85 旅立つ準備は大変だ
85 旅立つ準備は大変だ
第1神 神々の創造者 シクペリアの部屋で、ミサキ、イウラ、ルウナの3女神は、シクペリア様と日程調整をしていた。
「それでは、いつ、わたしが創る新しい世界に引っ越しできそうだ?」
待ちきれない様子のシクペリア様だった。
未来知見の女神ミサキは、少し考え込んでいた。
「そうですね。関係者への根回しをすぐに始めるつもりですが、1カ月、つまり、30日は欲しいです」
「そんなには待てないな。長くとも3日間で準備を完了して欲しい。」
「2週間、14日間は、お時間をください」
ミサキはあわてて、シクペリア様を止めた。
「では、7日間だ。これ以上は待てない」
シクペリア様とミサキは、にらめっこを続けていた。
イウラが助け舟を出そうとしていた。
「ねえ、シクペリア様、聞いてもいいですか?」
「なにかな?イウラ」
「いま、製作中の新しい世界は、どれくらい完成しているのですか?」
「ふむ、ひとが住むにふさわしい空気、温度と水分と大地と空を整えた。豊かな草原と木々もそろっている。モンスターや害獣もいない。木々に実る食べ物も豊富だ」
「まあ、すばらしいですわ。それでは、いま、私たちが住んでいるような住居も、ご用意されているのですね」
「もちろんだ。いま、建設中だから、1週間後には完成する。完成と同時に住民を入れたいと考えている」
シクペリア様は少し、うろたえた気がした。
ミサキとイウラは気付いたが、ルウナは気付いていない。
ルウナが目を輝かせて、シクペリア様に質問をした。
「では、シクペリア様がデザインされた王宮というかお城のデザインを見たいです」
「お城?」
「ええ、カセイダード王国にふさわしいカッコいいお城を作られたのでしょう?」
シクペリア様は、しばらく固まっていた。
「も、もちろんだ。ルウナが見たら気に入ってくれると思うぞ」
「わあ、いますぐ見たいです」
「当日まで我慢してくれ。ルウナ、期待してくれていいぞ」
「1週間後が待ち遠しいですね」
ミサキとイウラは無表情になっていた。
『シクペリア様は、住居を作るのを忘れていたわね。
でも、これで、1週間の猶予ができたわ』
ミサキとイウラは、顔を見合わせて、意思疎通をしていた。
ミサキはシクペリア様に真面目な顔で告げた。
「それでは、シクペリア様、住民を選ぶなどの準備を始めさせてもらいます。
お時間を頂いて、ありがとうございます。これにて、帰らせていただきます。
なにか、ご要望はございますか?」
「そうだな。いまは思いつかないが、イウラ、ミサキ、ルウナに頼みたいことが出来たら、声をかける。そのときは、よろしく頼む」
「かしこまりました」
ミサキ、イウラ、ルウナの3女神は、シクペリア様の部屋を出て行った。
◇
ミサキの部屋に戻った3女神は、丸いテーブルを囲んで立っていた。
普通なら椅子に座るのだろうが、3女神は美容と健康のために、できる限り立つことにしていた。
ミサキが話を切り出した。
「イウラ、ミサキ、ありがとう。でも、7日間は短すぎるわ」
「うーん、でも、3日目には待ちきれなくなるんじゃないかなあ」
「大丈夫よ、ルウナ。シクペリア様は、住居を作ってなかった様子だったわ。
当然、お城もまだだったみたいね」
「えっ? そうだったんだ。お城を作ろうとしたら、1週間では無理だよね」
「シクペリア様なら無理ではないけれど、1週間あるなら、なんとかなりそうね。
ねえ、イウラ、わたしはミエルたちと話をして、準備を進めるわ。
だから、チータマルム星の誰をシクペリア様の新しい星カセイダード星に送るべきか選んでくれないかしら?」
「仕方ないわねえ、じゃあ、シクペリア様との食事1回分で手を打つわ」
「わかったわ。それでお願いするわ」
「ねえ、二人とも、シクペリア様との食事って、まるで通貨のように価値があるものなの?」
「ルウナには分からないだろうけれど、ミサキと私の間では価値があるわ」
「ふたりとも、何回分の貸しか覚えているなんて、すごいね」
「まあね、その都度支払ってもらっているわ、ねえ、イウラ」
「そうね、いちいちメモしていられないからね。
ミサキに借りを作るとあとが大変だからね」
『ミサキもイウラも、律儀だから大丈夫なんだろうなあ』
ルウナはこころの中で、そう考えて納得していた。
ルウナは、お茶菓子を食べ終わって、お茶を飲んでひと息ついた。
そのタイミングを待っていたイウラがルウナの腕をつかんで、退室を誘った。
「じゃあ、ミサキ、こっちはカセイダード王国へ行く候補者をリストにしておくわ。
そのリストに、ミサキが送りたい人たちを足してくれるわね」
「ありがとう、イウラ。ルウナもイウラを手伝ってね」
「もちろんだよ。未来絵星号で助けてもらった恩を忘れていないから安心してね」
「うれしいわ、ルウナ。イウラ、頼りにしているわ」
「当然よ、では、またね」
イウラとルウナは、イウラの部屋に向かった。
◇
イウラの部屋に入ったルウナは思った。
『黄花の天祥だからって、洗濯が苦手なところまで似なくて良いと思うけれど...
いや、イウラに黄花が似ているのかもしれない』
「ねえ、イウラ?」
「どうしたの? ルウナ」
「とっても忙しいみたいだね。何か手伝えることはあるかな?」
「せ、洗濯は嫌でしょ?」
ルウナは首を横に振った。
「いいわ。1回分だけ洗濯するわ」
「ありがとう。助かるわ」
「じゃあ、ルウナが洗濯してくれている間に、私は、カセイダード王国に行く人を選択するわ」
「うん、いっしょに、せんたくを頑張ろう」
「ええ、そうしましょう」
『面白いギャグになったと思うんだけどなあ』
『ルウナも、シクペリア様も素敵だけれど、ギャグはいまひとつよね』
ルウナは洗濯を、イウラは選択を頑張りました。
◇




