84 神々の創造者が作る新しい世界
第1神 神々の創造者 シクペリアの部屋に来ている3女神
ミサキ、イウラ、ルウナの3女神は、シクペリア様に相談しようとしていた。
シクペリア様は何かを中断して、話を聞こうとしてくれた。
しかし、どことなく、落ち着かない様子だった。
シクペリア様は、ルウナの顔を見るなり、嬉しそうな顔をして、なにかを話し出そうとした。しかし、真剣なミサキの声を聞いて、話し出すことをやめたのだった。
「シクペリア様、わたしに管理を任されているチータマルム星の光元国について、相談があります。お時間を割いてくださいますか?」
「う、うむ。長くなりそうか?」
「え、ええ、長くなるかもしれません」
「では、イウラとルウナの話の方が短く済むのならば、後にしても良いか?」
イウラは安心させるような笑顔と声で、シクペリア様に答えた。
「わたしたち3人は、同じ用件で来ました。ミサキの話を聞いてくれますか?」
シクペリア様に視線を向けられたルウナは首を縦に振った。
「そうか、分かった。なにが起こったのか聞かせてもらおう」
ミサキは、非常に切羽詰まった様子で、問題をシクペリア様に伝えようとした。
しかし、どうも上手く伝わっていないようだと、イウラとルウナは感じていた。
ミサキが守護するひとたちを助けるために、【神の光】があたる範囲を広げて欲しいという要求をしているのだが、シクペリア様には必要性を理解できないようだった。
ミサキの言うことを否定しているのではないのだが、シクペリア様は御自身の世界設計に自信を持っているので、仕様変更の必要性を感じないのだった。
ミサキは視線でイウラに助けを求めた。
イウラは、それに答えて、助け舟を出そうとした。
「シクペリア様の御力であれば、【神の光】があたる範囲を広げることは朝飯前、ひと切れのケーキというくらい簡単なことだと思うのですが、世界の仕様変更をすることで、他の問題が出てしまいますか?」
シクペリア様は、ようやく渡された発言権に感謝した様子で、説明をしてくれた。
「過去の作品を見返して、気になるところがあるからと修正していたら、進歩が無いと考える。それよりも、過去の時点においては最高のちからを発揮したものとして、新しい作品をつくるべきだと考えている。
それに私自身も、過去の作品に手を加えて、より悪くなった例しか知らないから、気乗りがしないんだ」
気乗りがしないという言葉に、ミサキから怒りが漏れだした。
イウラは、そんなミサキをなだめようとしていた。
ルウナは別の方角から交渉した方が良いなと攻め方を変えようとした。
「少し、休憩を兼ねて、他の話題を話しても構いませんか?」
シクペリア様、ミサキ、イウラは、それぞれ不満を感じていたが、この険悪な空気が続くよりは、マシだと思ったようで納得してくれた。
「シクペリア様は、『新しい作品をつくるべきだと考えている』と、おっしゃいましたが、ボクの異世界アイデアを買ってくれたときのように、新しい世界を作ろうとされているのですか?」
シクペリア様は目を輝かせて嬉しそうに話し出した。
「そうなんだよ。ルウナ、良く聞いてくれた。
金を稼げる力がある正義の国というか星を作って、人々に貧富の差が無いというか、誰もが屋根と壁のある部屋に住んで、衣食住に困らない争いが無い世界を模索している真っ最中なんだ」
ルナは、シクペリア様のハイテンションに答えるように、ワクワクした様子だった。
「それは、素晴らしい世界です。シクペリア様。
衣食足りて礼節を知ると言いますからね。
そのような理想に現実を近づける手段というかシステムを開発するなんて、流石は、第1神 神々の創造者 シクペリア様です」
シクペリア様は嬉しそうだった。
「うんうん、そう言ってくれると、うれしいな。
ルウナの異世界アイデアに負けない世界を、日々考えているからな」
「シクペリア様が考えた国というか星の名前を聞いても良いですか?」
「もちろんだ!
金を稼げる力がある正義の国
「稼いだ」から、【カセイダ】、どう?」
シクペリア様は、ネーミングセンスを褒め称えて欲しそうに期待する目をしていた。
ミサキとイウラは、しらけた目になっていた。
『そのままね。親父ギャグじゃないんだから、もう少し、考えなさい』
ルウナは大きく目を見開いて、感動した様子だった。
「【カセイダード王国 ~ 加勢 打 悪 怒 ~
Supporting those who battle evil with righteous indignation. (義憤をもって悪と戦う者たちを、支援する存在。)】
という意味ですね。
お見逸れしました。流石は、シクペリア様です。
待っててください。
紙に書きますから」
【カセイダード王国 ~ 加勢 打 悪 怒 ~
Supporting those who battle evil with righteous indignation. (義憤をもって悪と戦う者たちを、支援する存在。)】
とルウナが紙に書きだした。
ルウナは、答えを求めるような期待する目で、シクペリア様を見つめた。
「合っていますか?」
シクペリア様は、満足そうに答えた。
「流石だな。ルウナ、その通りだ」
ミサキとイウラは、驚いて目を丸くしていた。
『そういう意味だったの? お見逸れしました』
と、こころの中で、つぶやくしかなかった。
シクペリア様は、ルウナが書きだした紙を見ながら満足そうな優しい顔をしていた。
「ルウナが書き出してくれた解説は、とても見やすくて分かりやすい。
これを元にして解説文書を作りたい。この紙をもらっても良いだろうか?」
「もちろんです。とても光栄です」
「では、いただきます」
シクペリア様は笑顔の裏で、こう思った。
『ネーミングセンスで、ルウナに勝つことは無理かもしれない』
◇
シクペリア様が新しい世界について、熱意を語った後で、ミサキに語り掛けた。
「チータマルム星を見守ってくれているミサキに頼みたいことがあるんだ。
苦労しているところに言いにくいのだが、新しい世界の住民として、人間たちを譲ってくれないか? つまり、引っ越しさせてもらいたいんだ」
ミサキは、こちらの要求を聞こうとしないくせに、なんと身勝手な言い分だという怒りを静かに抑えていた。
イウラは、ミサキに制止を掛けながら、シクペリア様に確認した。
「人選、つまり、誰を送るかは、ミサキと私たちに任せてくださいますか?」
シクペリア様は不満そうな表情で答えた。
「できるだけ、身も心も清らかな人間を選んで欲しいのだがなあ」
ルウナが疑問を述べた。
「シクペリア様? どんなに選別しても、結局は、2:6:2の割合で、
優れた人間、普通の人間、それなりの人間に分かれてしまいます。
だったら、最初から選ばない方がマシなのでは?」
「そうなったとしても、最低レベルを足切りすることは必要だと思うぞ。
新しい世界に来れば、より幸せになれるのだから、他の人間よりも頑張っている人間を選ばせて欲しい」
◇
シクペリア様とルウナが話している間に、イウラがミサキに説明していた。
「チータマルム星において【神の光】が当たる範囲を大きくできない代わりに、ミエルさんたちが行く正しい場所を、星レベルでシクペリア様が作ってくれると考えるべきよ」
イウラの言葉に冷静さを取り戻したミサキだった。
「そうね、イウラ。わたしの目的はミエルとみやびさんたちが幸せになること。
待っててね。少し、未来を探るわ。
うん、他の未来よりは良い感じだわ」
◇
ルウナはシクペリア様に質問をしていた。
「ねえ、シクペリア様?」
「どうした? ルウナ?」
「より幸せになれるのだからと、シクペリア様よりも上位の存在が、シクペリア様を今の環境から無理やり引っ越しさせたら、どう思います?」
「それは嫌だな! なにより、【幸せ半分こ】の精神に反するではないか」
冷静になったミサキが会話に戻って来た。
「おっしゃる通りですわ。シクペリア様。
つきましては、シクペリア様がお作りになる新しい世界に引っ越した方が幸せになる人間を、私たちで選ばせてくれませんか?
もちろん、最低レベルが低くならないように、保証しますわ」
後押しするように、イウラが続けた。
「シクペリア様は、チータマルム星に残ることになる人々の幸せも考えて下さるのでしょう」
シクペリア様は、力強く答えた。
「もちろんだ。わたしの都合で残ることになる人々への影響は最低限に抑えるつもりだ」
イウラは熱い目をして答えた。
「やはり、シクペリア様は素敵ですわ。
シクペリア様がお作りになる新しい星、カセイダード星へ選ばれた人々が移住した後に発生する影響を計算するお時間というか日数を頂けませんか?
そして、シクペリア様に実行してほしい神の奇跡についても、リストアップしたいと考えています」
シクペリア様は満足そうだ。
「おお、すまない。話がそれてしまったな。
ミサキが守護する者たちが必要とする保護についても、イウラのリストアップに入れてくれるだろうか?」
イウラは笑顔で答えた。
「もちろんですわ」
ミサキも御礼を述べた。
「ありがとうございます。シクペリア様。」
ルウナは無邪気なことを言った。
「シクペリア様のカセイダード星が出来る日が楽しみです。」
「おお、期待するがいい」
「ミエルたちが、このままチータマルム星にいることは危険だと判断したミサキ」
と「のちに天祥が集まる国と呼ばれるカセイダード星を作りたいシクペリア様」
の利害が一致した瞬間だった。




