37.学園祭③後
ものすごく短い。
「ふぁー。今日は疲れたなー。」
寮に帰り、ベットに横たわる。お風呂はもう済ませた。
テーヌはまだ帰ってきていないようだ。
「ちょっと早いけど寝よう」
軽く体を伸ばし、目をつむる。
途端に眠気が襲ってくる。特に抵抗することもない
。
―――海と大陸の上に私は浮かんでいた。
「……夢。」
「久しぶり。僕の名前思い出した?」
男の子が私に聞いてくる。かなり前に見た子だ。
「エレウカでしょう。でもそれ以外が思い出せないんだ。」
思い出せないのか、知らないのか。
それすらも分からない。
男の子はくすりと笑って、私のそばに来る。大人っぽい雰囲気をまとっている様な気がする。
「正解。でも記憶がまだ戻っていないか。」
「ねぇ。君は何者?」
私がそう問うと、男の子、エレウカは少し考え込む。
さらさらの髪が揺れる。
「僕?うーん、なんて言ったらいいんだろう?1番近いのはこの世界そのものだね。神でもないし……」
「この世界そのもの?」
「うん。創造神が体を作って、精霊神が精神を生み、ほかの神が守ってくれてる。」
よく分からない。
私が首をひねっていると、エレウカはしょうがないねと笑った。
話題を切り替えることにする。エレウカが言った〝記憶〟がどうも引っかかる。
「記憶って?」
「んー。まあ、いつか分かるよ。まだ時間はある。」
適当にはぐらかされる。
さらに聞こうとしたけど、周りの空間が崩れ始める。
「時間かな。じゃあ、またいつか。」
「色々聞きたいけど、時間ならしょうがないね。またね、エレウカ。」
エレウカが見えなくなり、景色もだんだんと崩れて消えていく。
「力は少しずつ開放しとくよ。頑張ってね。」
最後に声だけが聞こえた。
ーーー
「この世界そのもの、ねぇ。どういうことなんだろう?」
エレウカはどう見ても普通の男の子だ。この世界そのものっていうことが信じられない。
そこで1つ思い出した。
「精霊は人型をとる者も有るよね。」
エレウカは精霊ではないかということにたどりつく。
創造神が体を作った。つまり、この世界をつくったことを指す。
精霊神が精神を生んだ。つまり、この世界をまとめる精霊(?)を生んだ。
それでもよく分からないけど、今はそう思うことにしよう。
「力ねぇ。エレウカっぽい男の子が出てきた夢と関係あるのかな?元々、この精霊を見る力は私の物だったらしいし。」
そこで、思う。
「私は何なんだろうな。」
地球では馴染むことが出来なかった。でもこちらの世界では簡単に馴染むことが出来た。
そしてこの群青色の目。こちらでは王族が持つ色。
時折見る、現実のような夢。
エレウカが言う私の記憶に答えはあるのだろうか。
「焦らなくてもいいか。」
考えるのが面倒になってきたので、思考を放棄した。
まだまだ夜のようなので、もう少し寝ることにする。
テーヌが帰ってきてなかったことを思い出し、部屋の中を見回す。ソファーで寝てた。
放置でいいだろう。獣人なので丈夫なはずだ。
テーヌの耳元に、スポーツ大会での恨みを込め、目覚まし時計を三つ置いてやった。もちろん音量最大だ。
これでテーヌ起きなかったらすごいなあ。
今度こそ寝よう。




