83 未来知見の女神からの相談
関連するお話は・・・
☆ 81 軌道に乗る商売、かりそめの平和
神の世界では、第4神 未来知見の女神 ミサキが悩んでいた。
☆ 82 伝説に支えられて
「「輝け! モンテマニーの紋章」」
少女と姫子は、力強く唱えた。
◇
神の世界にある、第4神 未来知見の女神 ミサキの部屋には、3人の女性神が丸いテーブルを囲んでいた。
時計回りに、
第4神 未来知見の女神 ミサキ、
第2神 愛と美の女神 イウラ・ノータ、
第14神 純愛と美しさの女神 サトス・ルウナ
が座っていた。
ミサキは優雅にティーカップに口をつけて、紅茶を飲んでいた。
イウラもミサキに合わせて、ティーカップを持って、紅茶を飲むことにした。
ルウナは、ミサキとイウラが紅茶を飲み始めたことを確認してから、紅茶を飲み始めた。
それぞれがコップに入っていた半分ほどを飲んで、ティーカップを受け皿に置いた。ミサキは、イウラ、ルウナ、ミサキの順に、紅茶を継ぎ足した。
穏やかな笑みを浮かべながら、ミサキが話を始めた。
「イウラ、ルウナ、来てくれてありがとう。
私が見守っているチータマルム星の光元国について、相談があります。
いいえ、正確に言うと私が見守っている人たちについて、助けを必要としています」
イウラは納得したというか予想通りという顔をしていた。
「ミサキが私たちを呼ぶということは、かなり重い話になりそうね。
ルウナが手伝っただけでは足りなかったの?」
本作 ☆ 82 伝説に支えられて 参照
ミサキとイウラの表情を交互に見ていたサトス・ルウナは考えをめぐらせていた。
『イウラとミサキは、シクペリア様を取り合うライバルだから、距離があるのかと思っていたけれど、お互いを尊重して助け合える関係というのが、素晴らしいわよね。私に未来絵星号をくれたときも助けてくれたわね』
☆ 【台本形式】【完結】仲間の美女3人と万能で最強のちからを手に入れました。神様にボクの「異世界アイデア」を採用された対価です。《書籍化》
☆ 063 未来知見の女神ミサキと未来絵星号 参照
☆ 065 シクペリア様の謝罪 参照 ※ミサキも、サトスをルウナと呼ぶ理由。
◇
ミサキは、イウラとルウナに説明を始めた。
ミエルとみやび(副人格はマーサ)に迫る悲劇について。
「私が守護するミエルの恋人が刺されて、死んでしまう未来です。
これをなんとしても避けたいのです」
☆ ミエルたちは同情はされたが、みやびのなきがらを抱えてモンテ領を去るしかなかった。
☆ 81 軌道に乗る商売、かりそめの平和 より再掲
ミサキは、悲劇が起こる炊き出しを止めた場合の未来についても語りだした。
「そのときの様子をご覧ください。」
ミサキは、大きなディスプレイに未来の映像を映し出した。
ミエルがみやびを説得しようとしている。
ミエルは深刻そうにみやびに話しかけた。
「次の炊き出しは止めた方がいいかもしれない。」
「どうしてさ?」
「鑑定スキルで拾い上げる人材を探そうとすると、無防備になってしまうからだよ。」
「それでも、なんとか出来るさ!」
「そうはならないんだよ。キミが怪我して死んでしまう未来を知ったんだ。」
「じゃあ、鑑定しても集中しすぎないようにすればいいさ。」
「無理だよ。何度も条件を変えた未来を見せてもらったけれど、駄目だった。」
「じゃあ、どうするさ。炊き出しを楽しみにしている人たちが悲しむさ。」
「まだ犯していない罪で、誰かを攻撃する訳にはいかないから困っているんだよ。ある場所に行けば危険な目にあうなら行かなければいい。
でも、炊き出しをすれば、みやびを未来で殺した犯人が来る。」
「じゃあ、スープなど熱い食べ物はやめて、冷めていても美味しいおにぎりを配ればいいさ。」
「うーん、どうなるだろう?
みやびが武闘家として集中していれば、大丈夫かも知れないけれど・・・
ボクとしては、未来で危害を加えてくるとわかるなら、やられる前に倒したい。」
「明日の天気でも思ったとおりにならないのに、決めつけたらダメさ。」
みやびを説得できなかったミエルは、みやびのそばを離れないようにしたのだが、おにぎりを受け取る無関係なひとを壁に利用された。 そして、みやびがおにぎりを渡す相手に目を合わせている隙に、砂の様なものを目に掛けられた。その隙に刺されました。
その後の展開は、同じでした。
◇
ミサキは無力感を漂わせながら、結論を告げた。
「あらゆる未来を、様々な分岐ルートを調べても、ダメだったのよ。
残された道は、みやびさんが無事に生きている間に、ミエルたちをモンテ領から脱出させるしかない。
でも、どこに行けばいいの?」
イウラは少し考えてから答えた。
「わたしがデザインした身体は美しいだけでなく、環境に応じて、変化できる余地があるわ。 だから、光元国の外に出ても、生きていけるけれど・・・」
ルウナは、イウラが言いよどんだので、疑問を口にした。
「ねえ、イウラ? もしかして、光元国の外に出たら、なにか問題があるの?」
答えようとしないイウラに代わって、ミサキが答えた。
「私たちが見守りできる範囲の外に出てしまいます。
そして、一番の問題は、ミエルたちが別人になってしまうことです」
ルウナは理解できずに考え込んでいた。イウラは覚悟を決めた。
「ルウナが人間だったころ、私があなたを見守っていたことは覚えているわね」
「うん、もちろん、覚えているわ。あの頃からイウラにはお世話になって感謝しています」
「よろしい。そう言ってくれるなら報われるわ。
私がデザインした身体であっても、精神というか脳は【光の元】でこそ正常でいられるのよ。正常という言い方に不都合があるなら、そうね、言い換えるわ。
衣食足りて礼節を知ると言うわ。
明日の御飯が食べられない状況で、正義を考える余裕があるのか?
武士は食わねど高楊枝なんて選択をする個体は、いいえ、人間は、あくまで、【神の光の元】でだけ成立します。
神に愛されているはずだから、ひどい死に方をすることはないはずだ...
という安心感が無ければ、どうなるか?」
ルウナはイウラの言葉を真剣に考えていた。
そして、ルウナは人間だったころに見た世界での出来事を思い出した。
「もしかして、強い者には媚びへつらうけれど、弱い者には攻撃的になるとか。
みんなで攻撃する的を求めて、団結しようとするとか。
つきあって、得する間は仲良くして、得しないと感じたら、どろぼうして去るとか」
ミサキとイウラは深くうなづいてくれた。
そして、無表情のミサキが少し怖い顔をして、言葉を発した。
「このチータマルム星もシクペリア様が創造された世界のひとつですが、
目的は理想郷を作るというか、信頼できる精神の持ち主を作り出すための実験場です。だからなのか、光元国の外に出て行った個体たちは余裕が無いのです。
弱肉強食というか、チカラが無いと生きていけないというか、生き残るためには他者を攻撃しても良いというか、そんな考え方に、落ちてしまいます。
そして、『自分のことしか考えていない!』と他人を責めるくせに、その発言者が一番、『自分のことしか考えていない!』」
そんな身もふたもない言い方をするミサキをフォローするかのように、イウラが続けた。
「ミサキは、人間たちが、人々が、そうならないように、ミエルという守護者を通して、正しい道を選べるように加護を与えてきたのだけれど・・・
ミサキが私たちを呼び出して相談するということは、そろそろ限界みたいね。」
ミサキは首を縦に振って、イウラの推察が正しいことを示した。
「つきましては、【神の光】が届く範囲をシクペリア様に広げてもらいたいのだけれど・・・」
イウラは察したようだ。
「そう言えば、また何か創造するのに、夢中になっていらっしゃるようね」
ルウナは約150年前を思い出した。
「そう言えば、ボクの異世界アイデアを高く買ってもらいましたね。
ということは、新しい世界を実現しようとされているのかな?」
イウラは結論を出した。
「わかったわ、ミサキ。わたしたち3人で、シクペリア様にお願いしましょう。
なにに夢中になっておられるかは、3人で聞けばいいわ。
そして、3人がかりでお願いすれば、シクペリア様も聞き届けてくださるわ」
ミサキは無表情だったが、嬉しそうな気がした。
「イウラ、ありがとう。あなたが居て良かったわ」
イウラは意味深な笑顔をミサキに向けた。
「ミサキに貸しが作れそうで良かったわ」
表情豊かなルウナが無表情になっていた。
『ミサキとイウラは仲が良いのか、そうではないのか、どっちだろう?』
3人は、シクペリア様に会いに行くことにした。




