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【完結】みんなの安全を守ってきた「神の代行者」、パーティを追い出されたから、自分の安全を優先します。【台本形式】  作者: サアロフィア
第10章 神の代行者から神への昇格

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92 シクペリア様とチータマルム星の歴史

16方位第4神 未来知見の女神 ミサキの部屋では、ミサキが16方位第1神 神々の創造者 シクペリア様に会うために身だしなみを整えていた。

鏡の前で心配事でやつれた表情を整え、髪をとかして、できる限り、最上の見栄えを取り戻して、ほっとした。

「シクペリア様には、私の最も美しい姿を見てもらいたいわ。そのための労力は心身が疲れている今でさえも変わらない」


ドアをノックする音が聞こえた。

ミサキは急いで、ドアに駆け寄った。

「はい、どなたですか?」

「わたしだ、シクペリアだ。ミサキ、今は大丈夫か?」


シクペリア様の予想外の訪問に振動が止まりそうだった。

前髪を左右に手でといて、少しでも美しく見せようとした。

そして、ミサキは呼吸を整えて、声も整えて、返事をした。

「ええ、大丈夫です。今、開けます」


ドアを開けると、笑顔のシクペリア様がいた。

「ミサキ、聞いてくれ。すばらしい城が出来た。あとはイウラたちの選抜が終われば、すぐにでも人間たちを移住させることが出来る状態だ」

「それは、おめでとうございます」

ミサキは笑顔で答えたが、頭の中では別のことを考えていた。

『いい気なものね。わたしの気苦労を分かっていない』


シクペリア様はミサキが隠した内心を気付けなかった。

「約束の日まで日数があるからな。イウラの所に行けば、急かしに来たと思われてしまう。だから、ミサキの所に来たんだ。いろいろと話を聞いてくれると嬉しい」

「ええ、もちろんですわ。シクペリア様」

ミサキは笑顔で答えたが、頭の中では別のことを考えていた。

『普段なら、嬉しい話だけれど、今は、そんな話を聞くこころの余裕がないわ。

そうだわ。ルウナに相手してもらいましょう』

「それでは、奥にどうぞ。シクペリア様。イウラとルウナも来ていますわ」

「ん? ガールズトークの邪魔になりそうだな。帰った方が良さそうだな」

シクペリア様が帰ろうとしたので、ミサキは腕に抱きついて、引き留めた。

「せっかく来てくださったのに、帰らないで!」

ミサキが目を潤ませて言うと、しプぺリア様は安心した様子だった。

「じゃあ、お邪魔します」


シクペリア様は、イウラとルウナに優しく微笑んでいた。

「もちろん、約束の期日より前だということは理解している。だから、安心してくれ。私の方の宿題である城と城下町の準備が出来て、気持ちに余裕が出来たから、城の出来栄えの話をしたくなったんだ。」

ミサキは笑顔で答えたが、頭の中では別のことを考えていた。

『ええ、そうですか。わたしたちには余裕が有りませんけどね』

「お疲れ様でした。シクペリア様。私たち3人にお話しくださいますか?

わたしだけで聞いたら、あとで、イウラに嫉妬されてしまいますわ」


イウラも笑顔で答えたが、乗り気には見えなかった。

『そういう話は、ミサキだけで聞いても構わないけれどね』


イウラがミサキの視線を感じると意味深な笑顔のミサキが居た。

『わたしが気乗りしないことは、イウラも気乗りしないようね』


ただ一人、目を輝かせているのが、ルウナだった。

「わあ、どんなお城か楽しみです。もちろん、バリアも張れますよね」

シクペリア様は誇らしそうに答えた。

「もちろんだとも、ミサイルも発射できるぞ」

「完璧ですね」

「まあな、絶対必要事項だろう」


ミサキとイウラはルウナが居て良かったと思っていた。



◇


シクペリア様が無邪気な子供のようにひと通り語り終わった後で、大人モードの凛々しい表情に変わった。

「イウラ、ミサキ、そして、もちろん、ルウナにも聞きたいのだが、チータマルム星にある光元国の様子は、どうだ?

ルウナが人間だった150年前とほとんど同じ状態か?」


イウラは良い機会だと思った。今回は前回と違って、シクペリア様に聞く余裕がありそうだからだ。人だけでなく神も、ひとつの課題を終わらせた後は、気持ちに余裕があるのかもしれない。

イウラがミサキを見つめたが、ミサキは無表情のままだった。

伝わっていないと感じたイウラは強い目でそのことを訴えた。

『チャンスよ、ミサキ。今なら、シクペリア様に話が通じるわ』

『はっ、確かに、今の御様子なら、子どもモードではなく、大人モードだわ』


イウラは、シクペリア様に説明を始めた。

「では、前半の様子は私から光元国の歴史をお伝えします。

そして、後半の様子をミサキに説明してもらいます。

それで良いわね。ミサキ」

「ええ、良くってよ、イウラ」


イウラとミサキがうなずき合っていた。



◇


しばらくして、イウラがシクペリア様に説明を始めた。

「光元国は、神様の愛の光が降り注ぐ聖なる場所。

だから、光元国に住む人たちは、和の心を尊び、他者とも分かり合える、分かち合えると信じて、幸せも不幸も分け合おうとして、仲良くします。」


第1神 シクペリア様は、当然だなという自信に満ちた顔で聞いていた。

第14神 ルウナは良い話だなあと幸せそうに聞いていました。


イウラは、急に怖い顔になって、言葉を続けます。

「しかし、光元国を出た人間は、神様の愛の光が届かない為、こころの渇きを感じます。こころを潤すために、他者から奪うことを選択肢に入れます。自分のことで精一杯で、他者を愛する対象ではなく、自分との利害で得か損か、獲物か繁殖相手かでしか考えなくなってしまいます。」


深刻そうな顔で、第4神 ミサキが続けた。

「人間は無条件で愛されていると信じられないと、余裕を無くして、他人をうらやみ妬み、邪魔をして足を引っ張ろうとします。

自分よりも優れた要素がある他人を大勢で、いじめ殺そうとしてしまいます。」


そして、遠い未来を見ながら悲しそうに告げるのでした。

「自らの意志で光元国を出て、こころが荒んでしまったものが帰ってきたとき、他人を疑うことを知らない光元国の人たちは、だまされて食い物にされて、絶滅してしまう危険性があります。」


シクペリア様は、難しそうな顔をしていた。

「そうか、そんなことになっていたとはな。

ある日突然、しきい値を超えたことで変化が起こったのだろうな。

毒の致死量というか、花粉の吸いこみ量で花粉症になるというか。


ここまでひどいことになる前に、いや、兆候が出たときに教えて欲しか」

途中で言葉を飲み込んだシクペリア様は、顔中に汗を流していた。

そして、真っ青になった。ゆっくりと、ミサキの方を見て、ミサキの無表情な顔を見て、姿勢を正した。

「すまなかった、ミサキ。先日のミサキの話は、このことだったんだな。

わたしは自分が設計した世界は完璧だから思いもしなかった。

そして、イウラがデザインしてくれた身体は、チータマルム星のどこに行っても適応できる身体だから問題無いと思い込んでいた。

光元国の神の光が当たる範囲から出た人間たちに、心情の変化が現れることを予想できなかった。」


☆ 84 神々の創造者が作る新しい世界 参照


ミサキは少し、嬉しそうな表情を見せた。

「それでは、この間の話を最後まで聞いてくれますか?」

「もちろんだ。もう一度最初から話してくれると助かります」


シクペリア様は、姿勢を正してミサキの話を真剣に聞いていた。

そして、ミサキが話し終えて、ひと安心した様子を見て、シクペリア様は決心したのだった。


「わたしは、カセイダード星に移住させる人間のことで頭の中がいっぱいだった。

しかし、チータマルム星に残ることを選んだひとたちが困らないように、光元国を他の人間たちから届かない場所に移動させよう。」

シクペリア様は、どこに移動しようかと考えていた。

そして、光元国を守る対策を決めたのだった。


「それならば、光元国を海の真ん中に、移動しよう」


それは、イウラとミサキの切なる訴えを聞いた第1神シクペリアができる最大の防御態勢だった。



◇


イウラ、ミサキ、ルウナは、シクペリア様の部屋に招かれた。


シクペリアの前には大きいジオラマがあった。それは、光元国を中心としたチータマルム星全体の模型のように見えた。


「言っておくが、これは模型ではないぞ。

チータマルム星全体に私のチカラを及ぼすための操作空間だ。まあ、見せた方が早いか? この辺りを見てくれ。 150年前にルウナが住んでいた家があるだろう」


ミサキ、イウラ、ルウナが神力でその辺りを覗き込むと、ミエルたちが暮らしているのが見えた。その近くにある城には、白丸、千夜、姫子、大地の姿も見えた。


ルウナが歓声を上げた。

「これが神様から見たボクたちが住む世界のですね」


シクペリア様は自慢そうに説明を続けた。

「その通りだ。どの規模で影響を与えたいかによって、神の世界と接続する縮尺、つまり、倍率を変えるのだ」


ミエルたちが空を見上げても、シクペリア様たち神様の姿は見えないが、神様たちからは人間たちの様子が、文字通り手に取るように分かるのだった。


つづく


お読みいただき、ありがとうございます。 作者のサアロフィアです。


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