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27.魔法の国の王。

魔法の国で遊んで、城に戻ってきた。何故かあわただしく兵士が動いている。


「何か、あったのですか?」


シシリアに問い掛ける。今はテライトがいるから、敬語は必要だ。シシリアも、不安そうな様子だ。


「私の夫が、魔物(ダークスフィア)に襲われているという連絡が入った。こちらから救援を出す。」


シシリアの夫って....!この国の王が?


「僕も行きます。アイ、ここで待っててね。」


テライトが言う。でも、私も行きたい。シシリアがとても不安そうな様子だから、助けてあげたい。


「私も行く。」

テライトが何かを言いかけたが、こちらを見て口をつぐんだ。シシリアも心配そうに見ているけど、何も言わない。


「お願い。夫を助けて。」

『任せてください。』


テライトと、私、兵士達、魔法騎士の人たちが城を出る。テライトは、精霊達に頼み、兵士達、魔法騎士の人たちは魔法で強化した馬でいく。


(精霊よ!速く移動できる者よ!協力を!)


私は、精霊達に願う。

私の周りに光が集まり、弾けた。


「了解した。姫よ、我に乗れ。」


低い声がきこえ、目を開ける。竜だ。漆黒の体をしている。かなり大きい。だけど驚いてる場合じゃない。


「お願い!」


場所を言ってもいないのに竜は大きな翼をはためかせ、飛ぶ。かなりのスピードが出ているが、私には影響はない。たぶん、竜が助けているんだろうと思う。



テライト達を追い越し、王の救出に向かう。


「見えた!」


豪華な馬車が、魔物に襲われている。竜に降りるように指示をし、精霊術を唱える。


「"世界に満ちる精霊達よ。あの馬車を守れ"!」


馬車の周りにに、薄い膜のような物が張ったのを確認して、地上に降り立つ。かなり魔物がいる。怪我をした人たちがあちこちに倒れている。魔物の一体一体は弱い個体だと思うけど数が多い。


「"世界に満ちる精霊達よ。雷で魔物を倒せ"!」


一瞬周りが光ったかと思うと、魔物が焼け焦げ、痺れている。竜は、違う場所で、魔物を食いちぎっている。



「トルバシフラ!」


土の刃が、魔物を貫く。さながら何かのオブジェのようだ。声の方向を見ると、馬車の中から人が出てきた。


「加勢、感謝する。」


その人がたぶん王なんだろう。


「まだ、魔物がいます。礼は後でしてください。」


そういうと、その人は周りを見渡し、獰猛に笑った。


「そうだな。まずはこれを片付けねば。」


その人は、周囲に炎の矢を次々と出現させ、魔物に向かって射った。少し、余裕が出てきたので、倒れている人たちに治癒の精霊術を行使する。



「アイ、陛下ご無事ですか!?」


テライトの声。見ると、テライト達がこちらに向かってくるのが見えた。魔物はかなり数を減らしたが、まだいる。


「"世界に満ちる精霊達よ。この場にいる人々を守護せよ"!」


テライトの精霊術。ここにいる全員が緑の光を纏う。怪我をしてる人にも緑の光がいった。竜は例外だけど、鱗は固そうなので問題ないだろう。


「はああ!」


兵士、魔法騎士の面々が、魔物に切りかかる。ハイスピードで魔物の数が減っていく。

魔法騎士の人(隊長格は居ない)が剣をふると、二、三体まとめて凪ぎ払われる。



ふと、嫌な予感がしてそばにいた王を引っ張ってその場から離れる。離れた瞬間、さっきまでいた地面が抉れた。



「なっ!?」


王が瞠目する。私も驚いた。竜がすぐにこちらに来て、私たちを背中に乗せる。


「姫よ、気を付けろ。変異種がいるぞ。」


そういわれ、王と二人で周りを見ると、水の刃を飛ばしている魔物を見つけた。体には禍々しい模様がある。見た目は、狐のようだ。


「ウォーターリースの変異種のようだ。フレア」


王が、狐、ウォーターリースをねらい、炎を打つ。魔法騎士も、その変異種に気がつき、攻撃を始める。兵士はその他の魔物を狩っている。ウォーターリースの攻撃は、かなり威力があるようだ。当たった人の鎧がボゴンという音をたてて凹んでいる。


「あれ大丈夫なんでしょうか?」


少し心配になる。王は軽く笑った。


「大丈夫だ。あの鎧は特殊なものだし、あいつらも訓練はしている。」



王が兵士達に向ける信頼は大きい。それがわかる返事だった。

無事にウォーターリースが討伐されたようだ。



「降ろして。」

「了解した。姫よ。」


何故か、この竜私のことを姫って呼んでるんだが?今更か。


「テライトよ。久々だな。」


王が軽く手を上げて、テライトに話しかける。テライトはやれやれと肩をすくめた。


「魔物に襲われたばっかりなのに余裕のようですね。いつも通りですけれど。」


テライトは軽く笑い、私に視線を向ける。


「聖獣の竜を呼ぶとはね。 まさか存在するとは思わなかったよ。」


いや、何故か呼んだら聖獣ばっかり来るだけですけど。これもメイト様が言っていた精霊に好かれやすい体質なのかなあ?


「あはは。呼んだら来ちゃいました☆」


テライトが呆れている。王も、苦笑いだ。



「では、帰りましょうか。陛下。」


王が、馬車に乗り込み、馬を出発させる。怪我をしていた人たちは皆さん全快して、馬に乗っている。


「皆さん、タフですね。」


私だけ竜に乗って、テライトの横を並走(飛んでるけど)している。竜の鱗はひんやりしている。ツルツルしているので、落ちないかとも思ったけど、行くときに落ちなかったので、そういうものだと納得した。


「で、アイは大丈夫?疲労感とかない?」


テライトが横で心配している。たぶん、さっきの戦闘で、私が連続して精霊術を行使してたからだろう。精霊術を使いすぎると、魔法の民でいう魔力切れに近い症状になるらしい。


「いや、なんともないよ。」

「それがちょっと規格外なんだけど。」


テライトが苦笑して言った。


「姫は少々、規格外だからな。」


竜よ。同意は要らないよ。



特にその後は何もなく、魔法の国に帰ることができた。魔物達の死体は、すべて兵士さんと魔法騎士さんで燃やした。肉とかは、律儀に取ってきてある。


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