23.その一方で。(テライト方面)
初めての他者目線がストーリーの話。
アイとリリアが退出した後、僕は玉座の間に取り残された。まぁ、良かったんだけどね。
「良いのですか?ここに泊まることは。」
シシリア様は笑って、言った。
「私はアイと話してみたかっただけだ。テライトの義妹と名乗ったが、嘘なのだろう?」
そこまでばれてたか。この女王は聡い。
「はは。よく分かりましたね。確かに、アイは"世界を渡る者"で、僕の妹ではないです。」
本当に、この女王は不思議な人だ。幼い頃から知っているが、妙に、大人びていた。だが僕達と年はほぼ変わらない。
「やはりな。この世界の者と違う雰囲気を纏っていたからな。」
いや、貴女もですけどね。頭では思うものの口には出さない。
「まあ、用件に移ろう。」
少々無駄な時間をくってしまった。シシリア様が用件を促す。僕は、シシリア様に書類を手渡し、用件を言う。
「ここ何年か、魔物が増えてきております。我が国でも、魔物に襲われる村が出てきています。」
書類を次々とめくりながら、シシリア様は現状を確認する。
「ふむ。なるほど。これは警戒で済むようなものではないな。」
事実、この数年で魔物の数が倍以上になっている。特に手強い魔物も増えて、冒険者が減っている。このままでは、あちらこちらの村が無くなるのも時間の問題だろう。
「なので、こちらの国でも、積極的に魔物討伐を行ってはくださらないか?」
魔物が増えれば、精霊は住みにくくなる。それを防ぐためにも魔法の国の援助は不可欠だ。
「これを放置すれば我らの国もただではすまなかっただろう。勿論、討伐をしよう。情報感謝する。」
交渉は済んだ。いや、交渉というよりは、報告に近いだろうか。これで、この国の用事はなくなった。だが、アイはこの国が初めてだ。数日、遊ぶのもいいだろう。
用件を伝え終わり、シシリア様から、お茶会の提案があった。本当なら辞退したいのだが、多分無理なので嫌々了解した。瞬く間に御菓子や、紅茶が準備された。一見して、珍しい紅茶だとわかる。僕は紅茶を飲み始め、シシリア様は御菓子に手を伸ばした。やはり、王族。シシリア様のしぐさはとても優雅だ。
「まだテライトは嫁を貰わないのか?」
いきなりふられた話題に僕は飲んでいた紅茶を噴き出しそうになった。振った本人はにやにやしている。
「なかなか見付からないものですよ。」
内心、このやろうとか思っているのだがそれを表情に出さず返事をかえす。
余談だが、このシシリア様は結婚している。今は国王が留守で、シシリア様が政治を行っている。いつもは共同統治だ。あと、我が国の国王のメイトも、婚約はしているが、相手方がまだ学園を卒業なされていない。
「ちょっとした冗談だ。くくくっ。やはりテライトは面白いな。」
言い返したくなるが、相手がわるい。ここはひくしか無さそうだ。心の本音を呑み込み、軽く笑う。
「そうだ。テライト。アイは私の部屋に泊まって貰うからな」
「は?」
いきなり言われた。やはり、シシリア様は意地の悪い笑みを浮かべている。これは駄目だ。何を言ったって無駄だ。そんなに笑みだった。
「ええ、別にいいですよ。」
げんなりした表情で言う。
シシリア様を相手にすると疲れる。やはり、メイトの親族だな。
そう思った僕だった。




