36.学園祭③
2日目始まった。
現在体育館にいる。昨日、テーヌから参加することをすすめられたからだ。
参加名簿に名前をかき、男女でペアを組む。
このスポーツ大会は男女1組で参加することになっている。
「どうか、おれと!!!」
「いや、俺と!!」
なんだろう。この人達。
だんだんピラミッドが形成されていっている。
周りの女子が白い目で見てるからやめた方がいいと思う。
「何やっているんだ。お前達。」
コルザが呆れながら、こちらを見ている。
あ、コルザと組めばいいんだ。知っている人がコルザしかいない。
キルエは向こうでエルトと組んでいるし、コクユは店番でいないし、ほかの男子はまともに喋ったことないから。
「組むか?アイ。」
「ちょうど良かった。うん、組もう」
コルザが誘ってくれたので、私はそれを受ける。
良かった、これで参加できる。
「こーるーざー。」
さっきピラミッドをつくってた人達が恨みがましい視線と、低い声でコルザを呼んでいる。
たまに、コルザが宰相候補だということを忘れる。
「構わんでいい。」
コルザはその声を無視して、競技を確認しに行く。
私は、それについていく。
「ラードロ?」
「ああ。」
ラードロのルールは簡単。
2人一組で1チームとする。1チームに1枚のカードが配られ、そのカードを奪い合うゲームだ。手段は特に決まっていない。カードを奪われたらそのチームは失格となる。カードは、ダイヤの絵が書かれている。
「゛世界に満ちる精霊達よ、防音の結界をはれ゛」
声を聞かれないように結界をはる。
精霊術を連続してたくさん使用できる私だから使う。大抵皆、ここは温存している。だから、声を最小限に抑え、離れている。
「さて、どちらがカードを持つ?」
「……?指示がカードに書いてあるよ。」
カードの裏に、いくつかの指示が書かれていて、コルザと見る。
その1・カードは女子が持つこと
その2・カードを奪うのは男子がすること
※なお、このルールはチームごとに違う。また、このルールを守らなかった場合、カードを奪われていなくても失格とする。
「カードを持つのは私か。」
「俺は、暴れてもいいのか。」
コルザがにやにや笑っている。暴れたいのかコルザ。
「では、スタート!!」
放送が流され一斉にスタートする。
スタート場所はばらばらで、学校敷地内であればいい。
精霊術は有りだけど、校舎を壊さない程度。
「前の鬼ごっこみたいに、木に登ろうかな?」
「無理だよ。人が多いしね」
後ろから声が聞こえた。たぶんエルト。
「゛世界に満ちる精霊達よ。アイを捉えよ゛」
「名指しって、選手他にも居るよね!?」
まあ、精霊が見えるので精霊が織り成す網も見えるわけで。
避ける。
普通の人は精霊達が投げた後の網しか見えないので、避けることは難しい。
「さらっと超人的なことを……」
悔しそうに言うエルト。驚かないんだね。
精霊達、君らもやけになって網をどんどん生み出さないで。
「゛世界に満ちる精霊達よ、エルトを足止めせよ゛」
自分からカードを奪えないので、逃げるしかない。
「にーがーさーなーいーよ」
後ろから走ってくる人が1名。エルトではない。
ちらっと後ろを見てみると、テーヌが本気で走ってきていた。
「こわっ」
適当に石を拾って、テーヌの足元に連続で投げた。
人に当たらないように注意しているので、テーヌしか被害は無いはず。
「ハハハ、このボクがそんなもので転ぶとでも思ってるぷぎゃ。」
フラグ回収ご苦労さまです。綺麗にゆっくり転んだな。
その間にダッシュで逃げる。テーヌは足が速いので、急ぐ。
「大丈夫?」
エルトがテーヌを起こす。何か話しているようだ。
グルか君たち。
何か、今度は2人で何かをしそうなので先手を打っておく。
「゛世界に満ちる精霊達よ、2人を封じろ゛」
半透明の膜で2人を包む。これでしばらくは動けないはず。
「゛世界に満ちる精霊達よ、封じを破れ゛」
この世界で相手の術を破る場合、術を使った相手より力が上でなければならない。つまり、純血に近ければならない。
私の容姿はライネスそのもの。私の力の方が勝っている。
「破れるわけないじゃーん!」
「アイ、次あった時は確実に仕留めるよー。」
エルトは諦めたように叫び、テーヌは爛爛と目を光らせている。テーヌのもうこれ殺意だよね?
「はぁっ。最初から疲れたな。」
どうにか2人から逃げ切り、建物の陰で休む。
放送がなる。
『ラードロの選手達、途中結果を発表します。現在生き残っているチームは5組です。トップはコルザ&アイチームの9枚です。では引き続き楽しんでください。 』
「……コルザ……何やってるの?」
まだ十分も経ってないよ?
予告どうり派手にやっているようだ。私はひたすら逃げることに集中しなければ。
「トップみっ……ふがっ。」
男子がこちらに来たので顔面に向けて、砂を投げて足元に石を投げて転ばせた。少々ひどいと思うが男子だから大丈夫だろう。
私はやっぱりダッシュでその場を離れる。
「これ体力続くかなぁ?」
ピーンポーン
『終了しましたー!1位はやはりコルザ&アイチームです!その結果は12枚!2位と5枚の差をつけ優勝です!』
「お、勝ったな!」
「コルザ、こちらの身にもなってよ……」
息切れ+汗だくだ。エルトとテーヌに3回追いかけられ、ほかの人にも10回以上追いかけられた。精霊術連発して、私でも少し疲れたな。
「おお、悪い悪い(笑)」
「コイツ、絶対後で殺す。」
思わず物騒なこと言ってしまった。
だってしょうがないよね?
結局優勝しちゃったけどさー。
後でコルザをどうやって絞めようか。
アイが素に戻っていってるなぁ。




