違いについて、姉さんに質問した。

みやびと再会する日を1日でも早くするために、有利な方を選びたかったからだ。


ミサキ姉さんは、たんたんと無表情で説明してくれた。

前世では感情が豊かだった気がするが、女神としての仕事が大変だから無表情になってしまったのかもしれない。


「【天祥】とは、神の世界から人間の世界に神様の最大加護を与えて、送り出す魂のことです。神と同じ容姿を与えて、見守りたい魂1つだけを選びます」


「と言うことは、一緒に暮らすことは?」


「できません」


「それでは、ボクにとっては意味が無いです」


「それだけではありません。

ミエル、いいえ、ギアムは男性です。みやびさんは女性です。

みやびさんを男性に変えたくないでしょう?」


「そうですね。例外はありますか?」


「そうねえ、シクペリア様の【天祥】の紅姫は、女性だけれど...」


「おお、それなら、みやびを女性のまま、ボクの【天祥】にすることができるのですか?」


「いいえ、紅姫は、もともとシクペリア様の【天祥】にするために創造された魂なので、参考にはなりません。


それと、容姿の問題があります。

イウラは、【天祥】の黄花と容姿も性別も同じです。これが、通常の【天祥】関係です。

サトスは、通常とは逆に、青紫の容姿を自分の容姿にしました。そして、性別は両方とも女性です。


これらの事例に対して、ギアムが望む形で、みやびさんを復活させるとき、容姿も性別も違うことになるので、【天祥】の条件である、容姿と性別の一致が満たせなくなります。


まとめると、ギアムとみやびの場合は、性別がちがう。容姿がちがう。性格もちがう。

もし、みやびを天祥にしてしまったら、みやびとしての人格も容姿もギアムで上書きされて別人になってしまう。」


「とすると、みやびには、【従属神】になってもらう方が良さそうですね」


「そうですね。【天祥】に魂をチャージするときは、1人前の神の神力を300年掛けて注ぎます。【従属神】の場合は、100年くらい完了できます」


「じゃあ、【従属神】の方が良いですね。でも、どうして、そんなに掛かるのですか?」


「たとえ話で説明するとですね。ケガをして血が流れ出るのは一瞬ですが、輸血するときは血管が破裂しないように少しずつ入れます。これと同じようなものと思ってください」


「では、なぜ、注ぎ込む神力が少なくできるのですか?」


「現世に送り出した【天祥】には再び神力を注ぐ機会が持てないからです。

それに対して【従属神】とは、いっしょにいたり、何回も会うことになるので、神力を少しずつ継ぎ足すことができるからです」


「一生分の神力を先払いするか? それとも、毎日、少しずつ神力を渡すか?

その違いですか?」


「その通りです。というわけで、みやびさんは」


「【従属神】になってもらう方が良いですね」


「納得してくれたので、ミエル、いいえ、ギアムは、みやびさんに神力を注ぎ始めてください。方法を教えますね。あなたの手を持ちながら、神力を注ぐ手伝いをします。神力の流れを感じてください」


「はい、お願いします」


ボクは、みやびを【従属神】として、復活させるために、毎日、神力を注ぐことになった。


つづく


お読みいただき、ありがとうございます。 作者のサアロフィアです。


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